国語長文が苦手な人へ
逆説で変わる読み方3つのコツ【もこあい先生】

「国語の長文、ちゃんと読んでいるつもりなのに、なぜか点数が伸びない……」
「選択肢を読むと、どれもそれっぽく見えてしまう……」
そんな“モヤモヤ長文勢”のために、この記事では
「逆説(しかし・ところが など)」を軸にした読み方を整理します。

もちろん、国語長文は「逆説」だけで解けるわけではありません。
でも、多くの文章で「話がひっくり返るポイント」=逆説が、とても大きなヒントになります。

本記事では、

  • 今の読み方がどこで損をしているかをチェックし
  • 長文の「型」と「ブロック読み」を軽くおさえた上で
  • 逆説から一段深い答えを“生み出す”3つのコツを整理し
  • 「やらかしがちな失敗パターン」もあえてさらし
  • 最後に3日間だけやってみるトレーニングプランまで用意します。

読み終わるころには、
「とりあえず、長文を解く前に“逆説”を探してみるか」
と思えるところまでいければ、この記事の役目はひとまず達成です。

今日のゴール
「長文を解くとき、まず“逆説”を探してから読む」という習慣のきっかけを作る。



今の読み方がずれていないかチェックしてみよう

まずは、今の自分の長文の読み方が「どのタイプ」に近いか、ざっくり確認してみましょう。
下の表の中で、「あ、これ自分っぽい」と感じるものがあれば、それが伸びしろです。

やり方のタイプ よくある行動 何がもったいない? どう変える?(一言)
量ゴリ押し型 最初から最後まで、全部同じスピードで真面目に読む。 大事なところも、そこまで重要でないところも同じ扱いになる。 文章の「かたまり(ブロック)」ごとに強弱をつけて読む。
マーカーベタ塗り型 ほぼ全部に線を引いてしまい、ノートがどこも真っ黄色になる。 後から見返しても、「どこが一番大事か」が分からない。 1つの段落で「ここだけ!」という文にだけ印を付ける。
なんとなく雰囲気型 一応読んではいるが、「なんとなくこの選択肢かな」で選んでしまう。 文章を読んだ時間が、点数につながりにくい。 「どの文を根拠にしたか」を自分に言語化してみる。
今日やること(セルフチェック)
今の自分に一番近いタイプを1つだけ選び、
「どう変える?」の欄をノートにメモしておく。
(後でトレーニングプランのときに使います)



長文の「型」を見抜いて、1段落をブロックに分けてみよう

国語長文はバラバラな文章に見えて、実はある程度「型(パターン)」があります。
たとえば説明文なら、ざっくり次のような流れになっていることが多いです。

  • 導入:テーマの提示・問題提起
  • 理由:なぜそうなるのか
  • 具体例:実際の例・たとえ
  • まとめ:言いたいことの整理

これを一息で全部読もうとすると、頭の中がごちゃごちゃになります。
そこで使うのが、数学の記事でも出てきた「ブロック読み」です。

1つの段落を、内容の切れ目ごとに「|」で区切り、
それぞれのブロックに「何の話か」を3〜5文字でメモしてみます。


ノートを「問題・理由・例」の3つに区切って書き込む学生のアニメ調イラストで、国語のブロック読みの仕組みを視覚的に示した図。
段落を「問題」「理由」「例」などのブロックに分けて読むイメージ。
今日やること(ブロック読み入門)
1. 教科書かワークの説明文を1段落だけ選ぶ。
2. 内容の切れ目ごとに「|」を入れてみる。
3. 各ブロックの上に、「問題」「理由」「例」など、3〜5文字でメモを書く。
※きれいに分けられなくてもOK。「なんとなく」で大丈夫です。



逆説から一段深い答えを“生み出す”3つのコツ

ここからがこの記事のメインディッシュ、「逆説」です。
「しかし」「ところが」「だが」「けれども」などの逆説は、
文の流れをわざとひっくり返すスイッチとして使われます。

逆説をうまく読むと、
みんなが「なんとなく」選んでいる選択肢から、
一段深い答えを“生み出す”ことができるようになります。


日本語文の中で「しかし」にスポットライトが当たり、その後の文に小さな星印が付いて流れが変わる様子を示した逆説の図。
「しかし」など逆説の語は、話の流れがひっくり返る重要ポイント。

