国語の問題で、「『これ』は何を指していますか」
「『それ』とは何のことですか」と聞かれて、どこを見ればいいのかわからなくなることはありませんか。「これ・それが出てきたら、前を見ればいい」と覚えている人もいるかもしれません。たしかに、指示語が指している内容は、その前に書かれていることが多いです。でも、すぐ前にある言葉をそのまま答えればよいとは限りません。「これ」「それ」「このこと」などは、一つの言葉だけでなく、前の文や出来事、説明された内容全体を指していることもあります。大切なのは、「指示語のところに何を入れると、文の意味が自然につながるか」を確かめることです。この記事では、指示語が何を指しているのかわからないときの考え方を、次の5ステップで整理します。

  1. どの指示語について聞かれている?
  2. 指示語を含む文を最後まで読む
  3. 前のどこまでが関係しているか見る
  4. 候補を指示語のところに入れてみる
  5. 前後の意味が自然につながるか確かめる

「これ」「それ」をすぐ前の言葉だけで決めず、文章の前後を見る健太と恵子

まず覚えておきたい|指示語は「代わりに置かれた言葉」

「これ」「それ」「あれ」などは、前に出てきた言葉や内容を何度も書かなくてもよいように使われることがあります。

たとえば、次の文を見てみましょう。

健太は赤いかさを買いました。
それを学校へ持っていきました。

この「それ」は、何を指しているでしょうか。

「それ」のところに、前に出てきた「赤いかさ」を入れてみます。

赤いかさを学校へ持っていきました。

意味が自然につながります。

そのため、この「それ」は「赤いかさ」を指していると考えられます。

このように、指示語の問題では、

指していそうな言葉や内容を、実際に指示語のところへ入れて読んでみる

ことが大切です。

「それ」を「赤いかさ」に置き換えて意味を確かめる指示語の基本例

でも「指示語=すぐ前の言葉」ではない

指示語の問題で気をつけたいのが、

「すぐ前の名詞を見つけたら、それを答える」

と決めてしまうことです。

たとえば、次の文を見てみましょう。

わたしは毎朝、学校へ行く前に花に水をやっています。
これは、一年生のころから続けている習慣です。

「これ」が指しているのは、すぐ前にある「花」という一語ではありません。

「学校へ行く前に花に水をやること」

という前の内容を指しています。

「これ」に入れてみると、

学校へ行く前に花に水をやることは、一年生のころから続けている習慣です。

と自然につながります。

つまり、指示語は、

  • 一つの言葉
  • 前の文
  • 出来事
  • 説明された内容全体

などを指すことがあります。

「指示語=直前の名詞」ではなく、「何を入れると意味がつながるか」を考えましょう。

「これ」を直前の「花」だけでなく「花に水をやること」全体から考える比較図

指示語を見つける5ステップ

ここから、5ステップを一つずつ見ていきます。

指示語が何を指すかを考える5ステップを順番に示した図

ステップ1|どの指示語について聞かれている?

