こんにちは、もこあい先生です。

前回の①では、式を広げる「展開」を見てきました。
今回はその反対、広がった式をもとの掛け算の形に戻す「因数分解」をやっていきます。

「展開はなんとなくできるけど、因数分解になると急に止まる…」
そんな人は、とても多いです。大丈夫。

因数分解は、公式をただ覚えるよりも、
「この式はどの形かな?」と順番に見ていくことが大切です。

この記事では、因数分解のいちばん最初に身につけたい基本にしぼって、

  • 展開の逆とは何か
  • どんな順番で見分けるか
  • よく出る基本パターン
  • 例題での考え方

を、最短でつかめる形で整理していきます。

あせらなくて大丈夫。
まずはここで、因数分解の土台をいっしょに作っていきましょう。

展開は式を広げ、因数分解は掛け算の形に戻す逆の関係を示した図
展開は広げる、因数分解は戻す。まずはこの関係をつかもう。

このシリーズの流れ

  • ① 展開:式を広げる
  • ② 因数分解:式を戻す ← 今回
  • ③ 実戦:迷いやすい問題で見分け方を使う

 

展開の逆は何?答えは因数分解

展開の逆は、因数分解です。

展開が「かっこを外して式を広げること」なら、因数分解は「広がった式を、もとのかけ算の形に戻すこと」です。

たとえば、次の2つは逆の関係になっています。

  • 展開:(x+2)(x+3) を x²+5x+6 に広げる
  • 因数分解:x²+5x+6 を (x+2)(x+3) に戻す
操作 何をするか 例
展開 かっこを外して式を広げる (x+2)(x+3)=x²+5x+6
因数分解 広がった式をかけ算の形に戻す x²+5x+6=(x+2)(x+3)

動画を逆再生するように、展開で広がった式をもとの形へ戻していくと考えると、イメージしやすくなります。

この記事では、因数分解の最初に身につけたい基本パターンにしぼり、「どの式に、どの考え方を使うか」を見分ける順番を整理します。

公式を一度にすべて覚えようとしなくても大丈夫です。まずは、式を見る順番を一つずつ身につけていきましょう。

展開がまだあやしい人は、先に①を見よう

因数分解は、展開の逆です。
だから、展開の感覚がまだふわっとしている人は、先に①を見てから戻ってくると、ぐっとわかりやすくなります。

→ ⭐ 【高校数学①】多項式の展開をゼロから理解する|中学→高校へのつまずきが消える入門ガイド

まずこれだけ覚えよう

因数分解を共通因数、2項、3項の順で見分ける流れを示した図

因数分解で迷ったときは、次の順番で見ると整理しやすいです。

因数分解を見る順番

因数分解で迷ったときは、次の順番で式を見てみましょう。

  1. まず、すべての項に共通する数や文字がないか見る
  2. 2項なら、平方の差の形になっていないか見る
  3. 3項なら、完全平方の公式に当てはまらないか見る
  4. x²+bx+c の形なら、掛けて c、足して b になる2つの数を探す
  5. 因数分解したあと、まだ因数分解できる部分が残っていないか見る
  6. 最後に展開して、もとの式に戻るか確認する

この順番を頭に入れておくだけで、
「どれを使えばいいのかわからない……」がかなり減ります。

特に大切なのは、最初に共通因数を見ることです。

そのあとで、項の数や式の形を見ながら、使える公式や考え方を探していきましょう。

共通因数 → 項の数 → 式の形 → 最後まで因数分解できたか

この流れを意識すると、公式をなんとなく当てはめるのではなく、「なぜこの方法を使うのか」が見えやすくなります。

因数分解の見分け方

ここでは、「どんな式なら、どんな考え方を使うのか」を表で整理しておきます。

まず見ること 注目ポイント 使う考え方 例
① 共通因数がある? すべての項に共通する数や文字があるか 先にくくる 2a²+6a=2a(a+3)
② 2項式? 引き算で、両方の項が平方の形になっているか 平方の差 x²-9=(x+3)(x-3)
③ 3項式? 完全平方の形になっているか 公式を使う x²+2x+1=(x+1)²
④ x²+bx+c 型? x²の係数が1になっているか 掛けてc、足してbになる2数を探す x²+7x+10=(x+5)(x+2)

