二次関数が苦手になる理由は、才能ではありません。
多くの場合、途中で不安になり、確認のしかたが分からなくなるだけです。

この記事では、二次関数を

  • 読める形に翻訳(平方完成)し
  • 最大・最小を事故らず決め
  • 最後に1分で止血(見直し)できる

ところまで、一本道で整理します。
長く見えても、迷子にならないように作っています。

※はじめに(クリックで開く)

この記事は「高校数学・二次関数の最初の入口」を、初学者向けにできるだけ丁寧にまとめたものです。
計算ミスや見落としは誰にでも起きます。記事内の表②(1分チェック)で、最後に必ず確認してください。

まず確認:どこで止まっていますか?

この章でできること:「自分が詰まりやすい地点」を先に特定できます。

  • 平方完成の途中で「合ってるか不安」になる
  • a≠1になると急に分からなくなる
  • 最大・最小で「頂点だけ見て」ミスする(端点チェック忘れ)

ひとつでも当てはまれば大丈夫。
この記事は、そのために作っています。

二次関数は「計算」ではなく「翻訳」です

この章でできること:平方完成のゴール(読める形)と、頂点・軸を一撃で理解できます。

二次関数の目的はシンプルです。
式を、読める形に翻訳すること。

最終的に読みたい形は、これだけです。

y = a(x - p)^2 + q
  • 頂点: (p, q)
  • : x = p(左右対称の線)
  • a:上に開く/下に開く、広い/細い

二次関数の頂点形y=a(x-p)^2+qを読み取り、頂点(p,q)と軸x=pおよびaの向きと広さの意味を整理した図
読むポイントは3つ:頂点(p,q)・軸x=p・aの向きと広さ
(つながり)a・p・qはグラフに何をする?(最小だけ)
  • a:符号で上/下、絶対値で広い/細い
  • p:左右に移動(頂点のx)
  • q:上下に移動(頂点のy)

※この続き(グラフの変化と見方)は、数学シリーズ⑤で扱います。

表①:よくあるミス地図(ここで止血できる)

この章でできること:「どの事故が起きやすいか」を先に知って、怖さを減らせます。

場面 ミスの型 具体例(ありがち) 原因 止血(最小手順)
平方完成(a=1) 足した分を戻し忘れ (x^2+4x+4) にしたのに外で −4 しない 「足す」と「戻す」がセットになっていない 中で足したら外で引くを声に出す
平方完成(a≠1) くくる前に平方完成して崩壊 2x^2+4x をそのまま平方に寄せる x^2の係数を無視 まずx^2の係数をくくる
平方完成(a≠1) 戻す量の係数ミス 2(x^2+2x+1) にしたのに −2 を忘れる 外側の係数が戻し量にもかかる 戻す量=外の係数×足した数
頂点の読み取り 符号ミス(pの取り違え) y=a(x−2)^2+q を頂点(−2,q)とする (x−p)の形に慣れていない 頂点は(p,q)(pはそのまま)
最大・最小(範囲あり) 端点チェック忘れ 頂点だけ計算して終わる(頂点が範囲外) 候補を拾う意識がない 候補は頂点+端点

この表は「間違い探し」ではなく、ミスを早く止めるための地図です。
例題中に「あ、これかも」と思ったら、該当の止血だけやればOK。

平方完成①:a=1 の基本(まず安心)

この章でできること:平方完成の基本パターンを「翻訳」として実行できます。

例題1:

y = x^2 + 4x + 1

(色分け風)やることはこれだけです。

  • 平方を作るために:真ん中の係数4の半分は2 → 2の平方は4
  • 中で足したら:外で引いて戻す

y = x^2 + 4x + 1
  = (x^2 + 4x + 4) - 4 + 1
  = (x + 2)^2 - 3

ポイント:中で足した分(+4)は、必ず外で戻します(−4)。

平方完成で括弧の中に足した数を外で戻す手順を、足す地点と戻す地点が分かるように整理した図
「中で足す」→「外で戻す」をセットにする
(心理学ミニ)平方完成がつらいのは「頭が悪い」からではありません

平方完成がしんどい理由は、能力ではなく脳の作業台(ワーキングメモリ)の容量の問題です。
途中式では「符号」「足す」「戻す」など同時に持つ情報が増え、誰でも不安になります。

対策はシンプル。手順を固定して外に出すこと。
だからこの記事では、表①(ミス地図)と表②(1分チェック)で止血できるようにしています。

平方完成②:a≠1 のとき(ここが一番の壁)

この章でできること:a≠1でも崩れずに翻訳できます。

例題2:

y = 2x^2 + 4x + 1

最初に必ずやること: x^2 の係数をくくる


y = 2x^2 + 4x + 1
  = 2(x^2 + 2x) + 1

ここからは、( )の中だけ見ます。

  • 真ん中の係数2の半分は1 → 1の平方は1
  • 中で +1 したら、外では −1(外に2があるので戻す量は 2×1 = 2)

y = 2(x^2 + 2x) + 1
  = 2(x^2 + 2x + 1) - 2 + 1
  = 2(x + 1)^2 - 1
(コラム)健太の失敗:足した分を戻し忘れる