まず、問題で聞かれている指示語を確認します。

よく出てくるのは、たとえば次のような言葉です。

  • これ
  • それ
  • あれ
  • このこと
  • そのこと
  • このようなこと
  • こうしたこと

最初に、

「どの言葉が何を指しているのか」

をはっきりさせましょう。

ステップ2|指示語を含む文を最後まで読む

次に、指示語だけを見るのではなく、その指示語が入っている文を最後まで読みます。

たとえば、

それが、わたしが毎日練習している理由です。

という文があったとします。

「それ」だけでは、何を指しているのかわかりません。

でも、後ろを見ると、

「理由です」

と書かれています。

すると、「それ」には、何かの理由になる内容が入りそうだと考えられます。

指示語の問題では、前だけでなく、指示語の後ろに続く言葉も手がかりになります。

ステップ3|前のどこまでが関係しているか見る

指示語が指している内容は、多くの場合、その前に書かれています。

そこで、指示語の前へ戻ります。

ただし、一つ前の言葉だけを見るのではありません。

「前のどの言葉・文・出来事まで関係している?」

と考えてみましょう。

必要なら、

  • 一つ前の言葉
  • 前の文
  • そのさらに前の文
  • 同じ段落の出来事や説明

まで少し広げて読みます。

大切なのは、

「近くに何があるか」ではなく、「どこまでの内容がこの指示語につながっているか」

を見ることです。

ステップ4|候補を指示語のところに入れてみる

「これかもしれない」という候補が見つかったら、実際に指示語の代わりに入れて読んでみましょう。

たとえば、

恵子は図書館で動物の本を借りました。
それを家に帰ってから読みました。

「それ」に「動物の本」を入れてみます。

動物の本を家に帰ってから読みました。

自然につながります。

このように、候補を実際に入れて読むと、答えを確かめやすくなります。

ステップ5|前後の意味が自然につながるか確かめる

最後に、候補を入れた状態で前後まで読みます。

次の三つを確認しましょう。

  • 文として意味が自然につながるか
  • 前後の出来事や説明と合っているか
  • 問題で聞かれていることに答えているか

「すぐ前に書いてあったから」だけで決めず、

本文全体のつながりから考えても合っているか

まで確かめることが大切です。

本文へ戻りながら指示語の5ステップを使って答えを確かめる様子

基本例|一つの言葉を指す「それ」

まずは、指示語が一つの言葉を指している基本問題です。

恵子は図書館で動物の本を借りました。
それを家に帰ってから読みました。

① どの指示語?
「それ」です。

② 文を最後まで読む
「それを家に帰ってから読みました。」

「読むもの」が入りそうです。

③ 前を見る
前の文には「動物の本を借りました」とあります。

④ 入れてみる

動物の本を家に帰ってから読みました。

⑤ 意味を確認する
自然につながっています。

したがって、

「それ」=動物の本

と考えられます。

恵子が借りた「動物の本」を「それ」が指している基本例

少しむずかしい例|一つの言葉ではなく「内容全体」を指す

基本問題では、一つの言葉を指すことがあります。

でも、少しむずかしくなると、前に書かれたこと全体を指している場合があります。

次の文を見てみましょう。

健太は毎日、漢字練習を続けました。
間違えた漢字は、その日のうちにもう一度書き直しました。
そのことが、漢字テストの点数が少しずつ上がったことにつながりました。

「そのこと」は何を指しているでしょうか。

すぐ前には、

「間違えた漢字を書き直した」

とあります。

でも、さらに前を見ると、

  • 毎日漢字練習を続けた
  • 間違えた漢字を書き直した

という二つの内容があります。

点数が上がったことにつながったのは、どちらか一つだけではなく、こうした取り組みの積み重ねだと読むほうが自然です。

つまり、ここでは、

「毎日練習を続け、間違えた漢字を書き直してきたこと」

という前の内容全体を指していると考えられます。

指示語は、一語だけでなく、複数の文の内容をまとめて指すこともあるのです。

指示語が一つの言葉だけでなく複数の出来事全体を指す場合を示した比較図

高学年例|候補を比べて考えてみよう

高学年になると、「近くにある言葉を一つ選ぶ」だけでは解けない問題も増えてきます。

次の文を読んでみましょう。

健太たちは模型作りに何度も失敗しました。
それでもすぐにあきらめず、作り方を変えて試しました。
わからないところは友達どうしで相談し、最後にはみんなで模型を完成させることができました。
この経験から、健太は協力することの大切さを学びました。