表は、全部一気に覚えなくて大丈夫です。

まずは、「共通因数を見る → 項の数を見る → 式の形を見る」という流れを意識してみてください。

ここで扱う因数分解の範囲

この記事では、因数分解の最初に身につけたい基本パターンにしぼって説明しています。

たとえば、

2x²+5x+2

のように、x²の係数が1ではない3項式では、x²+bx+c と同じ「掛けて定数項、足してxの係数」という探し方を、そのまま使うことはできません。

こうした式は、たすき掛けなどを使って考える次の段階で扱います。

まずはこの記事で、共通因数・完全平方・平方の差・x²+bx+c型という基本の見分け方を身につけていきましょう。

ちなみに、2x²+5x+2=(2x+1)(x+2) と因数分解できます。今は「x²の係数が1でないときは、別の考え方も必要になる」と分かれば十分です。

基本パターン① 共通因数でくくる

最初にいちばん見たいのは、共通因数でくくれるかどうかです。

たとえば、

2a²+6a

なら、どちらの項にも 2a が入っています。

だから、

2a²+6a = 2a(a+3)

とできます。

ここが大事

因数分解では、いきなり公式を探しにいくより、
まず「みんなに共通して入っているものはないかな?」
と見るのがコツです。

ここを見落とす人は本当に多いので、最初に習慣にしてしまいましょう。

基本パターン② a²+2ab+b²

次は、よく出る公式の1つです。

a²+2ab+b²=(a+b)²

たとえば、

x²+6x+9

を見てみると、

  • x²
  • 9 = 3²
  • 真ん中の 6x は 2・x・3

という形になっています。

だから、

x²+6x+9=(x+3)²

と因数分解できます。

ここでは、
最初と最後が平方数になっているか
を見ると、かなり気づきやすくなります。

基本パターン③ a²-2ab+b²

これはさっきと似ていますが、真ん中がマイナスになります。

a²-2ab+b²=(a-b)²

たとえば、

x²-4x+4

なら、

  • x²
  • 4 = 2²
  • 真ん中の -4x は -2・x・2

なので、

x²-4x+4=(x-2)²

です。

見た目はよく似ていますが、
真ん中の符号がプラスかマイナスか
は、しっかり見ておきたいところです。

基本パターン④ 平方の差 a²-b²

これは2項のときによく出てきます。

a²-b²=(a+b)(a-b)

たとえば、

x²-16

は、

  • x²
  • 16 = 4²

なので、

x²-16=(x+4)(x-4)

とできます。

2項で引き算が出てきたら、
「平方の差かな?」
と一度立ち止まってみると見つけやすいです。

因数分解の基本パターン4つを見分けやすく整理した図
まずは「共通因数」「2つの公式」「平方の差」の基本パターンを整理しよう。

つまずきやすい勘違い3つ

因数分解で起こりやすい見落としや勘違いを整理した図

因数分解では、考え方が合っていても途中でミスしやすいです。
ここは、よくあるつまずきを先に見ておきましょう。

1. いきなり公式を探してしまう

まずは共通因数を見ます。
ここを飛ばすと、もったいないミスにつながりやすいです。

2. 平方の差と (a-b)² を混同してしまう

  • a²-b² は 平方の差
  • a²-2ab+b² は (a-b)²

似て見えるので、ここは落ち着いて区別したいですね。

3. 因数分解したあとに確認しない

最後に一度展開してみると、
「ちゃんと元の式に戻るかな?」
を確認できます。

このひと手間で、符号ミスに気づけることがよくあります。

例題で見分け方を確認しよう

ここからは、実際にどの形かを見ながら進めていきましょう。
答えだけではなく、どこを見たかも大切にしてみてください。

解く前チェック|まずここを見る

例題を解く前に、いきなり公式を探すのではなく、次の順番で確認してみましょう。

  • 全部の項に共通する数や文字はある?
  • 2項なら、平方の差になっている?
  • 3項なら、完全平方の形になっている?
  • x²+bx+c 型なら、掛けてc・足してbになる2数がある?
  • 因数分解したあと、まだ因数分解できるところはない?
  • 最後に展開して、もとの式に戻る?

この順番で見てから例題に入ると、「なんとなく解く」のではなく、どこを見て判断したのかがつかみやすくなります。

レベル1:まずは共通因数

例題1

3x²+6x

見抜きポイント
まずは共通因数があるかを見ます。
ここでは 3x が共通しています。

答え
3x²+6x=3x(x+2)

レベル2:公式そのまま

例題2

x²+8x+16

見抜きポイント
3項式です。最初と最後が平方数で、真ん中が 2ab の形になっているかを見ます。

答え
x²+8x+16=(x+4)²

例題3

x²-10x+25

見抜きポイント
最後は 25 = 5²。真ん中の -10x が -2・x・5 の形になっています。

答え
x²-10x+25=(x-5)²

例題4

x²-49

見抜きポイント
2項で引き算、しかもどちらも平方数。これは平方の差です。

答え
x²-49=(x+7)(x-7)

レベル3:少し迷う問題

例題5

x²+7x+10

見抜きポイント
3項式ですが、(a+b)² の公式そのままではありません。
掛けて10、足して7になる数の組み合わせを考えます。

答え
x²+7x+10=(x+5)(x+2)

ここは少しだけ迷いやすいですが、
「公式そのままじゃないな」と気づけることも大事な一歩です。

因数分解の例題を共通因数や公式の形から見分ける考え方を示した図
答えだけでなく、「どこを見て判断したか」を意識すると力がつきます。

会話でじっくり理解したい人へ

この記事は、最短で整理する基礎版です。

「失敗しやすいところを会話つきでゆっくり理解したい」
「流れで覚えたい」
という人は、物語版から入るのもおすすめです。

→ 因数分解の練習問題を物語で解く|展開の逆を楽しく定着させる高校数学ドリル

悪もこあい先生のチャレンジ問題|最後に1問だけ挑戦!

