レポートで先生から修正を求められたら?|コメントの読み解き方と直す順番
大学のレポートを提出したあと、先生から「根拠が弱い」「もう少し詳しく説明してください」「考察を深めてください」といったコメントをもらったことはありませんか。
修正が必要だと分かっていても、次のようなことで困るかもしれません。
- どこを直せばよいのか分からない。
- 先生が何を求めているのか、はっきりしない。
- 文章を長くすればよいのか迷ってしまう。
- 複数のコメントがあり、何から直せばよいのか分からない。
- 修正したつもりだけれど、本当に直せたのか不安になる。
そんなとき、大切なのは、やみくもに文章を書き直すことではありません。
何を指摘されているのかを理解し、必要なら確認しながら修正して、その結果を確かめることです。
この記事では、先生のコメントの読み解き方、曖昧な指摘の確認方法、修正の優先順位、具体的な修正例、修正後の点検までを順番に紹介します。
この記事のゴールは、先生のコメントを一つ選び、実際に修正するか、確認のための質問を一つ作れるようになることです。
なお、この記事に登場する先生のコメントや学生のレポート、キャラクターの会話は、説明のために作成した架空の例です。実際の課題では、授業の指示・評価基準・提出条件を優先してください。
- 1.先生から修正コメントをもらったら、最初に確認すること
- 2.先生の修正コメントを5つの種類に分けて考えよう
- 3.分かりやすいコメントなら、具体的な作業に置き換えよう
- 4.先生はなぜ修正を求める?|教える側の視点から考えよう
- 5.コメントが曖昧なときは?|確認する前の4つの思考ステップ
- 6.複数のコメントがあるときは、どこから修正する?
- 7.実例で学ぼう|先生のコメントからレポートを修正する
- 8.コラム|「もっと詳しく」は、文章を長くすること?
- 9.修正したら終わり?|別の問題が生まれていないか確認しよう
- 10.保存用|レポート修正チェックリスト
- まとめ|先生のコメントを、自分の文章を改善する手がかりにしよう
- ミニ辞書|レポート修正で知っておきたい言葉
- 参考資料
1.先生から修正コメントをもらったら、最初に確認すること
先生からコメントをもらうと、すぐに文章を直したくなるかもしれません。
しかし、何を求められているのか分からないまま書き直すと、時間をかけても指摘された問題が解決しないことがあります。
まずは、次の3つを確認しましょう。
① どこを指摘されている?
先生のコメントが、どの部分に対するものなのかを確認します。
- 特定の一文についての指摘なのか。
- 段落全体についての指摘なのか。
- レポート全体についての指摘なのか。
コメントが書かれた場所だけでなく、その前後の文章も読み直してみましょう。
② 何が問題になっている?
次に、どのような問題を指摘されているのか考えます。
例えば、根拠の不足、説明の分かりにくさ、文章構成、結論とのつながりなどが考えられます。
どの問題なのかによって、必要な修正作業は変わります。
③ 何をすれば改善できそう?