「この経験」は何を指しているでしょうか。

三つの候補を比べてみます。

  • A:友達に相談したこと
  • B:模型を完成させたこと
  • C:失敗しても工夫し、友達と相談しながら模型を完成させた一連の経験

Aも本文に書かれています。

でも、Aだけでは、健太たちが経験した出来事の一部分しか表していません。

Bも本文に書かれています。

しかし、Bだけでは「完成した」という結果しか表していません。

Cには、

  • 失敗した
  • 工夫した
  • 友達と相談した
  • みんなで完成させた

という一連の流れが入っています。

さらに、

この経験から、健太は協力することの大切さを学びました。

という後ろの文にも自然につながります。

したがって、最も適切なのはCだと考えられます。

このような問題では、

本文に書いてある候補の中から、「前後の意味に最も合う範囲」を選ぶ

ことが大切です。

「この経験」が指す範囲をA・B・Cの候補から比較して考える高学年向け例

指示語の「後ろ」もヒントになる

指示語の問題では、「前を見る」という説明がよく使われます。

もちろん、前を見ることは大切です。

でも、後ろに続く言葉も答えを考えるヒントになります。

たとえば、

それが、けがをした原因でした。

とあれば、「それ」には、けがの原因になる出来事が入りそうです。

一方で、

それが、わたしのいちばん楽しかった思い出です。

とあれば、「それ」には、思い出になる出来事が入りそうです。

つまり、

「指示語の後ろに何が続いているか」から、どんな内容が入りそうかを考える

ことができます。

前だけを探すのではなく、指示語を含む文を最後まで読むことを忘れないようにしましょう。

「それ」の前だけでなく「原因」「思い出」など後ろの言葉も手がかりにする図

「そのため」「その結果」は少し違う

文章の中には、

  • そのため
  • その結果

のような表現も出てきます。

これらは「これ」「それ」とまったく同じではありませんが、前に書かれた内容を受けながら、後ろの文との関係を示す働きがあります。

たとえば、

雨が朝から降り続き、校庭には大きな水たまりができました。
そのため、今日の外遊びは中止になりました。

「そのため」は、直前の「水たまり」という一語だけを見るより、

雨が降り続き、校庭に大きな水たまりができたこと

という前の内容を受けていると考えるほうが自然です。

こうした表現でも、やはり大切なのは、

直前の一語だけで決めず、前後の文のつながりを見ること

です。

「そのため」が前の内容全体を受けて後ろの文につなぐことを示した図

よくある間違い①|すぐ前の言葉に決めつける

よくあるのが、

「『それ』の前に○○と書いてあるから、答えは○○」

とすぐ決めてしまうことです。

一つ前の言葉が答えになることもあります。

でも、それだけではまだ決められません。

候補を指示語のところに入れて、意味が本当に自然につながるかまで確認しましょう。

よくある間違い②|「これ」「それ」だけを見る

「これ」「それ」という一語だけを見ていても、何を指しているのかはわかりません。

指示語は、前後の文章との関係によって、何を指しているのかが決まります。

迷ったら、

  • 指示語を含む文
  • その前の文
  • 必要ならさらに前

まで戻りましょう。

よくある間違い③|答える範囲が短すぎる・長すぎる

指示語の答えが、一つの言葉になる場合もあります。

一方で、出来事や説明全体を指している場合もあります。

そのため、答えを短くしすぎると、必要な内容が抜けてしまうことがあります。

反対に、前の段落を全部写せばよいわけでもありません。

大切なのは、

その指示語が指している内容として、必要な範囲を答えること

です。

字数指定や「○字で抜き出しなさい」などの条件があるときは、その条件も忘れずに確認しましょう。

指示語問題で起こりやすい三つの間違いを悪もこあい先生が実演する図

高学年になるほど「言葉探し」だけでは解けなくなる

低学年では、

りんごを買いました。
それを食べました。

のように、一つの言葉を指す問題が多くあります。

しかし、学年が上がるにつれて、

  • 出来事
  • 理由
  • 考え
  • 説明
  • 前の文全体
  • 複数の文をまとめた内容

を指す問題も出てきます。

だから、高学年では、

「どの言葉を指す?」だけでなく、「どの内容をまとめて指している?」

と考えることが大切になります。

指示語の問題は、一見すると本文から言葉を探す問題のように見えます。

でも、本当に見たいのは、

文と文の意味のつながり

です。

「これ」「それ」の前に何が書かれているか。

その後ろには、どんな言葉が続いているか。

候補を入れたときに、前後の意味が自然につながるか。

ここまで確認すると、指示語の問題はかなり考えやすくなります。

「指示語=前の言葉探し」ではなく、「指示語=文のつながりを確かめる問題」

と考えてみましょう。

低学年の一語を指す問題から、高学年の内容全体を指す問題へ発展する図

保存用|指示語を見る5チェック

指示語の問題で迷ったら、次の5つを確認してみましょう。

  1. どの「これ・それ」について聞かれている?
  2. 指示語を含む文を最後まで読んだ?
  3. 前のどこまでが関係しているか見た?
  4. 候補を指示語のところに入れてみた?
  5. 前後の意味が自然につながった?

