【この記事についてのご注意】
本記事は、筆者(もこあい先生)の学習経験にもとづいて、中学数学「文字式」の基礎をわかりやすくまとめたものです。
内容には細心の注意を払っていますが、誤りやより良い表現の余地が残っている可能性があります。
「ここが違うかも?」「この説明をこう言い換えると分かりやすい」などお気づきの点がありましたら、コメント欄やお問い合わせフォームから教えていただけると嬉しいです。

【中学生向け】文字式の世界へようこそ|小学校→中学校のつまずきをゼロにする入門ガイド

このページは「中1で習う文字式がよくわからない…」という人向けの入門ガイドです。
文字式の意味から計算のコツ、文章題まで、ゼロからていねいに復習できます。

このページでできるようになること

  • 文字式が「何をしている式」なのかイメージできる
  • 中1レベルの文字式の計算(足し算・引き算・かけ算・わり算)を復習できる
  • 図(面積モデル)を使って、文字式の意味を直感的に理解できる
  • 高校数学の「多項式の展開」がどんな内容か、少しだけのぞける

文字式って何?

小学校で使っていた「□(しかく)」や「△」を覚えていますか?
中学に入ると、それが「x」や「y」といった“文字”に変わります。
この文字を使った式を、文字式(もじしき)といいます。

たとえば、りんごが x 個、1個100円なら、全部で 100x 円。
距離=速さ×時間を文字で表すと、d=vt
これが「文字式」で、数を一般化する“便利なことば”なんです。

縦x、横yの長方形の面積がxyになることを示した図。文字式の意味を面積モデルで説明している中学生向けの学習イラスト。
面積モデルで文字式の意味をイメージしよう

【コラム】なぜ文字式を使うの?

昔の数学では、数をそのまま書いて計算していました。
でも「どんな数にも通じる法則」を見つけるには、文字が必要になったんです。

バビロニアや古代エジプトでは、図形で考えていましたが、17世紀にデカルトが“文字を使う式”を広め、数学が一気に発展しました。
つまり、いま中学で学んでいる文字式は、世界中で使われている共通のことばなんです。


文字式の決まりごと(中1の基礎)

  • かけ算は省略して書く(例:2×x → 2x)
  • アルファベットは基本的にアルファベット順(例:ab、xyなど)
  • マイナスや分数もそのまま書ける(例:-3x、x/2)
  • 文字と数のあいだに「×」を書かない

慣れるまでは違和感があるけれど、だんだん自然になります。


文字式の計算(基礎)

① 足し算・引き算(同類項をまとめる)

3x + 2x - x = 4x

同じ文字(x)の項だけを足したり引いたりします。

② かけ算

2a × 3b = 6ab

③ わり算

6x ÷ 3 = 2x

シンプルですが、すべての数学の基礎です。

縦2a、横3bの長方形の面積が6abになることを示した図。文字式のかけ算をたて×よこ=面積として説明しているイラスト。
かけ算は「たて×よこ」=面積として考えるとわかりやすい

レベル別・練習問題ゾーン

ここからは、実際に手を動かして慣れていくゾーンです。
レベル1から順番に、ノートに式を書きながらチャレンジしてみてください。

レベル1:同類項をまとめよう

  1. 3x + 5x
  2. 7y – 2y
  3. 2a + 3a – a
  4. 5x – 3x + x

レベル2:かけ算・わり算に慣れよう

  1. 2a × 4b
  2. 3x × (-2)
  3. 8y ÷ 4
  4. -6a ÷ 3

レベル3:少しまとめた式にしよう

  1. 2x + 3x + 4
  2. 5a – 2a + 1
  3. 3(x + 2) を「かけ算の形」に直そう
  4. 2(a + b) の中身を同類項ごとに書き出そう

解き終わったら、答えを自分で作ってみたり、先生や友だちに確認してもらうのもおすすめです。


図で理解する「文字式の本当の意味」

文字式は「数の関係をひとつの式で表す」道具です。
たとえば、たて x cm、よこ y cm の長方形の面積は xy
もし x=3, y=5 なら面積は15。
どんな値でも使えるのが文字式のすごさです。

この考え方は、のちの「展開」や「因数分解」につながっていきます。
実際、高校数学①では、この“面積モデル”を使って多項式の展開を学びます。

▶ 高校数学①:多項式の展開をゼロから理解する


文章題で実践:式にしてみよう(キャラ登場)

(1)アイス代の謎

アイス1個を x 円、ジュース1本を y 円とする。
健太はアイス2個とジュース1本、恵子はアイス1個とジュース2本買った。合計金額を文字式で表せ。

答え: 健太:2x + y、恵子:x + 2y、合計:3x + 3y

中学生向け文字式の文章題「アイス代の謎」の場面。
(1)アイス代の謎:アイスx円、ジュースy円の合計を文字式で表そう

(2)映画館のセット

ポップコーンを a 円、ドリンクを b 円とする。
もこあい先生はポップコーン1つとドリンク2つ、健太は2人分の同じセットを買った。支払合計を文字式で表せ。

答え: 1セット:a + 2b、合計:3a + 6b

文字式の文章題「映画館のセット」の場面。
(2)映画館のセット:1セットa+2b円が3人分になったときの合計を考えよう

(3)悪もこあいの罠

ノート1冊を n 円、ペン1本を p 円とする。
「ノート3冊とペン2本の2倍の値段は?」この合計を文字式で表せ。

答え: 1回分:3n + 2p、2倍:6n + 4p

文字式の文章題「悪もこあいの罠」の場面。
(3)悪もこあいの罠:3n+2pの2倍を6n+4pにできるかチャレンジ

ここから先はチャレンジゾーン!

ここまで理解できたら、中学レベルはバッチリ。
ここからはちょっとレベルアップして、高校の入り口に触れてみよう。

例題:展開の入り口

(x + 2)(x + 3) = x² + 5x + 6

このように、(a+b)(a+c) の形を「展開」といいます。
もしこの式が理解できたら、もう高校数学①へ進めるレベルです!

▶ 高校版へ進む:「多項式の展開」完全ガイドを見る


つまずきやすいポイントまとめ

  • 同類項のまとめ忘れ
  • マイナスの付け忘れ
  • かけ算の省略ミス(2×xを2xにし忘れる)
  • 文字を入れて確かめると理解が早い

《恵子のメモ帳:今日の行動メニュー》

  • レベル1〜3の練習問題をノートに解いてみる
  • 図(面積モデル)をノートに描いて、自分の好きな数を入れて確かめてみる
  • 文章題の3パターン(アイス・映画館・悪もこあい)を、自分なりの言葉で書き直してみる
  • 展開の形を見つけたら高校①をのぞいてみる

まとめ:
文字式は「数を言葉にする」ための魔法のツール。
これができるようになると、数学の見え方が一気に変わります。
焦らず、まずは x と仲良くなってみましょう。

もこあい先生より:「今日の“なんで?”を大切にしよう。正解より、考えた道のりが宝もの。」


参考文献・出典

※引用・要約を含みます。誤りや解釈の幅があり得ることをご了承ください。

  1. 文部科学省(2023)『中学校学習指導要領(数学編)』
  2. 東京書籍(2024)『新しい数学1』
  3. デカルト(1637)『方法序説』より代数学部分抜粋(岩波文庫版などを参照)
  4. National Library of France: Descartes’ Geometry Digital Archive(参照日:2025年12月4日)