問題点がある程度分かったら、実際の作業に置き換えてみましょう。
- 具体例を一つ追加する。
- 根拠となる資料を確認する。
- 文章の順番を見直す。
- 曖昧な表現を具体的にする。
- 先生に確認するための質問を作る。
最初からすべてを理解できなくても構いません。
分かっていることと、まだ分からないことを分けるだけでも、修正の第一歩になります。
再提出の条件も確認しよう
先生からコメントを受け取ったら、修正内容とあわせて次の点も確認してください。
- 再提出が必要なのか、次回の課題に生かすための助言なのか。
- 再提出する場合、期限はいつなのか。
- 文字数、引用方法、提出形式などに指定があるか。
- 先生から必ず修正するよう指定された箇所があるか。
コメントをもらったからといって、必ず再提出が必要とは限りません。まずは課題の指示を確認しましょう。
2.先生の修正コメントを5つの種類に分けて考えよう
先生のコメントには、さまざまなものがあります。
ただし、何を改善するための指摘なのか分類すると、修正方法を考えやすくなります。
| 種類 | コメント例 | 確認すること |
|---|---|---|
| 主張・論点 | 何を主張したいのか分かりにくい | 問いと結論の関係 |
| 根拠 | 根拠が弱い | 資料や理由の適切さ |
| 説明・具体性 | もっと具体的に | 具体例や説明の不足 |
| 構成 | 文章の流れを見直して | 段落の順番やつながり |
| 表現・形式 | 引用の形式を確認して | 文章表現や指定ルール |
例えば「根拠が弱い」というコメントなら、主張を支える資料が十分か、その資料から本当に主張を導けるかを確認します。
一方、「考察が浅い」というコメントは、意味を判断しにくい場合があります。
資料の分析が不足しているのか、別の解釈を検討してほしいのか、結論までの説明が足りないのかなど、複数の可能性があるからです。
また、一つのコメントが複数の種類に関係することもあります。
この分類は、先生の意図を断定するためのものではありません。
何を確認し、どのような修正を考えればよいかを整理する手がかりとして使いましょう。
3.分かりやすいコメントなら、具体的な作業に置き換えよう
まず、修正する場所と内容が比較的はっきりしている例を見てみましょう。
実例①「具体例を一つ追加してください」
修正前の文章(架空例)
オンライン教材には、大学生の学習に役立つ機能がある。
先生のコメント(架空例)
この文章で挙げているオンライン教材の利点について、具体例を一つ追加してください。
このコメントでは、何を修正すればよいのか比較的明確です。
そこで、「具体的にどのような機能があるのか」と考えます。
修正後の一例
録画型のオンライン教材には、同じ説明を繰り返し視聴できる機能がある。例えば、計算の手順を一時停止しながら確認できる。
これで、「役立つ機能」という曖昧な表現が、具体的な説明に変わりました。
ただし、その機能によって学習成果が向上するとまで主張する場合には、別途資料による裏づけを検討する必要があります。
ここで重要なのは、先生のコメントを「具体例を一つ考えて追加する」という行動に変えられたことです。
小さな実践|「例えば?」と問いかけよう
自分のレポートに「便利である」「重要である」「役立つ」といった表現があれば、「例えば、どんな場面?」と問いかけてみましょう。
具体例が思いついたら、元の主張と関係しているかを確認してみてください。
4.先生はなぜ修正を求める?|教える側の視点から考えよう
先生のコメントを理解するには、教える側の視点から考えることも役立ちます。
先生は、どのようなことを考えて修正コメントを書いているのでしょうか。
① 課題の目的を達成してほしい
先生は、文章の表現だけでなく、学生が課題の問いに答えられているか、授業で学んだ内容を理解しているかを確認している場合があります。
例えば「根拠が弱い」という指摘には、単に資料を増やしてほしいのではなく、資料と主張の関係を考えてほしいという意図があるかもしれません。
② 学生自身に考えてほしい
先生が完成した答えを示さず、「もう一度考えてみましょう」といったコメントを残すこともあります。
その背景には、学生自身に問題点を発見し、改善する力を身につけてほしいという考えがあるかもしれません。
例えば、少人数のゼミなどで学生の理解度や学習状況を継続的に把握している場合、その学生なら自分で考えられると判断して、あえて答えを示さない可能性も考えられます。
③ コメントが簡潔になる事情もある
一方、大人数の講義などでは、一人ひとりに詳しいコメントを書く時間が限られる場合もあるでしょう。
また、先生は十分に説明したつもりでも、学生には意図が伝わっていない可能性があります。
ただし、少人数なら必ず学生を深く理解できる、大人数なら個別指導が不十分になる、と単純に決めつけることはできません。
