筆算のくり上がりで、上に小さく書く「1」。

あれは、ただのルールではありません。

一の位で10のまとまりが1つできた、というしるしです。

この記事では、くり上がりのたし算を「上に1を書く手順」として丸暗記するのではなく、10のまとまりが十の位へ移動する考え方として、やさしく見ていきます。

この記事でわかること

  • 筆算の上に書く「1」の正体
  • なぜ13のうち「3」だけを一の位に書くのか
  • 10のまとまりを十の位へ送る考え方
  • くり上がりでよくあるミスと見直し方
  • 保護者の方がお子さんに伝えるときの声かけ
✅ クリックして開く:この記事で扱うこと・扱わないこと

この記事では、たし算の筆算のくり上がりにしぼって説明します。

ひき算のくり下がり、3けた以上の筆算、何回もくり上がる筆算は、この記事ではくわしく扱いません。

まずは「上に書く1は何なのか」を理解することを大切にします。

先に結論|上に書く「1」は10のまとまり

筆算のくり上がりで上に書く「1」は、急に出てきた数字ではありません。

一の位で10のまとまりが1つできたので、それを十の位へ送ったしるしです。

健太:上に書く「1」って、なんとなく書いてたけど、ちゃんと意味があるの?

恵子:あるよ。あれは「10のまとまりが1つできたよ」というしるしなんだよ。

もこあい先生:そうだね。くり上がりは「上に1を書くルール」ではなく、「10のまとまりを十の位へ送る考え方」と見るとわかりやすくなるよ。

前の記事のおさらい|8+5は「10と3」に分けられる

前の記事では、くり上がりのたし算を「10を作る」と考えました。

たとえば、

8+5=13

です。

この13は、ただ「13」と見るだけではなく、

  • 10が1つ
  • 残りが3

と見ることができます。

つまり、

13=10+3

です。

この「10が1つできた」という見方が、筆算のくり上がりにつながっていきます。

8+5を10のまとまりと残り3に分けて考えるくり上がり説明図

日常で考えよう|1円玉10枚は10円玉1枚

くり上がりは、算数だけの特別なルールではありません。

日常の中にも、似た考え方があります。

たとえば、1円玉が10枚あるとします。

1円玉10枚は、10円玉1枚と同じ金額です。

  • 1円玉10枚
  • 10円玉1枚

見た目は違いますが、どちらも10円です。

ここで大切なのは、1円が10こ集まると、10円という1つのまとまりとして見られることです。

13円なら、どうでしょうか。

13円を10円玉1枚と1円玉3枚に分けて考えるくり上がり説明図

1円玉が13枚あるとき、10枚を10円玉1枚として見ると、

  • 10円玉1枚
  • 1円玉3枚

になります。

つまり、13円は、

10円玉1枚+1円玉3枚

と見ることができます。

これは、13を10と3に分ける考え方と同じです。

健太:1円玉10枚と10円玉1枚って、同じ10円なんだね。

恵子:そうだよ。金額は同じだけど、10円玉1枚のほうが「10のまとまり」として見やすいよね。

もこあい先生:筆算のくり上がりも同じ考え方だよ。一の位で10こ集まったら、十の位の1まとまりとして考えるんだね。

筆算ってなに?|位をそろえて計算する方法

筆算は、数をくらいごとにそろえて計算する方法です。

たし算の筆算では、

  • 一の位どうし
  • 十の位どうし

をそろえて計算します。

たとえば、18+5を筆算で書くとき、5は一の位の数なので、8の下にそろえます。

 18
\+ 5
----

ここで、5を1の下に書いてしまうと、位がずれてしまいます。

筆算では、同じ位どうしをそろえることが大切です。

18+5で見よう|一の位で13ができる

では、18+5を見てみましょう。

まず、一の位だけに注目します。

18の一の位は8です。

そこに5を足すので、

8+5=13

になります。

ここで、13をそのまま一の位に書くのではありません。

13は、

  • 10が1つ
  • 残りが3

に分けられます。

だから、

  • 一の位には3を書く
  • 10のまとまり1つを十の位へ送る

と考えます。

  1
 18
\+ 5
----
 23

上に書いた「1」は、一の位でできた10のまとまり1つです。

18+5の筆算で一の位の13を3と10のまとまりに分けて十の位へ送る図

なぜ13をそのまま書かないの?|一の位に書けるのは一の位だけ

ここで、健太のように思う子もいるかもしれません。

健太:8+5は13なのに、なんで13をそのまま書いちゃだめなの?

