本を読んでいると、知らない漢字や、意味の分からない言葉に出会うことがあります。

「この言葉、どういう意味だろう?」
「辞書を引いた方がいいのかな?」
「でも、毎回調べていたら、なかなか先へ進めない……」

物語の続きが気になるのに、そのたびに読む手を止めるのは、少しもったいなく感じるかもしれません。

一方で、意味を思い込んだまま読み進めると、登場人物の行動や関係を反対に受け取ってしまうこともあります。

結論からいうと、知らない言葉が出てきても、毎回必ず読書を止める必要はありません。

ただし、推測した意味を正解だと決めつけず、必要に応じて確かめることが大切です。

この記事では、もこコトネと一緒に四つの短い例文を読みながら、「読み進める」「あとで調べる」「すぐ調べる」の判断を考えます。

さらに、推測が間違っていたときの読み直し方も紹介します。

本を読みながら知らない言葉を見つけ、意味を考えているもこコトネ。

知らない言葉が出てきたら、読書を止めるべき?

もこコトネ:「先生、本を読んでいたら知らない言葉が出てきたんです。毎回調べた方がいいですか?」

もこあい先生:「いつもそうとは限らないよ。前後の文章から意味を想像できることもあるし、その言葉を知らなくても話が分かることもあるんだ」

もこコトネ:「じゃあ、分からない言葉は読み飛ばしてもいいんですね!」

もこあい先生:「読み進めてもいい場合はあるよ。でも、分かったつもりで別の意味に受け取っていないかは気にしたいね」

辞書を引けば、言葉の意味や使い方を確認できます。

一方、何度も本を閉じて調べると、物語の流れが途切れることもあります。

もちろん、辞書を引くこと自体が楽しい人なら、その楽しみ方を変える必要はありません。

物語を味わう読書と、課題のために文章を正確に読むときでも、確認の仕方は変わります。

「全部調べる」か「全部読み飛ばす」かの二択にしないこと。

それが、今回の出発点です。

もこコトネと実践!知らない言葉に出会った3つの場面

まずは、短い文章で考えてみましょう。

ここからの例文は、説明のために作ったオリジナルです。

例①「逡巡」|前後の行動から意味を推測する

彼は扉の前で何度も手を伸ばしては引っ込めた。しばらく逡巡(しゅんじゅん)したあと、ようやく扉を開けた。

もこコトネ:「『逡巡』って知らない言葉だな。でも、扉を開けるか迷っているみたい」

もこあい先生:「どうしてそう思ったの?」

もこコトネ:「何度も手を伸ばしては引っ込めているし、『ようやく』開けたと書いてあるからです」

「逡巡」は、決断できずにためらうこと。

ここでは、扉の前での行動が意味を考える手がかりになりました。

このように、知らない言葉の前後に、その意味を考える材料がある場合は、ひとまず「ためらったのかな」と予想して読み進めることができます。

ただし、なぜためらったのかまでは、この短い文章だけでは決まりません。

「怖かったから」と感情まで決めつけず、続きを確かめましょう。

扉に手を伸ばし、引っ込め、ようやく開ける人物の行動から「逡巡」の意味を考える図。

例②「木漏れ日」|今は読み進めて、あとで調べる

午後の公園には、やわらかな木漏れ日が差していた。彼女はベンチに座り、静かに本を開いた。

もこコトネ:「『木漏れ日』って、どんな光なんだろう。でも、公園で本を読んでいる場面なのは分かります」

もこあい先生:「それなら、今は続きを読んで、あとで調べる選択もあるね」

木漏れ日は、木の枝や葉の間から差し込む日光のことです。

この意味を知ると、公園の景色をより具体的に思い浮かべられるでしょう。

ただ、分からなくても「彼女がベンチで本を開いた」という出来事自体は追えます。

話の大筋は分かるけれど、あとで知りたい言葉。

そんなときは、小さく印をつけておく方法もあります。

風景の描写をじっくり楽しみたいなら、その場で調べてもかまいません。

例③「気が置けない」|意味を取り違えると人物関係が変わる

彼は、私にとって気が置けない友人だった。

もこコトネ:「『気が置けない』って、気を許せない相手という意味かな?」

もこあい先生:「ここは辞書で確かめてみよう。友人をどう見ているかが変わる言葉だからね」

もこコトネ:「あれ? 気兼ねなく付き合える友人、という意味なんですね!」

「気が置けない」は、相手に気配りや遠慮をしなくてよいという意味です。

文化庁の平成18年度「国語に関する世論調査」でも、意味を取り違えやすい表現として扱われています。

「警戒すべき友人」だと思い込んだまま読むと、人物同士の関係を正反対に捉える可能性があります。

人物関係や出来事の意味を左右する言葉は、特に確認する価値があります。

「気が置けない友人」を警戒する相手と誤解した場合と、気兼ねなく付き合える友人と理解した場合の比較図。

なお、言葉が同じでも、使われる場面によって表現の役割が変わることがあります。

日常の言い回しが気になる人は、「いつもお世話になっております」って何のお世話?|もこコトネと考える日本語の不思議も読んでみてください。

「分かったつもり」から抜け出す|思い込みに気づいて読み直す

ここまでの「逡巡」は、知らないと自覚しやすい言葉でした。

ところが、読書にはもう一つの難しさがあります。

意味を知っているつもりなのに、実は違う意味で覚えている場合です。

「おもむろに」は、突然という意味?