すぐ前の言葉だけで決めない。

むずかしいときほど、本文へ戻ろう。

指示語の答えを考えるときに確認する5項目をまとめた保存用チェックリスト

小学生国語|読解5ステップシリーズ

国語の問題で困るところは、人によって違います。

このシリーズでは、
本文へ戻り、いくつかの手がかりをつないで考える読み方
を5つのテーマに分けて紹介しています。


  1. ① 小学生の国語で答えの場所がわからない人へ|問題文と本文を見る5ステップ

    問題で何を聞かれているか確認し、本文のどこを見ればよいのかを整理します。

  2. ② 小学生の国語で「なぜですか」に答えられない人へ|理由の見つけ方5ステップ

    「から」という言葉だけを探さず、出来事の前後や文章のつながりから理由を考えます。

  3. ③ 登場人物の気持ちがわからない小学生へ|会話・行動・様子から考える5ステップ

    会話・行動・様子・前後の出来事を手がかりにして、本文の根拠から登場人物の気持ちを考えます。
  4. ④ 小学生の国語で「これ・それ」がわからない人へ|指示語を見つける5ステップ
    ← 今読んでいる記事です
    「これ・それ」をすぐ前の言葉だけで決めず、指示語を含む文や前後の内容を見て、何を指しているのかを考えます。

  5. ⑤ 説明文の大事なところがわからない小学生へ|問い・答え・繰り返しを見る5ステップ

    問い・答え・繰り返される言葉や内容・段落のつながりから、文章の中心を考えます。

シリーズ共通のポイント:
「これ・それ=すぐ前の言葉」のように、一つの目印だけで答えを決めず、
候補を当てはめながら前後の意味が自然につながるかを確かめ、
「本文のどこからそう考えた?」
まで確認してみましょう。

参考文献・参考資料

この記事の作成にあたり、主に以下の資料を参考にしました。

  • 文部科学省「小学校学習指導要領(平成29年告示)解説 国語編」
    小学校国語における「指示する語句」「接続する語句」や、文と文とのつながり、文章の構成に関する学習内容を確認するために参照しました。
  • 文部科学省「平成29・30・31年改訂 学習指導要領(本文、解説)」
    現在の小学校国語の学習内容・学年ごとの位置付けを確認するために参照しました。

本記事では、学習指導要領の内容をそのまま説明するのではなく、小学生が国語の読解問題で迷ったときに使いやすいよう、指示語の考え方を「5ステップ」と具体例に整理しています。

訂正・追記履歴

  • 2026年9月|初稿作成
    「これ・それ」を直前の言葉だけで決めず、指示語を含む文・前の内容・前後のつながりを確認する「5ステップ」を中心に記事を作成しました。基本例、高学年向けの比較例、よくある間違い、保存用5チェックを追加しました。

まとめ|「これ・それ」は入れて読んで確かめよう

指示語の問題で大切なのは、

「これ・それ=すぐ前の言葉」

と機械的に決めないことです。

迷ったら、次の5ステップに戻りましょう。

  1. どの指示語について聞かれているか確認する
  2. 指示語を含む文を最後まで読む
  3. 前のどこまでが関係しているか見る
  4. 候補を指示語のところに入れてみる
  5. 前後の意味が自然につながるか確かめる

指示語が、一つの言葉を指すこともあります。

前の文や、いくつかの出来事をまとめて指すこともあります。

だからこそ、指示語だけを見るのではなく、

本文の前後と、文と文のつながりを見ること

が大切です。

答えが見つからないときほど、本文へ戻ってみましょう。

「どこからそう考えたのか」が見えてくると、指示語だけでなく、国語の読解そのものも少しずつ考えやすくなっていきます。

今日の“なんで?”を大切にしよう。
正解より、考えた道のりが宝もの。