ここまで読めた人は、最後に1問だけやってみましょう。

問題

2x²-18

ヒント

いきなり公式を探しにいく前に、

共通因数 → 2項 → 3項

の順で見てみましょう。

考え方

まず、どちらの項にも 2 が入っています。

だから、

2x²-18=2(x²-9)

とできます。

そのあとで中を見てみると、

x²-9

は平方の差です。

だから、

x²-9=(x+3)(x-3)

となります。

答え

2x²-18=2(x+3)(x-3)

悪もこあい先生のひとこと

「最初から公式ばかり追いかけると、大事な入口を見落とすわよ。」

悪もこあい先生が因数分解の最後の確認問題を出している挿絵
最後の1問は、見分ける順番が身についているかの確認です。

1分チェック

最後に、次の4つを確認してみましょう。

  • まず共通因数を見た
  • 2項か3項かを見た
  • 公式の形に合うか確認した
  • 因数分解したあと、展開で戻るか確かめた

この4つを意識できるだけでも、因数分解はかなり安定してきます。

因数分解で符号ミスや見落としが多い人は、こちらもどうぞ。
数学で点を落としやすい原因を、タイプ別に整理しています。

→ 数学のケアレスミスを減らす方法|理解不足との見分け方・4タイプ別対策

まとめ

今回は、

  • 展開の逆が因数分解であること
  • 因数分解の見分け方
  • 基本パターン
  • 例題での考え方

を整理しました。

因数分解でいちばん大切なのは、
公式をただ覚えることより、
「この式はどの形かな?」と落ち着いて見ることです。

迷ったときは、まず

共通因数 → 2項 → 3項

の順で見てみてください。
それだけでも、かなり見通しがよくなります。

次に読むなら|因数分解の前後をつなげよう

因数分解は、単独で覚えるよりも「展開の逆」「二次方程式で使う」「ミスを減らす」という流れで見ると、理解が安定します。

この高校数学シリーズでは、公式を暗記するだけでなく、「どの形かを見分けて、自分で選べるようになること」を大切にしています。因数分解も、順番に見ていけば、ちゃんと整理できるようになります。

もこあい先生より:「今日の“なんで?”を大切にしよう。正解より、考えた道のりが宝もの。」

訂正・更新履歴

  • 2025年9月17日:初稿を公開しました。
  • 2026年8月20日:
    記事内で重複していた「展開の逆は何?答えは因数分解」の章を整理し、同じ内容が連続しない構成に修正しました。
  • 2026年8月20日:
    「因数分解を見る順番」を見直しました。共通因数、項の数、完全平方、平方の差、x²+bx+c 型の確認に加え、因数分解できる部分が残っていないか、最後に展開して元の式へ戻るかまで確認する流れに整理しました。
  • 2026年8月20日:
    x²+bx+c 型の因数分解について、x² の係数が1の場合に使う基本的な見分け方であることを明確にしました。係数が1ではない3項式については、たすき掛けなど別の考え方が必要になることを追記しました。
  • 2026年8月20日:
    「平方差」などの表現を「平方の差」に整理し、完全平方との違いが分かりやすくなるよう説明を調整しました。

※この記事では、数学的な正確さと初学者の分かりやすさを両立するため、必要に応じて説明や例題を見直しています。

参考文献・出典

この記事では、高校数学Ⅰの「数と式」で扱う因数分解の基本内容をもとに、初学者にも理解しやすいように表現を整理しています。公式の扱い方や学習順については、以下の資料を参考にしました。

  1. 文部科学省『高等学校学習指導要領(平成30年告示)解説 数学編 理数編』数学Ⅰ「数と式」における、二次の乗法公式及び因数分解の公式、式を目的に応じて変形する考え方を参照。文部科学省公式資料参照日:2026年5月7日
  2. 啓林館『1 式の展開と因数分解|学習の順序についてのQ&A』因数分解の公式の指導順や、二次方程式とのつながりに関する説明を参照。啓林館公式資料参照日:2026年5月7日

※この記事では、上記資料を参考にしつつ、読者が因数分解の見分け方を実際に使えるよう、説明の順番や例題の見せ方を独自に整理しています。