授業の形式や先生の指導方法によって状況は異なります。
先生の意図を想像することと、決めつけることは違う
恵子:「先生があえて詳しく書かなかった可能性もあるんですね。だったら、まず自分で考えてみることが大切なのかな?」
もこあい先生:「そうですね。でも、先生がそう考えたと決まったわけではありません。自分で考えても修正の方向が分からなければ、確認していいんですよ。」
恵子:「先生の意図を想像することと、分かったと思い込むことは違うんですね。」
先生が考える余地を残したのか、単にコメントが簡潔だったのかは、コメントだけでは判断できません。
先生と学生の関係が近くても、意図が正確に伝わるとは限らないのです。
相手を理解しようとすることと、相手の意図を正確に知っていることは違います。
5.コメントが曖昧なときは?|確認する前の4つの思考ステップ
先生からのコメントが、いつも具体的とは限りません。
例えば、次のコメントを受け取った場合を考えてみましょう。
この部分は説明が足りません。もう少し詳しく書いてください。
「説明を補う必要がある」ということは分かっても、どこを、どのように直せばよいのか迷うかもしれません。
そんなときは、次の4つの順番で考えてみましょう。
ステップ① 分かっていることを整理する
まず、先生が実際に書いたことを確認します。
今回の例では、説明が不足していると指摘されていることは分かります。
コメントの付いている場所や、その前後の文章、課題の指示も読み直してみましょう。
ステップ② 分からないことを分ける
次に、何について困っているのかを整理します。
- 場所が分からない:直前の一文なのか、段落全体なのか。
- 意味が分からない:具体例が必要なのか、根拠が必要なのか。
- 方法が分からない:何を調べ、どのように書き直せばよいのか。
この3つは似ていますが、同じ問題ではありません。
例えば、修正する場所そのものが分からない場合は、修正方法を決める前に対象を確認する必要があるかもしれません。
ステップ③ 自分なりの解釈を仮に考える
例えば、次のように考えます。
直前の一文に具体例が不足しているのかもしれない。
ただし、これはまだ仮の解釈です。
先生が実際に書いたことと、自分がそう受け取ったことを区別しましょう。
さらに、ほかの可能性も考えてみます。
「具体例ではなく、主張を支える資料が必要なのかもしれない」と考えれば、確認したい内容も変わってきます。
ステップ④ 確認したいことを質問にする
課題の指示や前後の文章を確認しても、重要な点が判断できない場合は、先生に質問することを検討しましょう。
例① 修正する場所が不明な場合
「もう少し詳しく説明する」というご指摘について、直前の一文を具体化するという理解でよろしいでしょうか。それとも、段落全体の説明を補う必要がありますか。
例② 求められる修正内容が不明な場合
「根拠が弱い」というご指摘について、資料の選び方に問題があるのか、それとも資料と主張のつながりの説明が不足しているのか、確認させていただけますか。
このように、自分がどこで迷っているのかを具体的に伝えると、相手にも質問の目的が伝わりやすくなります。
ただし、質問は必ずしも二択にする必要はありません。
自分なりの解釈を作れない場合でも、「ここまでは確認しましたが、この部分が理解できません」と伝えることができます。
保存用|恵子の「確認するための思考メモ」
ここでは、恵子と一緒にコメントの意味を整理してみましょう。
恵子:「質問する前に、分かっていることと、まだ分からないことを分けてみますね。」
| 整理する項目 | 記入例 |
|---|---|
| 分かっていること | 説明を補う必要がある |
| 分からないこと | 一文か段落全体か |
| 自分の仮の解釈 | 具体例が不足しているのかもしれない |
| 確認したいこと | どの範囲を修正するべきか |
恵子:「こうして並べると、今回は『どの範囲を直すのか』を確認したいんだと分かりました。」
もこあい先生:「いい整理ですね。質問するために考えをまとめているうちに、自分で修正方法に気づくこともありますよ。」
このメモは、すべての欄を埋める必要はありません。まずは分かるところから書いてみましょう。
思い込みを防ぐ3つの問い
修正の方向を決める前に、次の3つも確認してみましょう。
- それは先生が実際に書いたこと?
自分の解釈を、先生の意図だと思い込んでいないか確認します。 - ほかの解釈は考えられない?
最初に思いついた修正方法以外にも可能性がないか考えます。 - このまま修正して大丈夫?
重要な不確かさが残る場合は、確認することを検討します。
ただし、すべてのコメントについて先生に質問する必要はありません。
明確な指摘は自分で修正し、重要な部分が曖昧な場合に確認するというバランスが大切です。
先生からすぐに返事をもらえない場合は?
