数学の文章問題を練習!読み方のコツ・ブロック解法・型まで完全ガイド
【この記事についてのご注意】
本記事は、筆者(もこあい先生)のこれまでの学習経験と、数学教育・学習法に関する一般的な資料をもとに、
「数学の文章問題の読み方」と「練習の進め方」を整理したものです。
内容には細心の注意を払っていますが、誤りやより良い表現の余地が残っている可能性があります。
「ここが違うかも?」「この説明をこう言い換えると分かりやすい」などお気づきの点がありましたら、
お手数ですがコメント欄やお問い合わせフォームから教えていただけると嬉しいです。

「文章題が苦手です。読むだけで頭が真っ白になります……」
そう言う人は、小学生から社会人まで本当に多いです。でも、実はこれは能力の問題ではありません。
文章題が苦手な人のほとんどは、
- 文章を「一気に」読む
- 情報をそのまま全部覚えようとする
- どこが大事か分からないまま読み進める
- 頭の中で整理する「順番」を知らない
といった「読み方の技術をまだ習っていないだけ」の状態なのです。
計算部分が不安な場合は、因数分解の基本を先に確認してください。リンクはこちらです。
第1章|文章題は“センス”ではなく技術で読める
文章題を得意にする人は、
- 読み方の手順を知っている
- 情報の切り方がうまい
- 迷わない順番で読む
- 数そのものより「関係」を見るクセがある
といった技術で読み解いているだけです。才能の有無で決まる世界ではありません。
人は、本質が分かった瞬間に“動きたくなる”生き物です。
分からなかった世界が急に開けると、「できるかもしれない」が「やってみたい」に変わります。
今日の文章題は、その最初の一歩になるはずです。
この「できるかもしれない」が生まれた瞬間、文章題に向かう気持ちは一気に軽くなります。
読者の多くが間違えている“たった一つの読み方”
実は、文章題が苦手な人に一番多いのは、
「最初から完璧に読もうとすること」。
一方で、文章題が得意な人ほど、
- 文章を「意味のまとまり」で区切る
- 最初に「状況・変化・質問」を切り分けて読む
- 最初から完璧に理解しようとしない
- 細かい言葉より「関係」に注目する
という効率的な読み方をしています。
この記事では、この「読み方の技術」を、だれでも身につけられるように、ゆっくり整理していきます。
もこあい先生:
「文章題って、コツを知らないまま頑張っても、疲れるだけなんだよね。
でも大丈夫。今日は“読む手順”を一緒に作っていくよ。」
健太:
「読む手順……!? オレ、文章題って“勘と気合い”の世界かと思ってた……」
もこあい先生:
「ふふ。そんなことないよ。文章題は“構造に分けて読める技術”だからね。」
今日の記事で得られること
- 文章題の「正体」(構造)が分かる
- 読み方の手順が手に入る
- よくあるミスの理由が分かる
- 文章題の「型」の見極め方が分かる
- ブロック読みの具体的なやり方が分かる
- 練習の仕方(7日間トレーニングプラン)が分かる
この記事を読み終えたとき、あなたの中にはきっと、
「あ、これなら練習してみたいかも」という最初のワクワクが生まれているはずです。
第2章|文章題の正体は「状況・変化・質問」の3ブロック

文章題は、一言でいうと「長い一文で書かれた小さな物語」です。
でもその物語は、よく見ると必ず次の3つの部品に分かれています。
① 状況ブロック
② 変化ブロック
③ 質問ブロック
この3つが見えるようになるだけで、文章題は一気に読みやすくなります。
2-1. 3ブロックのざっくりイメージ
① 状況ブロック:
「スタート時点で、だれが・なにを・どれくらい持っているか」を説明する部分です。
- 「太郎さんはノートを3冊持っています。」
- 「Aさんの家から学校までは、歩いて20分かかります。」
② 変化ブロック:
「そこから何がどう変わるのか」を説明する部分です。
- 「そのあと、ノートを2冊買い足しました。」
- 「途中まで自転車で行くと、歩く時間は8分になりました。」
③ 質問ブロック:
「最終的に何を求めてほしいのか」が書かれている部分です。
- 「今、ノートは何冊になりましたか。」
- 「自転車で行った距離は何mですか。」
この質問ブロックがぼんやりしたままだと、せっかく計算しても
「で、何を答えればいいんだっけ?」
となってしまいます。
2-2. 超シンプルな例で3ブロックに分けてみる