恵子:筆算では、一の位の場所には一の位の数字を書くんだよ。

もこあい先生:13の「3」は一の位、13の「1」は10のまとまりだね。だから3を一の位に書いて、10のまとまり1つは十の位へ送るんだよ。

13をよく見ると、

見方 筆算ではどうする?
3 一の位に残る数 一の位に書く
10 10のまとまり1つ 十の位へ送る

つまり、13をそのまま一の位に書かないのは、一の位の場所には一の位の数字だけを書くからです。

くり上がるのはどんなとき?|一の位が10以上になったとき

くり上がりは、いつでも起こるわけではありません。

一の位どうしを足して10以上になったときに、くり上がります。

一の位のたし算 10以上? くり上がり 上に1を書く?
3+4=7 いいえ なし 書かない
6+2=8 いいえ なし 書かない
8+5=13 はい あり 書く
9+6=15 はい あり 書く

まずは、一の位だけを見て、

10以上になっているかな?

と考えると、くり上がるかどうかを見つけやすくなります。

一の位を足して10以上ならくり上がることを示す比較図

くり上がりの考え方がわかると、何が楽になる?

くり上がりの考え方がわかると、筆算が少し楽になります。

理由は、上に書く「1」をただの記号ではなく、10のまとまりとして見られるようになるからです。

わかると楽になること 理由
上に書く「1」の意味がわかる ただの丸暗記ではなくなるから
上の1を足し忘れにくくなる 「10のまとまりを送った」と思い出せるから
28+5、47+8などにもつながる 一の位で10以上になったら同じ考え方が使えるから
暗算にもつながる 13を「10と3」に分けて見られるから

くり上がりは、すぐに速く解くことだけが大切なのではありません。

10のまとまりができたと見えることが、あとで大きな助けになります。

よくあるミスと注意点|できない場所を一緒に見つけよう

くり上がりの筆算では、よくあるミスがあります。

でも、ミスは「できない証拠」ではありません。

どこで迷ったかを見つけるヒントです。

よくあるミス 起きていること 見直す声かけ
上の1を書き忘れる 10のまとまりに気づいていない 「10が1つできたかな?」
上の1を足し忘れる 1をただの印だと思っている 「この1は十の位に足すよ」
一の位に13を書いてしまう 13を10と3に分けられていない 「一の位には3だけ書くよ」
数字をずらして書く 位がそろっていない 「一の位どうしをそろえよう」

間違えたときの戻り方

間違えたときは、最初から全部やり直さなくても大丈夫です。

まずは、一の位だけに戻ってみましょう。

  1. 一の位どうしをもう一度たす
  2. 10以上になっているか見る
  3. 13や15を「10と残り」に分ける
  4. 一の位に残る数を書く
  5. 10のまとまり1つを十の位へ送る
  6. 上の1を十の位で足したか確認する

健太:間違えたら、もうだめって思ってた……。

恵子:そんなことないよ。どこで止まったかがわかれば、そこだけ見直せばいいんだよ。

もこあい先生:できなかったところを責めるのではなく、止まった場所を一緒に見つける。それが、次に進むための大事な一歩だね。

くり上がりの筆算で間違えたときに一の位から見直す手順を示す図

保護者の方へ|「上に1を書いて」より「10が1つできたね」

お子さんにくり上がりを教えるとき、つい

「上に1を書くんだよ」

と言いたくなることがあります。

もちろん、手順としては間違いではありません。

ただ、それだけだと、お子さんは「なぜ1を書くのか」がわからないまま、形だけを覚えてしまうことがあります。

おすすめは、手順より先に10のまとまりを言葉にすることです。

避けたい声かけ おすすめの声かけ
「上に1って書くんだよ」 「8+5で10のまとまりが1つできたね」
「なんでまた忘れるの?」 「どこまで分かったか、一緒に見てみよう」
「前にもやったでしょ」 「一の位だけ、もう一度見てみよう」

お子さんがつまずいたときは、できなかったことよりも、どこで止まったかを一緒に見つけることが大切です。

✅ クリックして開く:お子さんと話しながら確認したい10の問い

これはテストではありません。

お子さんがどこで止まっているかを、一緒に見つけるための会話のヒントです。

全部を一度に聞かなくても大丈夫です。気になるところを1〜3個だけ、やさしく聞いてみてください。

お子さんへの声かけ 見ているポイント うまく答えられないとき
8+5って、いくつになるかな? 基本の計算ができているか 「8から10にするには、あといくつかな?」と聞いてみます。
13って、10とあといくつに見えるかな? 13を10と3に分けて見られるか 「10のまとまりが1つあるね」と一緒に確認します。
1円玉10枚は、何円玉1枚と同じかな? 10のまとまりを日常例で理解できるか 実物や絵を使って、1円玉10枚と10円玉1枚を見比べます。
13円は、10円玉1枚と1円玉何枚に分けられるかな? 13=10と3の感覚があるか 「10と残り」に分けて考えてみます。
筆算で一の位には、13のうちどの数字を書くかな? 一の位に3を書く理由がわかっているか 「一の位の場所には、一の位の数字を書くよ」と伝えます。
10のまとまり1つは、どこの位へ行くかな? くり上がりの移動先がわかっているか 「十の位へお引っこしする」と言い換えてもよいです。
上に書く「1」は、何のしるしだと思う? 上の1の意味を理解しているか 「10のまとまりが1つできたしるしだね」と補います。
18+5では、一の位で何が起きているかな? 8+5=13と筆算をつなげられるか まず一の位だけに注目して考えます。
上の1を足し忘れたら、答えはどう変わるかな? くり上がった1を十の位で使う意識があるか 「送った1も、十の位で足してあげよう」と声をかけます。
最後に、47+8を一緒に見てみよう。どこで10のまとまりができるかな? 別の数字でもくり上がりの考え方を使えるか 「まず一の位だけ見よう。7+8はいくつかな?」と小さく分けます。