コツ1:逆説の前後で「何が変わったか」を一言にする

まずやってほしいのは、逆説の前後で何が変わったかを一言で言い表すことです。

例えば、こんな文章があったとします。

私たちはふだん、自分の経験だけをもとに物事を判断しがちです。
しかし、 一人ひとりの経験には限界があり、そこから見える世界はごく一部にすぎません。

このとき、

  • 逆説の前:「人は経験だけで判断しがち」
  • 逆説の後:「経験には限界がある」

と読めます。
これを一言でまとめると、

「経験だけでは足りない」という話にひっくり返った

ということです。

今日やること(逆説の「変化」をつかむ)
1. 長文の中から「しかし」「ところが」などを1か所だけ探す。
2. その前後の文を読み、
「〇〇だと思われている。しかし、本当は△△だ。」
の形でノートに書いてみる。
3. 「〇〇→△△」の変化を、一言でまとめてみる。
例:「経験は大事 → 経験だけでは足りない」

コツ2:「逆説の後ろ=正解」と決めつけない

よくある誤解が、
「逆説の後ろに本音があるって聞いたから、ここだけ読めばいいや」
という考え方です。

たしかに「逆説の後ろ」が大事なことは多いのですが、
前に書かれていた条件や前提を無視してしまうと、
かえって文章を極端に読みすぎてしまうことがあります。

逆説は、

  • 前:みんながこう考えがちなこと・一般的な考え
  • 後:その考えへの修正・例外・「でもね」の部分

というセットで読むのがポイントです。

コツ3:設問と逆説の関係をチェックする

逆説を見つけたら、設問との関係も確認しましょう。特に、

  • 「筆者の考えとして適切なものを選べ」という問題
  • 「本文の内容と合っているものを選べ」という問題
  • 「傍線部の理由として最も適切なものを選べ」という問題

などでは、逆説の後の文がヒントになっていることが多いです。

今日やること(逆説→設問)
1. 過去問やワークから、説明文の問題を1つだけ選ぶ。
2. 本文の中で「しかし」「ところが」を探し、前後に★マークをつける。
3. 選択肢の中に、「★の内容に近いもの」がないか探してみる。
※見つからない場合もあります。そのときは「今回は逆説が主役じゃない問題なんだな」と分かればOKです。



コラム:逆説の一言が“正解”を生み出した瞬間

ここからは、少しだけ「人と人との会話」の話をします。
自分の考えを、相手の逆説の一言がひっくり返してくれて、
結果的に「正解」に近づいたという場面は、勉強の外にもよくあります。

シチュエーション 相手の逆説の一言 その場の気持ち 後から分かったこと 学べるポイント
テスト前、全部の問題を完璧に解こうとしていた。 全部で満点を狙わなくていいよ。
でも基本問題だけは落とさないようにしよう。」
「え、全部がんばるのはダメなの?」と少しモヤっとした。 時間は有限。
「どこを落としてはいけないか」を決める方が、点数につながると気づいた。
逆説の一言が、「量の努力」から「質の努力」への切り替えを生み出すことがある。
感想文で、いいことだけを書こうとしていた。 好きなところだけじゃなくて、
『でも、ここは分かりにくかった』も書いていいんだよ。」
「そんなこと書いたら失礼じゃないかな…」と不安だった。 分かりにくかった理由を考えることで、逆に作品への理解が深まった。 「でも〜」という逆説が、自分の考えを一段深くしてくれることがある。

健太: 「そのときは、モヤっとする逆説もあるよね……。」

もこあい先生: 「うん。でも、後から振り返ると、
『あの一言がなかったら、ずっと同じやり方のままだったな』って気づくことも多いんだよ。」

ちょっとやってみよう(自分の逆説体験)
今までに誰かから言われた言葉で、
「そのときはモヤっとしたけれど、今思えば“正解”につながった逆説」
1つだけノートに書いてみよう。
それが「自分のどんな考え方」をひっくり返してくれたのかも、一言でメモしてみてください。



コラム:やらかしがちな「逆説」読み3つの失敗パターン

逆説は強い武器ですが、使い方を間違えると、かえって点数を落としてしまうこともあります。
ここでは、あえて失敗パターンも整理しておきます。

失敗パターン よくある勘違い どう間違う? 修正ポイント
① マーカー職人型 「逆説は大事って聞いたから、とりあえず全部に線を引いておこう。」 線だけ増えて、「どこがどう大事なのか」が分からない。 線を引いたあとに、「何がどう変わったか」を一言メモする。
② 逆説=正解決めつけ型 「逆説の後ろに筆者の本音があるから、ここだけ読めばOK。」 前に書かれていた条件を無視して、極端な解釈になる。 前後セットで読む。「前:みんなの考え/後:修正・例外」と整理する。
③ とりあえず逆説探し型 「とにかく逆説を見つければ解けるはず。」 本当は因果・対比が大事な問題なのに、逆説だけを特別扱いしてハズす。 逆説が主役とは限らない。
因果(〜だから〜)、対比(〜一方で〜)も意識する。