例題A
「花子さんはシールを5枚持っています。友だちから3枚もらいました。
花子さんは今、シールを何枚持っていますか。」
これを3ブロックに分けると、こうなります。
- 状況ブロック:「花子さんはシールを5枚持っています。」
- 変化ブロック:「友だちから3枚もらいました。」
- 質問ブロック:「花子さんは今、シールを何枚持っていますか。」
このレベルだと直感でも分かりますよね。でも、あえてこうやって分けるのが大事です。
なぜなら、もっと長く・複雑になっても、やることは同じだからです。
2-3. 少し長めの文章でも同じように切れる
例題B
「太郎さんは1200円持っていて、ノートを2冊買いました。
ノート1冊は180円です。
そのあと、残りのお金でえんぴつを3本買いました。
えんぴつ1本は50円です。
太郎さんは最後に、何円残っていますか。」

一見、情報が多くて「うっ」となりがちですが、3ブロックに分けてみましょう。
- 状況ブロック:
「太郎さんは1200円持っていて、ノートを2冊買いました。ノート1冊は180円です。」
→ スタートの状態+最初の買い物 - 変化ブロック:
「そのあと、残りのお金でえんぴつを3本買いました。えんぴつ1本は50円です。」
→ 2回目の「変化」 - 質問ブロック:
「太郎さんは最後に、何円残っていますか。」
→ ゴール
こうやって切ってみると、
- 最初の状態を整理して
- 順番にお金の変化を追って
- 最後の残りを聞かれている
という「骨組み」がはっきり見えてきます。
2-4. 3ブロックが見えると、何が楽になるのか
① 計算の「順番」が決まる
- 状況ブロックで「スタートの数字」を決める
- 変化ブロックで「どう増減するか」を追う
- 質問ブロックで「どの数字が答えになるか」を確認する
② 図・表にしやすくなる
3ブロックが見えると、「ここを表にしよう」「ここは数直線で描こう」といった
図への変換ポイントが分かりやすくなります。
③ 間違えたときに「どこでズレたか」を見つけやすい
状況・変化・質問のどこで理解がズレたのかが分かれば、同じ失敗をくり返しにくくなります。
2-5. 完璧じゃなくていい。「雑でOK」なくらいがちょうどいい
ここでのポイントは、「きれいに分けようとしないこと」です。
- 「だいたいここまでが状況かな」
- 「このへんから動きが始まっているから変化だな」
- 「最後のこれが質問だよね」
というざっくりした感覚で十分です。
細かいテクニックは、このあと登場する
悪もこあい先生の《ブロック読みの極意》コラムと、
もこあい先生の「丁寧な読み方パート」で整理していきます。
第3章|ブロック読みを実際にどう行うか(実践編)

文章題は「読む問題」というより、
「切り分けて構造を見抜く問題」です。
ここでは、実際に文章を切りながら、3ブロックがどう見えてくるのかを体験していきましょう。
悪もこあい先生の“切り分けの喝”
悪もこあい先生:
「ちょっとアンタ、文章題を上から順番に“行ごと”に読んでない? それじゃあ迷子まっしぐらよ。」
「文章題はね、
“読む”んじゃなくて、“切って、並べ替えて、意味をそろえる”の。
ここを間違えると、どれだけ計算が得意でも、いつまでも文章題でつまずくのよ。」
「じゃあ今から、文章題を“切り刻む”練習をするわよ。ついてきなさい。」
Step1:文章を「ブロック候補」で区切ってみる
例題A(再掲)
「りささんはリンゴを4個持っています。
そのあと、2個買い足しました。
りささんは今、リンゴを何個持っていますか。」

ここで大事なのは、いきなり理解しようとしないこと。
まずは文章を「候補」として切ってみます。
|りささんはリンゴを4個持っています。| |そのあと、2個買い足しました。| |りささんは今、リンゴを何個持っていますか。|
もうほとんど、ブロックが浮かんで見えますよね。
Step2:それぞれを「状況・変化・質問」に分類する
- 状況 → 4個持っている
- 変化 → 2個買い足す
- 質問 → 今何個?
この3つがそろった時点で、文章題は半分以上解けているのと同じです。
Step3:少し長い文章で“ブロックが混ざる感覚”を知る
例題B(中級)
「ゆうきさんは800円を持って買い物に行きました。
ノートを1冊120円で2冊買いました。
そのあと、残りのお金でペンを1本50円で3本買いました。
最後に、ゆうきさんは何円残っていますか。」

意味ごとに切ると、次のようになります。
|ゆうきさんは800円を持って買い物に行きました。| |ノートを1冊120円で2冊買いました。| |そのあと、残りのお金でペンを1本50円で3本買いました。| |最後に、ゆうきさんは何円残っていますか。|
ここでのポイントは、状況と変化が混ざって見えることがあるという点です。
でも、「今どの状態?」を自分で線引きすれば迷いません。
- 状況ブロック:
800円を持っている+最初の買い物(ノートを2冊買う) - 変化ブロック:
残りのお金でペンを3本買う - 質問ブロック:
最後に何円残るか
悪もこあい先生:
「ほら、文章が長くなっても“やることは同じ”でしょ? 冷静にブロックを切り分けるのよ。」
Step4:さらに複雑な文章でも「箱」に入れるだけで整理できる
例題C(応用手前)
「A駅からB駅までは徒歩で20分かかります。
太郎さんは、最初の8分を走って進みました。
走ると、歩くときより1分あたり20m多く進めます。
B駅まであと何m残っていますか。」

