〖高校数学②〗展開の逆とは?因数分解の見分け方と基本パターン
こんにちは、もこあい先生です。
前回の①では、式を広げる「展開」を見てきました。
今回はその反対、広がった式をもとの掛け算の形に戻す「因数分解」をやっていきます。
「展開はなんとなくできるけど、因数分解になると急に止まる…」
そんな人は、とても多いです。大丈夫。
因数分解は、公式をただ覚えるよりも、
「この式はどの形かな?」と順番に見ていくことが大切です。
この記事では、因数分解のいちばん最初に身につけたい基本にしぼって、
- 展開の逆とは何か
- どんな順番で見分けるか
- よく出る基本パターン
- 例題での考え方
を、最短でつかめる形で整理していきます。
あせらなくて大丈夫。
まずはここで、因数分解の土台をいっしょに作っていきましょう。

このシリーズの流れ
- ① 展開:式を広げる
- ② 因数分解:式を戻す ← 今回
- ③ 実戦:迷いやすい問題で見分け方を使う
展開の逆は何?答えは因数分解
展開の逆は、因数分解です。
展開が「かっこを外して式を広げること」なら、因数分解は「広がった式を、もとのかけ算の形に戻すこと」です。
たとえば、次の2つは逆の関係になっています。
- 展開:
(x+2)(x+3)をx²+5x+6に広げる - 因数分解:
x²+5x+6を(x+2)(x+3)に戻す
| 操作 | 何をするか | 例 |
|---|---|---|
| 展開 | かっこを外して式を広げる | (x+2)(x+3)=x²+5x+6 |
| 因数分解 | 広がった式をかけ算の形に戻す | x²+5x+6=(x+2)(x+3) |
動画を逆再生するように、展開で広がった式をもとの形へ戻していくと考えると、イメージしやすくなります。
この記事では、因数分解の最初に身につけたい基本パターンにしぼり、「どの式に、どの考え方を使うか」を見分ける順番を整理します。
公式を一度にすべて覚えようとしなくても大丈夫です。まずは、式を見る順番を一つずつ身につけていきましょう。
展開がまだあやしい人は、先に①を見よう
因数分解は、展開の逆です。
だから、展開の感覚がまだふわっとしている人は、先に①を見てから戻ってくると、ぐっとわかりやすくなります。
→ ⭐ 【高校数学①】多項式の展開をゼロから理解する|中学→高校へのつまずきが消える入門ガイド
まずこれだけ覚えよう
因数分解で迷ったときは、次の順番で見ると整理しやすいです。
因数分解を見る順番
因数分解で迷ったときは、次の順番で式を見てみましょう。
- まず、すべての項に共通する数や文字がないか見る
- 2項なら、平方の差の形になっていないか見る
- 3項なら、完全平方の公式に当てはまらないか見る
x²+bx+cの形なら、掛けてc、足してbになる2つの数を探す- 因数分解したあと、まだ因数分解できる部分が残っていないか見る
- 最後に展開して、もとの式に戻るか確認する
この順番を頭に入れておくだけで、
「どれを使えばいいのかわからない……」がかなり減ります。
特に大切なのは、最初に共通因数を見ることです。
そのあとで、項の数や式の形を見ながら、使える公式や考え方を探していきましょう。
共通因数 → 項の数 → 式の形 → 最後まで因数分解できたか
この流れを意識すると、公式をなんとなく当てはめるのではなく、「なぜこの方法を使うのか」が見えやすくなります。
因数分解の見分け方
ここでは、「どんな式なら、どんな考え方を使うのか」を表で整理しておきます。
| まず見ること | 注目ポイント | 使う考え方 | 例 |
|---|---|---|---|
| ① 共通因数がある? | すべての項に共通する数や文字があるか | 先にくくる | 2a²+6a=2a(a+3) |
| ② 2項式? | 引き算で、両方の項が平方の形になっているか | 平方の差 | x²-9=(x+3)(x-3) |
| ③ 3項式? | 完全平方の形になっているか | 公式を使う | x²+2x+1=(x+1)² |
| ④ x²+bx+c 型? | x²の係数が1になっているか | 掛けてc、足してbになる2数を探す | x²+7x+10=(x+5)(x+2) |
表は、全部一気に覚えなくて大丈夫です。
まずは、「共通因数を見る → 項の数を見る → 式の形を見る」という流れを意識してみてください。
ここで扱う因数分解の範囲
この記事では、因数分解の最初に身につけたい基本パターンにしぼって説明しています。
たとえば、
2x²+5x+2
のように、x²の係数が1ではない3項式では、x²+bx+c と同じ「掛けて定数項、足してxの係数」という探し方を、そのまま使うことはできません。
こうした式は、たすき掛けなどを使って考える次の段階で扱います。
まずはこの記事で、共通因数・完全平方・平方の差・x²+bx+c型という基本の見分け方を身につけていきましょう。