最大最小で候補を頂点と端点から拾い、頂点が範囲外なら端点のみを比較する流れを示した図
失敗していい。止血できれば伸びる。

健太:あれ?なんか答えが合わない…

もこあい先生:大丈夫。足した分を外で戻すのを忘れただけ。

(止血)「中で足したら、外で引く」をセットで。外に係数があるときは戻す量も増えるよ。

AIを使って練習する(本文を邪魔しない:detailsで2つだけ)

(AIプロンプト①)理解をやさしく確認したい
あなたは高校数学の先生です。二次関数の平方完成を「翻訳」として説明してください。
ゴールは y=a(x-p)^2+q を読めるようにすることです。
a=1 と a≠1 の違い、足して戻す理由、軸 x=p と頂点(p,q)を短く整理し、
最後にチェック項目を5つだけ提示してください。

※AIの説明は誤りを含むことがあります。最後に必ずこの記事の表②(1分チェック)で確認してください。

(AIプロンプト②)追加の練習問題を作りたい(テスト用)
二次関数の平方完成と最大・最小の練習問題を8問作ってください。
条件:
・平方完成(a=1)2問、(a≠1)2問
・最大最小(範囲ありで端点チェック必要)2問
・頂点と軸の読み取りだけ 2問
解答は折りたたみ形式で、最後に「表②の①〜⑤で確認する」導線を付けてください。

※AIの解答は間違うことがあります。必ず表②で自分で確認してください。

最大・最小は「候補を拾うだけ」です

この章でできること:最大・最小を「手順化」して事故を防げます。

最大・最小でやることは、基本これだけです。

  1. 頂点の値(翻訳して頂点(p,q))
  2. 範囲があれば端点の値も計算
  3. 候補を比べて決める

※範囲(たとえば「0≦x≦3」)は 定義域。そのときに出てくる y の範囲が 値域 です。
値域は「候補を代入して一番大きい/小さい」を拾えば決まります。

(最小チェック)ラフ図を1回だけ描くなら、ここだけ見ればOK

  • ① 頂点は (p,q)
  • ② 軸は x=p
  • ③ aの符号で上/下
  • ④ 範囲(定義域)があるなら、頂点が範囲内か確認

ラフ図は芸術じゃありません。「候補がどれか」を確かめるための補助です。

平方完成の途中で健太が焦り、もこあい先生が足して戻す手順を示して落ち着かせる場面
最大・最小は「候補を拾って比べる」だけ

例題3:最大・最小(範囲あり/頂点が範囲外→端点チェック必須)

この章でできること:「頂点+端点」で必ず決められます(頂点が範囲外なら端点だけ)。

問題:次の関数 y = (x - 3)^2 + 1 について、0≦x≦2 の範囲での最小値と最大値を求めよ。

手順は固定:①頂点 → ②頂点が範囲内? → ③候補を代入 → ④比較

① 翻訳(すでに頂点形)→ 頂点と軸

この式はすでに y=a(x-p)^2+q の形です。
a=1, p=3, q=1 なので、

  • 頂点:(3, 1)
  • 軸:x=3
  • a=1 なので上に開く(最小が出やすい)

② 頂点は範囲内か?(ここが事故ポイント)

今回の範囲は 0≦x≦2
頂点のx座標は x=3 なので、範囲外です。

結論:頂点が範囲外なら、最大・最小は端点で決まります。

③ 候補(端点)を代入

候補は端点の2つだけ:x=0x=2


x=0 のとき
y = (0 - 3)^2 + 1
  = 9 + 1
  = 10

x=2 のとき
y = (2 - 3)^2 + 1
  = 1 + 1
  = 2

④ 比べて決める

  • 最小値:2(x=2 のとき)
  • 最大値:10(x=0 のとき)
(よくあるミス)頂点だけ見て「最小値は1」としてしまう

頂点は (3,1) なので「最小値は1」と言いたくなります。
でも、範囲は 0≦x≦2。x=3 は使えません
だから、今回の最小値は 2 になります。

表②:1分チェック(ミスを止血する)

この章でできること:どんな問題でも「不安」を手順に戻せます。

チェック 見るところ よくある事故
① aの符号 上に開く/下に開く 最大・最小の方向を取り違える
② 頂点(p,q) y=a(x-p)^2+q に翻訳できたか pの符号ミス/翻訳未完了
③ 範囲(定義域) 0≦x≦3 など条件の有無 範囲を見落とす
④ 頂点は範囲内? x=p が範囲に入るか 頂点が範囲外なのに頂点だけで決める
⑤ 候補漏れ 候補(頂点/端点)を全部代入 端点代入し忘れ/比較し忘れ

まとめ:肝心な所はこれだけ

  • 平方完成は翻訳y=a(x-p)^2+q に直す
  • 頂点は(p,q)、軸はx=p
  • 最大・最小は候補拾い:頂点+端点(範囲外なら端点)
  • 不安になったら表②(1分チェック)で止血

(今やること)表②の①〜⑤を、今の例題3で1回だけなぞってから終わり。

※この続き(グラフの変化と見方)は、数学シリーズ⑤で扱います。
今回は、翻訳(平方完成)と止血(表②)ができれば十分です。

もこあい先生より:
「今日の“なんで?”を大切にしよう。正解より、考えた道のりが宝もの。」