最後の問題は、少しだけむずかしくしています。

すぐにできなくても大丈夫です。

大切なのは、正解できたかどうかだけではなく、どこで迷ったかを一緒に見つけることです。

AIを使うなら|声かけを考えるヒントにする

AIを使う場合は、お子さんが一人で答えを聞くためではなく、保護者の方が説明の言い方を考える補助として使うのがおすすめです。

たとえば、次のように聞くことができます。

AIへの質問例

子どもが筆算のくり上がりで「上に書く1」の意味が分かっていません。責めずに、10のまとまり・一の位・十の位を使って説明する声かけを3つ考えてください。

ただし、AIの答えがいつも正しいとは限りません。

小学生が使う場合は、保護者の方と一緒に確認しながら使いましょう。

AIは、答えを丸ごと出す道具ではなく、説明を言い換えたり、声かけを考えたりするヒントとして使うのが安心です。

今日できる最小行動|18+5を1問だけやってみよう

まずは、18+5だけで大丈夫です。

次の順番で、ゆっくり見てみましょう。

  1. 一の位の8+5を見る
  2. 8+5=13になる
  3. 13を「10と3」に分ける
  4. 一の位に3を書く
  5. 10のまとまり1つを十の位へ送る
  6. 上に書いた1を、十の位で足す
  7. 答えが23になるか確認する

できそうなら、最後に47+8にも挑戦してみましょう。

ただし、チャレンジ問題は「できるかどうか」を試すためだけのものではありません。

どこで迷ったかを見つけるための問題です。

迷いやすい場所 見ていること 声かけ
7+8で止まる 一の位のたし算 「まず一の位だけ見てみよう」
15をそのまま書きそうになる 15を10と5に分ける力 「15は10といくつかな?」
上に1を書けない 10のまとまりを送る理解 「10のまとまりはどこの位へ行くかな?」
上の1を足し忘れる 十の位に送った1を使う意識 「送った1も、十の位で足してあげよう」

47+8のくり上がりで迷いやすい場所を一の位から順に確認する図

まとめ|くり上がりは「10のまとまり」を十の位へ送ること

筆算のくり上がりは、ただ上に「1」を書くルールではありません。

一の位で10のまとまりが1つできたから、その10のまとまりを十の位へ送っているのです。

18+5なら、

  • 一の位で8+5=13
  • 13は10と3
  • 一の位には3を書く
  • 10のまとまり1つを十の位へ送る
  • だから上に1を書く

という流れになります。

最初からすぐにできなくても大丈夫です。

大切なのは、間違えたときに「できなかったね」で終わらせないことです。

一の位で迷ったのか、10と残りに分けるところで迷ったのか、上の1を足すところで迷ったのか。

そこを一緒に見つければ、また進むことができます。

もこあい先生より:くり上がりは、上に1を書くためだけの勉強ではありません。10のまとまりを見つけて、次の位へつなぐ考え方です。間違えたところは、次に進むためのヒントになりますよ。

筆算のくり上がりで一の位から10のまとまりを十の位へ送る流れをまとめた保存用シート

FAQ|筆算のくり上がりでよくある質問

Q. 筆算の上に書く「1」は何ですか?

A. 一の位で10のまとまりが1つできたしるしです。その10のまとまりを十の位へ送るため、上に1を書きます。

Q. なぜ13をそのまま一の位に書かないのですか?

A. 一の位には、一の位の数字だけを書くからです。13は10と3なので、3を一の位に書き、10のまとまり1つを十の位へ送ります。

Q. くり上がりはどんなときに起こりますか?

A. 一の位どうしを足して10以上になったときに起こります。10のまとまりが1つできるので、十の位へ送ります。

Q. ひき算のくり下がりも同じですか?

A. 似ている部分もありますが、考え方は少し違います。この記事では、まずたし算のくり上がりにしぼって説明しました。ひき算のくり下がりは、別の記事でくわしく見ていきます。

📘 クリックして開く:参考文献・出典

この記事は、小学生向けに学習内容を要点化して説明しています。学校で習う表現や教科書の順序と異なる場合があります。必要に応じて、学校の教科書・ノート・先生の説明も確認してください。

  1. 文部科学省「小学校学習指導要領(平成29年告示)解説 算数編」文部科学省ウェブサイト、参照日:2026年5月29日。
    https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/new-cs/1387014.htm