ちなみに、2x²+5x+2=(2x+1)(x+2) と因数分解できます。今は「x²の係数が1でないときは、別の考え方も必要になる」と分かれば十分です。
基本パターン① 共通因数でくくる
最初にいちばん見たいのは、共通因数でくくれるかどうかです。
たとえば、
2a²+6a
なら、どちらの項にも 2a が入っています。
だから、
2a²+6a = 2a(a+3)
とできます。
ここが大事
因数分解では、いきなり公式を探しにいくより、
まず「みんなに共通して入っているものはないかな?」
と見るのがコツです。
ここを見落とす人は本当に多いので、最初に習慣にしてしまいましょう。
基本パターン② a²+2ab+b²
次は、よく出る公式の1つです。
a²+2ab+b²=(a+b)²
たとえば、
x²+6x+9
を見てみると、
- x²
- 9 = 3²
- 真ん中の 6x は 2・x・3
という形になっています。
だから、
x²+6x+9=(x+3)²
と因数分解できます。
ここでは、
最初と最後が平方数になっているか
を見ると、かなり気づきやすくなります。
基本パターン③ a²-2ab+b²
これはさっきと似ていますが、真ん中がマイナスになります。
a²-2ab+b²=(a-b)²
たとえば、
x²-4x+4
なら、
- x²
- 4 = 2²
- 真ん中の -4x は -2・x・2
なので、
x²-4x+4=(x-2)²
です。
見た目はよく似ていますが、
真ん中の符号がプラスかマイナスか
は、しっかり見ておきたいところです。
基本パターン④ 平方の差 a²-b²
これは2項のときによく出てきます。
a²-b²=(a+b)(a-b)
たとえば、
x²-16
は、
- x²
- 16 = 4²
なので、
x²-16=(x+4)(x-4)
とできます。
2項で引き算が出てきたら、
「平方の差かな?」
と一度立ち止まってみると見つけやすいです。

つまずきやすい勘違い3つ
因数分解では、考え方が合っていても途中でミスしやすいです。
ここは、よくあるつまずきを先に見ておきましょう。
1. いきなり公式を探してしまう
まずは共通因数を見ます。
ここを飛ばすと、もったいないミスにつながりやすいです。
2. 平方の差と (a-b)² を混同してしまう
- a²-b² は 平方の差
- a²-2ab+b² は (a-b)²
似て見えるので、ここは落ち着いて区別したいですね。
3. 因数分解したあとに確認しない
最後に一度展開してみると、
「ちゃんと元の式に戻るかな?」
を確認できます。
このひと手間で、符号ミスに気づけることがよくあります。
例題で見分け方を確認しよう
ここからは、実際にどの形かを見ながら進めていきましょう。
答えだけではなく、どこを見たかも大切にしてみてください。
解く前チェック|まずここを見る
例題を解く前に、いきなり公式を探すのではなく、次の順番で確認してみましょう。
- 全部の項に共通する数や文字はある?
- 2項なら、平方の差になっている?
- 3項なら、完全平方の形になっている?
- x²+bx+c 型なら、掛けてc・足してbになる2数がある?
- 因数分解したあと、まだ因数分解できるところはない?
- 最後に展開して、もとの式に戻る?
この順番で見てから例題に入ると、「なんとなく解く」のではなく、どこを見て判断したのかがつかみやすくなります。
レベル1:まずは共通因数
例題1
3x²+6x
見抜きポイント
まずは共通因数があるかを見ます。
ここでは 3x が共通しています。
答え
3x²+6x=3x(x+2)
レベル2:公式そのまま
例題2
x²+8x+16
見抜きポイント
3項式です。最初と最後が平方数で、真ん中が 2ab の形になっているかを見ます。
答え
x²+8x+16=(x+4)²
例題3
x²-10x+25
見抜きポイント
最後は 25 = 5²。真ん中の -10x が -2・x・5 の形になっています。
答え
x²-10x+25=(x-5)²
例題4
x²-49
見抜きポイント
2項で引き算、しかもどちらも平方数。これは平方の差です。
答え
x²-49=(x+7)(x-7)
レベル3:少し迷う問題
例題5
x²+7x+10
見抜きポイント
3項式ですが、(a+b)² の公式そのままではありません。
掛けて10、足して7になる数の組み合わせを考えます。
答え
x²+7x+10=(x+5)(x+2)
ここは少しだけ迷いやすいですが、
「公式そのままじゃないな」と気づけることも大事な一歩です。

会話でじっくり理解したい人へ
この記事は、最短で整理する基礎版です。
「失敗しやすいところを会話つきでゆっくり理解したい」
「流れで覚えたい」
という人は、物語版から入るのもおすすめです。
→ 因数分解の練習問題を物語で解く|展開の逆を楽しく定着させる高校数学ドリル
悪もこあい先生のチャレンジ問題|最後に1問だけ挑戦!