このタイプは、苦手な人が「速さきた、もうムリ…」となりやすい問題です。
でも、ブロック読みをするとこう見えます。
- 状況ブロック:
「徒歩で20分かかる」→ 20分ぶんの距離がスタート状態 - 変化ブロック:
「最初の8分を走った」「走ると、歩くより1分あたり20m多い」
→ 歩く速さとの差がポイント - 質問ブロック:
「あと何m残っていますか」
悪もこあい先生:
「走る・歩く・速さ・距離…なんて言葉にビビる必要ないの。
大事なのは、“最初の20分分の距離”から“最初の8分で進んだ距離”を引けばいいって構造が見えるかどうかよ。」
Step5:ブロック読みは「線を引く」だけでも効果がある
文章題を読むとき、最初に次の3か所に線を引いてみましょう。
- 状況ブロック → 青線
- 変化ブロック → 赤線
- 質問ブロック → 緑線
これだけで、
- どこをメモすればいいか
- どこが計算の中心になるか
が一瞬で整理できます。
この方法は、国語・理科・社会の文章問題にも応用できる万能技です。
もこあい先生:
「ブロック読みの本質は、“文章を情報のまとまりに分けること”なんだ。
切り分けると、難しく見えた文章でも“やることの順番”が自然に見えてくるよ。」
第4章|文章題の“型”を見抜く(パターン分類で迷いが激減)

文章題は見た目がバラバラでも、中身には必ず「型」があります。
この型を知っておけば、初めて見る問題でも「これはあのパターンだな」と理解が速くなります。
よく出る5つの型(一覧)
| 型 | 内容 | キーワード | 解くときの視点 |
|---|---|---|---|
| ① 増減型 | 増える・減るのくり返し | 〜増えました/〜減りました | 変化量を整理する |
| ② 交換型 | ○○と××を交換・移動する | 交換/入れ替える | 最初と最後を比べる |
| ③ 比例・反比例型 | 速さ・値段・個数など比例関係 | 1あたり/まとめて | 「1あたり」の量を見る |
| ④ 移動型(速さ) | 道のり・時間・速さ | km/m/時間 | 速さ=距離÷時間で整理 |
| ⑤ 合流・分岐型 | 同時に動く/別れて動く | 合流/分かれる | 2つの流れを図で描く |
この表が、文章題全体に対する「入口マップ」になります。
まず最初にやることは、たった1つ。
「この問題はどの型に近い?」と仮決めすること。
仮でOKです。間違っていても構いません。枠を決めることで、情報が整理されやすくなります。
第5章|ブロック読み × 型分類の合わせ技(最強コンボ)

ここから、文章題が本当に「読める!」感覚に変わっていきます。
文章題は、
「ブロック(状況・変化・質問)」 × 「型(パターン)」
で読むと、ほとんど迷わなくなります。
例題(統合版)
「ある店で1000円持って買い物しました。
1本120円のペンを3本買い、
そのあと、1冊160円のノートを2冊買いました。
最後に、いくら残っていますか。」
Step1:ブロック読みで整理
- 状況:1000円を持っている
- 変化①:120円のペンを3本買う
- 変化②:160円のノートを2冊買う
- 質問:残金はいくらか
Step2:型を仮決めする
これは「増減型」+「買い物(比例)」の組み合わせだと分かります。
Step3:計算の順番を決める
- スタート:1000円
- ペン:120 × 3
- ノート:160 × 2
- 1000 − 120×3 − 160×2 を計算
このように、文章を読んでから考えるのではなく、ブロックと型で「骨組み」から見ると、
難しそうに見える問題も、落ち着いて整理できるようになります。
第6章|【悪もこあい先生コラム】文章題の「罠」の見破り方

悪もこあい先生:
「文章題にはね、“わざと迷わせる仕掛け”がいくつも仕込まれてるのよ。
アンタたち、今までその罠にきれいに引っかかってたわけ。」
よくある罠①:数字がやたら多い
→ でも、本当に使うのはそのうち2つだけ、なんてことはよくあります。
よくある罠②:順番が分かりにくい
→ ブロック読みで「状況→変化→質問」の順に並べ替えれば解決します。
よくある罠③:同じ意味を言い換えてくる
例:「代金」「支払い金額」「使ったお金」など。
→ 実は全部「支払ったお金」で同じ、というパターンです。
よくある罠④:途中情報を「ただの説明」に見せかける
→ 実は変化ブロックの計算に使う数字だった、というケースも多いです。
悪もこあい先生:
「ふふん。騙される方が悪い…なんて言わないでおいてあげるわ。
でも、もう大丈夫。ブロックと型が分かったアンタたちは、罠を見破れる側よ。」
第7章|「どう練習すれば得意になるか」が一番大事