先生に質問しても、すぐに返答が得られるとは限りません。
その場合は、確認が必要な部分を記録し、明確に修正できる別の箇所から進めましょう。
提出期限が迫っている場合は、授業で指定された連絡方法を使い、必要に応じて早めに相談してください。
質問を送っただけで、提出期限が延長されるわけではないことにも注意が必要です。
先生の指摘に納得できないときは?
自分では十分に説明したつもりなのに、先生から「根拠が不足している」と言われることもあるでしょう。
そんなとき、すぐに自分の考えを否定する必要はありません。
まずは課題の条件や使用した資料を見直し、先生の指摘との違いを考えてみましょう。
それでも疑問が残る場合は、次のように質問できます。
私は第3段落の資料を根拠として使ったつもりでした。資料の選び方と、主張への結びつけ方のどちらに改善の余地があるのか、確認させていただけますか。
先生の指摘を無条件に受け入れることも、最初から間違いだと決めつけることも避けましょう。
自分の考えを持ちながら、相手の指摘を理解しようとすることが大切です。
6.複数のコメントがあるときは、どこから修正する?
レポートには、一度に複数の修正コメントが付くことがあります。
例えば、次の3つです。
- 「本文と結論のつながりを見直してください」
- 「根拠が不足しています」
- 「誤字を修正してください」
この場合、単純にコメントの順番どおりに直すことが最善とは限りません。
一般的には、文章全体に影響する問題を先に見直し、そのあとで細かな表現を整えると、修正のやり直しを減らしやすくなります。
修正する順番の考え方
- 必須条件と先生の優先指示を確認する
課題の条件や、必ず直すよう指定された内容を確認します。 - 問い・主張・結論を見直す
レポート全体で何を説明したいのか、一貫しているか確認します。 - 根拠・考察・段落構成を見直す
資料と主張の関係や、説明のつながりを改善します。 - 表現や誤字を整える
文章の内容が固まったあとで、細かな部分を調整します。
ただし、この順番がすべてのレポートに当てはまるわけではありません。
例えば、他者の文章を出典を示さずに使っているなど、引用に重大な問題がある場合は、優先して対応する必要があります。
先生の指示や提出期限、問題の重大さによって判断しましょう。
文章の見直し方については、パデュー大学の「Steps for Revising Your Paper」(英語)も参考になります。主張や根拠の確認、必要な情報の追加、不要な情報の削除などを扱っています。
修正前の文章も残しておこう
文章を大きく書き直す場合は、修正前の状態を残しておくと安心です。
WordやGoogleドキュメントの変更履歴、ファイルのコピーなどを活用すると、修正前後を比較しやすくなります。
大学や授業から保存方法などを指定されている場合は、その指示を守ってください。
7.実例で学ぼう|先生のコメントからレポートを修正する
ここからは、同じ架空のレポートを使って、複数のコメントに対応する流れを考えます。
架空の課題
大学の授業でオンライン教材を活用することについて、利点と課題の両方から考察しなさい。
最初のレポート
オンライン教材はとても便利なので、大学の授業ではすべて導入すべきだと思う。自分のペースで勉強できるため、多くの学生の学習に役立つからである。
このレポートについて、先生から次の3つのコメントがあったとします。
- 「どのような利点があるのか、具体的に説明してください」
- 「その利点が学習に役立つという根拠を検討してください」
- 「利点だけでなく、利用上の課題も考えてください」
それぞれの指摘を、修正作業へ置き換えてみましょう。
修正①「便利」という言葉を具体的にする
最初の指摘は、オンライン教材の利点を具体的に説明することでした。
3章で紹介した方法を使い、「便利」という曖昧な言葉を、実際に何ができるのかという説明に変えます。
録画型のオンライン教材なら、学生は授業で理解できなかった部分を繰り返し視聴できる。
これで、教材の利点が具体的になりました。
しかし、具体的に説明できたことと、その利点が学習成果につながると証明できたことは別です。
そこで、2つ目の指摘である「根拠の確認」に進みます。
修正② 主張を裏づける根拠を確認する
「学習に役立つ」と主張するなら、その根拠を検討する必要があります。