悪もこあい: 「“しかしマーカー職人”っているんだよな。ノートはカラフルなのに点数がついてこないタイプ。」

もこあい先生: 「線を引くことが悪いんじゃなくてね。
『何がどう変わったのか』まで見ないと、せっかくの逆説がもったいないだけなんだよ。」

自己チェック(自分はどのタイプ?)
上の3つのうち、「自分っぽいな」と感じる失敗パターンを1つだけ選んで、
修正ポイントをノートに書き写しておきましょう。
次に長文を解くとき、その1点だけ意識すればOKです。



悪もこあい塾:みんな同じ答えから半歩抜け出す

記述式や感想を書くときに、よく出てくるのがこんな文です。

「この文章を読んで、〜の大切さが分かりました。」

この文自体がダメというわけではありません。
ただ、これだけだと「みんな同じ答え」になりやすいのも事実です。

健太: 「えっ……それ、よく書いてる……。」

悪もこあい: 「ダメとは言ってないって。問題は、その先だ。」

ここで効いてくるのが、やっぱり逆説です。

「この文章を読んで、〜の大切さが分かりました。
しかし、 今の自分の生活をふり返ると、まだ〜ができていないと思いました。」

逆説を1つ入れるだけで、

  • 本文から分かったこと(〜の大切さ)
  • それを自分の生活に当てはめてみたときのギャップ

という一段深い答えを“生み出す”ことができます。


悪もこあい先生が黒板で「この文章を読んで〜の大切さが分かりました。しかし〜」と書き、健太が驚く様子を描いたアニメ調イラストで、テンプレ回答に逆説を加えて深める学習場面を示した図。
「しかし」を一文足すだけで、テンプレ回答から半歩抜け出す練習に。

悪もこあい: 「ほらな? 逆説は、“テンプレ回答”から抜け出すドアにもなる。」

もこあい先生: 「ただし、テストでは『本文にないことを勝手に書きすぎない』っていう安全ラインも大事だよ。」

テストの記述では、

  • まず本文の内容を素直にまとめる
  • そのうえで、逆説を使って「一段深い部分」を短く添える

という順番を意識すると、安全に「半歩だけ」抜け出すことができます。

今日やること(テンプレ+逆説)
1. 自分がよく書きがちな「〜の大切さが分かりました。」という文をノートに1つ書く。
2. そのあとに「しかし、〜」をつけて、
「まだできていないこと」「これからやりたいこと」を1文だけ書いてみる。
3. 全体で3行以内におさめてみよう。
※テスト本番では、問題文の指示や字数を必ず優先してくださいね。



明日から試せる「3日間トレーニングプラン」

最後に、「とりあえず3日だけ試してみる」ためのミニプランを用意しました。
1日1問だけでいいので、無理なく続けられるようにしてあります。

1日目:逆説サーチ+変化メモ

  • 説明文の問題を1問だけ解く。
  • 本文から「しかし」「ところが」などを1か所だけ探す。
  • その前後の内容を読んで、「〇〇→△△」と一言でメモする。

2日目:ブロック読み+小見出し

  • 別の説明文を1問だけ選ぶ。
  • 1つの段落をブロックに分け、「問題」「理由」「例」などの小見出しを上に書いてみる。
  • 「どのブロックが、設問と一番関係ありそうか」を〇で囲む。

3日目:逆説+自分の一文を書いてみる

  • 説明文か評論文を1問だけ解く。
  • 本文の中から逆説を1か所選び、その前後を読んで「筆者の主張」を1文でまとめる。
  • その主張を受けて、「しかし、自分は〜」と自分の考えを1文だけ書いてみる(練習用)。
3日間チャレンジのポイント
・毎日「1問だけ」でOK。
・うまくできなくても、「逆説を探す」「ブロックを意識する」だけでも十分な効果があります。
・3日終わって余裕があったら、もう一周してみてください。2周目から、急にラクに感じるはずです。



まとめ:逆説は「読み方」と「自分の考え」を生み出すスイッチ

最後に、この記事で伝えたかったことを整理します。

  • 国語長文は、「型」と「ブロック読み」を意識すると、流れがつかみやすくなる。
  • 逆説(しかし・ところが など)は、話がひっくり返る重要ポイント
  • 逆説は「前後セット」で読むことで、一段深い答えを“生み出す”ヒントになる。
  • 成功パターンだけでなく、失敗パターンも知っておくと、自分のクセを直しやすい。
  • 悪もこあい式に「しかし」を使うと、テンプレ回答から半歩抜け出す練習になる。
  • 3日間だけでも、逆説+ブロック読みトレーニングをすると、「長文の見え方」が変わってくる。

逆説は、ただの「言葉のつなぎ」ではありません。
「みんなこう思いがちだけど、実はこうかもしれない」と、一段深い考えを生み出すスイッチです。
そのスイッチを、テストの点数だけでなく、自分の生き方や考え方にも、少しずつ生かしていけるといいですね。