文章題は筋トレと同じで、「力が伸びる順番」があります。
いきなり難問に挑むより、
- 超短文の増減型
- 短めの買い物問題
- 少し長い文章題
- 型分類の練習
- 長文+図・表の練習
- わざと罠が入っている問題
- 総仕上げ問題
といった流れで進んだ方が、安定して伸びていきます。
7日間トレーニングプラン(例)
- Day1:超短い増減型だけを解く(3ブロックを意識する)
- Day2:「〇円のものを×個買う」タイプの買い物問題を中心に
- Day3:少し長めの問題で、文章に線を引いてブロックを切る練習
- Day4:問題を見た瞬間に「どの型?」と仮決めする習慣作り
- Day5:図や表を自分で描いて整理する練習
- Day6:わざとひっかけが入った問題で、罠のパターンを知る
- Day7:長文の総合問題を1〜2問、ブロック+型でじっくり解く

《恵子のメモ帳》今日からできる!文章題トレーニングのコツ
- 毎回「状況・変化・質問」に色ペンで線を引いてみる
- 問題の右上に「増減型」「移動型」など、型のメモを書く
- 1日1問でもOK。「ちゃんとブロックを切って読んだ」自分をほめる
- 分からなかった問題は「どこで分からなくなったか」を1行でメモしておく
少しずつでいいから、「読み方の練習」をしていこうね。
第8章|心理学から見た「文章題が解ける脳」の作り方(さらっと)

ここでは、文章題と脳のはたらきについて、ほんの少しだけ触れておきます。
ポイント①:ワーキングメモリを使いすぎない
文章題で頭が真っ白になる大きな理由の一つは、
「一度にたくさんの情報を抱え込みすぎること」です。
ブロック読みは、情報を「状況・変化・質問」に分けることで、
一度に覚えておく量を減らし、ワーキングメモリの負担を軽くする技術です。
ポイント②:図や表は“サボり”ではなく、脳にやさしい道具
図や表を描くと、「ちゃんと頭で考えていない気がする」と思う人もいるかもしれません。
でも実際は逆で、図や表は脳の負担を減らして、本質に集中するための道具です。
ポイント③:「できた!」の小さな成功体験が次の一歩を生む
心理学では、「自分でできた」という感覚が、次の行動を生む原動力だと言われています。
文章題も、短いものからでいいので「読めた」「切れた」「解けた」を積み重ねると、
少しずつ苦手意識がほどけていきます。
もこあい先生:
「文章題が苦手なあなたは、能力が低いわけじゃなくて、
ただ“脳にやさしくない読み方”をしていただけなんだよ。
読み方を変えれば、脳はちゃんと応えてくれます。」
第9章|文章題の読み方は、他の教科にも役に立つ

ブロック読みは、数学だけの技ではありません。
例えば、
- 国語の説明文
- 理科の実験の手順
- 社会の歴史の流れや、資料の読み取り
なども、
「何についての話(状況)」→「どう変化するか」→「何を答えるか(質問)」
という構造を持っています。
文章題の読み方を身につけることは、
他の教科や、将来の仕事・生活で文章を読む力にもつながっていきます。
第10章|まとめ:読めるようになると、行動が楽になる

もこあい先生:
「文章題は、最初から得意な人なんていません。
ただ、“読む手順”を知っているだけなんです。」
ブロック読みと型の考え方を知れば、
文章題はセンスではなく技術で読めるようになります。
技術は、ゆっくりでも確実に身についていきます。
今日の小さな一歩は、これまでと違う読み方をつくる、確かな一歩です。
今日のまとめ
- 文章題は「状況・変化・質問」の3ブロックで読む
- 最初に「これはどの型?」と仮決めすると迷いにくい
- ブロック × 型で、文章の骨組みが一気に見えるようになる
- 練習は、短い増減型 → 少し長め → 型判別 → 長文、と段階的に
- 図や表は、脳にやさしく本質に集中するための大事な道具
もこあい先生より:
「今日の“なんで?”を大切にしよう。
正解より、考えた道のりが宝もの。」
訂正と追記について
本記事の内容で誤りや分かりにくい点を見つけた場合は、
コメント欄またはお問い合わせフォームからお知らせいただけると助かります。
必要に応じて、本文の修正や追記を行い、この欄でお知らせしていきます。
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- 2025年12月7日:初稿公開