ここで注意したいのは、資料を確認していないのに、それらしい研究結果を書き加えないことです。
まずは、次のような作業メモを作ります。
【資料確認メモ】録画教材の繰り返し視聴は、どのような条件や学習場面で役立つのか。関連する研究や調査を探し、対象・結果・限界を確認する。
実際に資料を確認したら、その資料からどこまで言えるのかを整理し、必要に応じて出典を示して本文に反映します。
ただし、現段階では資料の確認が終わっていません。
作業メモを作ったことと、根拠を示せたことは別です。
資料を読んだあと、考察につなげる方法で迷った場合は、大学レポートの考察が書けない人へ|事実から「だから何が言える?」を考える5ステップも参考にしてください。
修正③ 利点だけでなく課題も考える
最後に、オンライン教材の利用上の課題を検討します。
例えば、通信環境や使用する端末によって、教材を利用しにくい学生がいる可能性があります。
この観点を加えて、文章を見直してみましょう。
修正途中の文章例
録画型のオンライン教材なら、学生は授業で理解できなかった部分を繰り返し視聴できる。一方、通信環境や端末の利用条件によっては、教材を十分に利用できない場合もある。そのため、導入する際には利用環境への配慮も必要だと考えられる。
最初の文章と比べると、具体的な利点と利用上の課題を説明できるようになりました。
ただし、学習効果や利用環境についての主張を裏づける資料は、引き続き確認する必要があります。
3つの指摘に、どこまで対応できた?
恵子が修正作業の進み具合を整理しました。
| 先生の指摘 | 対応状況 |
|---|---|
| 利点を具体的に説明する | 具体的な機能と利用場面を説明した |
| 根拠を検討する | 資料の確認が残っている |
| 利用上の課題を検討する | 課題の候補を文章に加えた |
恵子:「3つとも作業を始められました。でも、根拠の確認はまだ終わっていませんね。ここは完成扱いにしないようにしましょう。」
もこあい先生:「そのとおりです。文章を書き換えたかだけでなく、先生が指摘した問題に本当に対応できたか確認することが大切ですね。」
先生のコメントをもう一度読み、残っている作業を確かめましょう。
8.コラム|「もっと詳しく」は、文章を長くすること?
先生から「もっと詳しく説明してください」と言われたとき、文章を長くしようと考えることがあります。
しかし、詳しく説明することと、文字数を増やすことは同じではありません。
長くしただけの文章
オンライン教材は非常に便利であり、多くの大学生にとって大変役立つものである。そのため、大学での学習において非常に重要であり、積極的に活用していくことが望ましいと考えられる。
文章量は増えていますが、「何が便利なのか」は明確ではありません。
短くても具体的な文章
録画型のオンライン教材なら、学生は理解できなかった説明を繰り返し視聴し、自分のペースで復習できる。
こちらは短い文章ですが、具体的に何ができるのか伝わりやすくなっています。
もちろん、この一文だけで十分な根拠や考察が示されたわけではありません。
大切なのは、文章の長さそのものではなく、読み手が理解するために必要な情報が伝わることです。
もこあい先生:「文章は長ければ良いというものではありません。必要な説明を加えることもあれば、重複を削った方が分かりやすくなることもありますよ。」
文章を修正するときは、次の方法も考えてみましょう。
- 必要な説明を加える。
- 曖昧な言葉を具体化する。
- 同じ意味の繰り返しを削る。
- 説明の順番を変える。
ただし、指定文字数がある場合は、それも課題の条件として守る必要があります。
コラムの最小行動
自分のレポートから一文を選び、次の2つを確認してみましょう。
- 同じ意味を繰り返していないか。
- 必要な説明が不足していないか。
文章を長くすることではなく、伝わる内容を改善することを目標にしましょう。
9.修正したら終わり?|別の問題が生まれていないか確認しよう
先生の指摘に対応したあと、もう一つ大切な作業があります。
それは、修正によって、ほかの部分に新しい問題が生まれていないか確かめることです。
一か所の説明を改善しても、その修正によって、前後の段落や結論を見直す必要が生じる場合があります。
実例|本文を修正したら、結論の説明不足に気づいた
先ほどのオンライン教材のレポートを考えてみましょう。
学生は先生の指摘を受け、本文に利用上の課題を追加しました。