彼はおもむろに立ち上がり、窓の外を眺めた。

もこコトネ:「何かに驚いて、突然立ち上がったのかな?」

もこあい先生:「『おもむろに』は、落ち着いてゆっくりと行動する様子を表す言葉なんだよ」

もこコトネ:「えっ! 私が想像していた動きと違う……!」

文化庁が紹介する平成26年度「国語に関する世論調査」では、「おもむろに」を本来の意味である「ゆっくりと」と答えた人が44.5%、「不意に」と答えた人が40.8%でした。

これは当時の調査結果で、現在の割合を示すものではありません。

この例で注意したいのは、動きの捉え方を誤ると、そこから人物の気持ちまで早合点してしまうことです。

「おもむろに」を突然立ち上がる動作と誤解した場面と、ゆっくり立ち上がる本来の意味の場面を比較した図。

意味が違うと分かったら、元の文章へ戻ってみる

もこコトネは、先ほどの一文をもう一度読みました。

  1. 最初の推測:「突然立ち上がった」と考えた。
  2. 辞書・資料で確認:「おもむろに」は「落ち着いてゆっくりと」という意味だった。
  3. 元の文章を読み直す:突然立ったという動作のイメージを修正する。
  4. その先を決めつけない:人物が驚いていたか、落ち着いていたかは、前後の描写を確かめる。

もこコトネ:「『突然』じゃなかったんですね。でも、ゆっくり立ったからといって、気持ちまで分かるわけではないんだ」

もこあい先生:「そのとおり。言葉の意味が分かったことと、人物の気持ちを読み取れたことは、同じではないんだよ」

国語の物語文で人物の気持ちを考えるときは、言葉一つだけでなく、会話・行動・様子などの手がかりが必要です。

詳しくは、登場人物の気持ちがわからない小学生へ|会話・行動・様子から考える5ステップでも紹介しています。

辞書に複数の意味が載っている言葉もあります。

最初に見つけた説明をそのまま当てはめず、その文章でどの意味が合うかを確認しましょう。

恵子&もこコトネの共同メモ|迷ったときの3つの問い

恵子:「コトネちゃん、分からない言葉が出てきたとき、何を確かめるか整理してみない?」

もこコトネ:「いいね。『何となく分かった』を正解だと思い込まないことも入れたいな」

恵子:「じゃあ、読むときに使える三つの問いにしてみよう!」

確かめること 次にできること
① 前後に意味の手がかりはある? 手がかりがあれば、仮の意味を考えてみる。
② 意味が違うと、話の理解も変わる? 重要な言葉は、辞書で確認する。
③ 自分の予想は、続きを読んでも合っている? 違和感があれば、調べ直して元の文章へ戻る。

もこコトネ:「今すぐ困らない言葉なら、あとで調べる方法もあるね」

恵子:「うん。調べ方を一つに決めず、読む場面に合わせて選べるメモになったね」

二人のメモの合言葉は、「推測は仮の答え。違っていたら読み直そう」。

恵子ともこコトネが、知らない言葉に出会ったときの判断に役立つ3つの問いを共同メモにまとめた図。

今日できる最小行動|知らない言葉を1つだけ選ぼう

次に本を読むとき、気になった言葉を一つだけ選んでみてください。

  1. 前後の文章から、どんな意味か予想する。
  2. 今調べるか、あとで調べるかを自分で選ぶ。
  3. 辞書で確認して予想と違ったら、元の文章を読み直す。

これだけです。

全部の知らない言葉をメモしたり、毎日必ず練習したりする必要はありません。

もし言葉を残すなら、意味だけでなく「どんな場面で出会ったか」を一言添えると、あとで思い出しやすくなります。

本に印をつける場合、図書館などの借りた本には書き込まないようにしましょう。

もこコトネ:「一つならできそう! 予想が外れても、読み直せばいいんですね」

もこあい先生:「そう。何より、本を読む楽しさを忘れないでね」

もこコトネが読書で見つけた言葉を一つ選び、予想した意味と確認したことをノートに記録する図。

まとめ|知らない言葉は、読書を深めるきっかけになる

知らない言葉に出会ったら、いつも同じように対応する必要はありません。

前後の文章から意味を考えて読み進めることも、あとで調べることも、その場で辞書を引くこともできます。

ただし、知らないと気づいている言葉だけでなく、「知っているつもり」の言葉にも思い込みが潜むことがあります。

意味を確かめて、自分の想像と違ったら、少しだけ文章へ戻ってみましょう。

最初とは違う場面や人物の姿が見えてくるかもしれません。

もこコトネ:「知らない言葉が出てきても、前より慌てずに読めそうです。言葉を確かめたら、物語の見え方が変わることもあるんですね」

もこあい先生:「うん。分からなかったことが、次の発見につながることもあるんだよ」

知らない言葉は、必ずしも読書を止める壁ではありません。文章をもう少し深く読むための入り口にもなるのです。

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参考文献・参考資料

※本文の例文とキャラクターの会話は、説明用に作成したオリジナルです。文学作品の本文を引用したものではありません。

※言葉の使い方は、時代や文脈によって変わる場合があります。具体的な作品を読むときは、その場面に合う意味も確かめてください。