ここまで読めた人は、最後に1問だけやってみましょう。
問題
2x²-18
ヒント
いきなり公式を探しにいく前に、
共通因数 → 2項 → 3項
の順で見てみましょう。
考え方
まず、どちらの項にも 2 が入っています。
だから、
2x²-18=2(x²-9)
とできます。
そのあとで中を見てみると、
x²-9
は平方の差です。
だから、
x²-9=(x+3)(x-3)
となります。
答え
2x²-18=2(x+3)(x-3)
悪もこあい先生のひとこと
「最初から公式ばかり追いかけると、大事な入口を見落とすわよ。」

1分チェック
最後に、次の4つを確認してみましょう。
- まず共通因数を見た
- 2項か3項かを見た
- 公式の形に合うか確認した
- 因数分解したあと、展開で戻るか確かめた
この4つを意識できるだけでも、因数分解はかなり安定してきます。
因数分解で符号ミスや見落としが多い人は、こちらもどうぞ。
数学で点を落としやすい原因を、タイプ別に整理しています。
→ 数学のケアレスミスを減らす方法|理解不足との見分け方・4タイプ別対策
まとめ
今回は、
- 展開の逆が因数分解であること
- 因数分解の見分け方
- 基本パターン
- 例題での考え方
を整理しました。
因数分解でいちばん大切なのは、
公式をただ覚えることより、
「この式はどの形かな?」と落ち着いて見ることです。
迷ったときは、まず
共通因数 → 2項 → 3項
の順で見てみてください。
それだけでも、かなり見通しがよくなります。
次に読むなら|因数分解の前後をつなげよう
因数分解は、単独で覚えるよりも「展開の逆」「二次方程式で使う」「ミスを減らす」という流れで見ると、理解が安定します。
この高校数学シリーズでは、公式を暗記するだけでなく、「どの形かを見分けて、自分で選べるようになること」を大切にしています。因数分解も、順番に見ていけば、ちゃんと整理できるようになります。
もこあい先生より:「今日の“なんで?”を大切にしよう。正解より、考えた道のりが宝もの。」
訂正・更新履歴
- 2025年9月17日:初稿を公開しました。
- 2026年8月20日:
記事内で重複していた「展開の逆は何?答えは因数分解」の章を整理し、同じ内容が連続しない構成に修正しました。 - 2026年8月20日:
「因数分解を見る順番」を見直しました。共通因数、項の数、完全平方、平方の差、x²+bx+c型の確認に加え、因数分解できる部分が残っていないか、最後に展開して元の式へ戻るかまで確認する流れに整理しました。 - 2026年8月20日:
x²+bx+c型の因数分解について、x²の係数が1の場合に使う基本的な見分け方であることを明確にしました。係数が1ではない3項式については、たすき掛けなど別の考え方が必要になることを追記しました。 - 2026年8月20日:
「平方差」などの表現を「平方の差」に整理し、完全平方との違いが分かりやすくなるよう説明を調整しました。
※この記事では、数学的な正確さと初学者の分かりやすさを両立するため、必要に応じて説明や例題を見直しています。
参考文献・出典
この記事では、高校数学Ⅰの「数と式」で扱う因数分解の基本内容をもとに、初学者にも理解しやすいように表現を整理しています。公式の扱い方や学習順については、以下の資料を参考にしました。
- 文部科学省『高等学校学習指導要領(平成30年告示)解説 数学編 理数編』数学Ⅰ「数と式」における、二次の乗法公式及び因数分解の公式、式を目的に応じて変形する考え方を参照。文部科学省公式資料参照日:2026年5月7日
- 啓林館『1 式の展開と因数分解|学習の順序についてのQ&A』因数分解の公式の指導順や、二次方程式とのつながりに関する説明を参照。啓林館公式資料参照日:2026年5月7日
※この記事では、上記資料を参考にしつつ、読者が因数分解の見分け方を実際に使えるよう、説明の順番や例題の見せ方を独自に整理しています。