修正した本文
録画型のオンライン教材には、理解できなかった部分を繰り返し確認できる利点がある。一方、通信環境によっては利用が難しい学生もいる。そのため、利用環境への配慮が必要である。
ところが、結論は以前のままでした。
修正されていない結論
以上のことから、オンライン教材はすべての授業で積極的に導入すべきである。
本文では、オンライン教材の利用には環境面での配慮が必要だと説明しています。
一方、結論では「すべての授業で導入すべき」と強く主張しています。
この2つは、必ずしも論理的に矛盾しているわけではありません。十分な対策を講じたうえで、幅広く導入するという考え方もあり得るからです。
しかし、どのような対策によって利用上の課題に対応できるのかを説明しないまま、「すべての授業で導入すべき」と結論づけるには、検討が不足しています。
恵子が修正内容を整理すると……
恵子:「修正した本文と、以前のままの結論を並べてみますね。」
| 確認箇所 | 書かれている内容 |
|---|---|
| 修正した本文 | 利用環境への配慮が必要 |
| 以前のままの結論 | すべての授業で導入すべき |
恵子:「あれ? 本文では利用環境への配慮が必要と書いたのに、結論ではすべての授業への導入を主張していますね。どうやって課題に対応するのか、説明が足りないのかもしれません。」
もこあい先生:「よく気づきましたね。必ず矛盾しているわけではありませんが、その強い結論を支える説明が十分か考える必要があります。本文を直したら、結論にも目を向けてみましょう。」
恵子のように、修正した部分と関係する箇所を並べてみると、説明不足やつながりの弱さを発見しやすくなります。
結論も見直してみよう
本文で述べた利点と課題の両方を踏まえると、例えば次のような結論が考えられます。
オンライン教材には、授業内容を繰り返し確認できる利点がある。一方、利用環境によっては十分に活用できない学生もいる可能性がある。そのため、授業の目的や学生の利用環境に応じて、導入方法を検討することが望ましいと考える。
この修正によって、本文で検討した利点と課題の両方が、結論に反映されるようになりました。
ただし、これは文章のつながりを考えるための例です。
実際のレポートでは、主張を支える資料を確認したうえで、どこまで結論づけられるのか判断する必要があります。
また、元の「すべての授業で導入すべき」という主張を維持したいなら、その主張に必要な根拠や、利用上の課題への対応策をさらに検討するという修正方法も考えられます。
修正には、一つの決まった答えしかないとは限りません。
修正後は、2つの方向から確認しよう
文章を修正したら、次の2つを確認してみましょう。
① 先生が指摘した問題は解決した?
先生の元のコメントをもう一度読み、求められていた修正に対応できたか確かめます。
② 修正によって、別の問題が生まれていない?
前後の段落や結論を読み、説明不足や不自然なつながり、根拠が不足した新しい主張などが生まれていないか確認します。
修正したから良くなったはず、と考えるのではなく、修正の結果を確かめることが大切です。
詳しい確認項目は、次の保存用チェックリストにまとめています。
10.保存用|レポート修正チェックリスト
ここまでの内容を、実際のレポート修正で使いやすい形にまとめました。
自分の課題に関係する項目から確認しましょう。
修正を始める前
- □ 課題の条件と提出期限を確認した。
- □ 先生が指摘した場所を確認した。
- □ コメントの意味を自分なりに整理した。
- □ 不明な点について、確認する必要があるか考えた。
修正している途中
- □ 何を改善するための作業なのか理解している。
- □ 主張と根拠の関係を確認した。
- □ 必要な説明を加え、不要な重複を整理した。
- □ 修正前後を比較できるようにした。
修正が終わったあと
- □ 先生の指摘に対応できたか確認した。
- □ 新しい説明不足や不自然なつながりがないか確認した。
- □ 本文と結論の関係を確認した。
- □ 追加した情報や根拠を確認した。
- □ 引用・参考文献・提出形式を確認した。
引用や参考文献の書き方を確認したい場合は、大学の参考文献の書き方まとめ|APA/MLA/日本語+引用ルールも参考にしてください。
ただし、実際の課題では、所属大学や授業で指定されたルールが優先されます。
今日できる最小行動|先生のコメントを一つ選ぼう
すべての修正を一度に終わらせようとする必要はありません。
まずは5分程度を目安に、次の3つを試してみましょう。
- 先生のコメントを一つ選ぶ。
どの部分についての指摘なのか確認します。 - 問題点を整理する。
分かることと、まだ分からないことを区別します。 - 次にする作業を一つ決める。
文章を直す、資料を確認する、先生への質問を作るなど、今できる行動を選びます。
必要な情報がそろっているなら、一か所だけ実際に修正してみましょう。
修正できたら、先生の指摘に対応できたか、ほかの部分に新しい問題が生まれていないかも確認してください。
まだ修正の方向が分からない場合は、先生への質問を一つ作るところまででも構いません。
「何をすればよいか分からない」という状態から、「次に何をするか分かる」という状態になること。
そこが、今回の最初の目標です。
まとめ|先生のコメントを、自分の文章を改善する手がかりにしよう
大学のレポートで先生から修正を求められたら、まずはコメントを確認し、何が指摘されているのか整理しましょう。
大切なのは、すぐに文章を書き足すことではありません。
どの部分に問題があり、何をすれば改善できるのかを考えることです。
今回のポイントを振り返りましょう。
- 先生のコメントは、場所・問題・必要な作業に分けて考える。
- 先生側の意図を想像しても、決めつけない。
- 曖昧なコメントは、分かることと分からないことを整理して確認する。
- 詳しく書くことは、必ずしも文章を長くすることではない。
- 修正後は、元の問題が解決したか、別の問題が生まれていないかを確かめる。
先生のコメントが分かりにくくても、すぐに諦める必要はありません。
自分で考え、必要なら確認し、修正した結果を確かめる。
その過程も、大学で身につけていきたい学習の一つです。
先生のコメントを理解し、必要なら確認しながら、自分の文章を一つずつ改善していきましょう。
今回の修正で気づいた自分の文章の癖や、うまくいった方法を一つメモしておけば、次のレポートにも生かしやすくなります。
なお、先生から「論点が不明確」「何を明らかにしたいのか分からない」といった指摘を受けた場合は、大学レポートの「問題提起」が書けない人へ|テーマから「なぜ調べるのか」を作る方法も参考にしてください。
ミニ辞書|レポート修正で知っておきたい言葉
この記事に登場した言葉のうち、先生の修正コメントを理解するときに役立つ用語をまとめました。
- 論点(ろんてん)
- レポートで中心となる問題や、考えるべき点のこと。「論点が不明確」と指摘されたら、何について論じているのか確認してみましょう。
- 根拠(こんきょ)
- 自分の主張を支える理由や資料のこと。「根拠が弱い」と言われたら、資料が適切か、主張とのつながりを説明できているか確認しましょう。
- 考察(こうさつ)
- 資料や結果などをもとに、その意味や理由を考え、説明すること。資料を紹介するだけでなく、そこから何が言えるのかを検討します。
- 具体性(ぐたいせい)
- 説明がどれくらい明確で、実際の場面や内容を想像しやすいかということ。「便利」と書くだけでなく、何ができるのかを示すことなどが具体化につながります。
- 整合性(せいごうせい)
- 文章の内容同士につじつまが合っていること。本文で述べたことが結論にも適切に反映されているか確認するときに役立ちます。
- 推敲(すいこう)
- 書いた文章を読み直し、表現や構成を改善すること。言葉を加えるだけでなく、削る、整理する、順番を変えるといった作業も含まれます。
参考資料
この記事の作成・内容確認にあたり、大学が公開しているライティング支援資料などを参考にしました。
- Purdue University, Purdue OWL
“Steps for Revising Your Paper”
英語の資料です。主張や根拠の確認、文章の再構成、不要な説明の削除など、文章を見直す方法について参照しました。 - 鳥取大学附属図書館
「講習会のご案内(鳥取地区)」
レポートの書き方講習会の案内ページです。特にStep4では、実例を使った文章の推敲と、提出前の確認方法が扱われています。
※この記事で紹介した先生のコメント、学生のレポート、キャラクターの会話、確認用メモは、説明のために作成した架空の例です。参考資料に掲載された事例を再現したものではありません。










