こんにちは、もこあい先生です。

今回は、数学シリーズの外伝です。

この記事は、因数分解の公式や基本ルールを最初から説明する本編ではなく、因数分解を物語と練習問題で定着させるための記事です。

「因数分解の説明は読んだけど、問題になると手が止まる」
「どの型を使えばいいのか混ざる」
「展開の逆と言われても、まだピンとこない」

そんな人向けに、今回は因数分解の町を旅しながら、問題を1つずつ解いていきます。

数学シリーズ外伝:
この記事は、因数分解を「物語」「練習問題」「記憶のフック」で定着させる記事です。基本の解き方を先に整理したい人は、以下の本編記事もあわせて確認してください。

〖高校数学②〗展開の逆とは?因数分解の見分け方と基本パターン

因数分解の町を旅しながら練習問題を解く高校数学ドリルのイメージ

この記事で練習すること

この記事では、因数分解を次の流れで練習します。

練習する型 見るポイント
共通因数でくくる すべての項に共通する数字や文字があるか 3x²+6x = 3x(x+2)
公式を使う 平方の形や、平方の差の形に見えるか x²-4 = (x+2)(x-2)
x²+ax+b 型 足してa、かけてbになる2つの数を探す x²+5x+6 = (x+2)(x+3)
たすき掛け ax²+bx+c 型を整数係数の積に因数分解するとき、係数の組み合わせを探す方法の一つ 2x²+7x+3 = (2x+1)(x+3)
展開チェック 最後に元の式へ戻るか確認する (x+2)(x+3) → x²+5x+6
できない判定 無理に分解しない判断をする x²+x+1

因数分解は、いきなり答えを探すより、見る順番を決めるとかなり楽になります。

因数分解の旅のしおり

ここからは、因数分解の町を旅するつもりで進みます。

因数分解の旅のしおり

  • 共通因数の門:まず、くくれるものを探す
  • 公式の広場:見覚えのある形を探す
  • 足して・かけて通り:x²+ax+b 型を整理する
  • たすき掛けの橋:係数の組み合わせを探して因数分解する
  • モンスターの森:分解できない式に注意する
  • ボス戦:どの型を使うか自分で選ぶ

健太は、しおりを見ながら言いました。

健太:「なんかゲームっぽいけど、ちゃんと数学なの?」

もこあい先生:「もちろん。物語は、あくまで覚えやすくするための道具です。大切なのは、式を見る順番を身につけることですよ。」

共通因数の門・公式の広場・たすき掛けの橋・モンスターの森を進む因数分解の町マップ

共通因数の門|まず、くくれるものを探そう

因数分解の町に入ると、最初に見えるのは「共通因数の門」です。

共通因数とは、すべての項に共通して入っている数字や文字のことです。

たとえば、次の式を見てみましょう。

3x² + 6x

この式では、3x²6x の両方に 3x が入っています。

だから、3x でくくることができます。

3x² + 6x = 3x(x+2)

恵子の攻略メモ:
因数分解では、いきなり公式を探す前に、まず「共通因数でくくれないか」を見ましょう。

健太のセーブポイント:
ここでは「まず、くくれるものを探す」と覚えればOKです。

共通因数の門で式に共通する数字や文字を探す場面

公式の広場|見覚えのある形を探そう

共通因数の門を抜けると、次は「公式の広場」です。

ここでは、展開公式の逆を使います。

たとえば、次の式です。

x² – 9

これは、

x² – 3²

と見ることができます。

つまり、「平方の差」の形です。

平方の差には、

a² – b² = (a+b)(a-b)

という因数分解の公式があります。

そのため、

x² – 9 = (x+3)(x-3)

と因数分解できます。

実際に展開して確認すると、

(x+3)(x-3) = x² – 9

となり、元の式に戻ります。

ここは言葉にも注意しましょう。

平方の差: a² – b²
差の平方: (a-b)²

「平方の差」と「差の平方」は、名前が似ていますが別の形です。
今回の x² – 9 は「平方の差」です。

悪もこあい先生の一撃:
「公式を覚えるだけで満足するな。展開して戻るかまで確認しな。」

展開の公式があやしい人は、先にこちらで確認しておくと楽です。

【高校数学①】多項式の展開をゼロから理解する

足して・かけて通り|x²+ax+b 型を練習しよう

次に進むのは、「足して・かけて通り」です。

ここでは、次のような形を見ます。

x² + ax + b

ポイントは、足してa、かけてbになる2つの数を探すことです。

たとえば、次の式です。

x² + 5x + 6

足して5、かけて6になる2つの数を探します。

  • 2 + 3 = 5
  • 2 × 3 = 6

だから、次のように因数分解できます。

x² + 5x + 6 = (x+2)(x+3)

最後に展開して確認します。

(x+2)(x+3) = x² + 5x + 6

健太のミス:
健太:「x²+5x+6 は、(x+1)(x+6) でもいい?」

恵子の直し方:
恵子:「展開すると x²+7x+6 になるよ。かけて6だけじゃなく、足して5も必要だね。」

健太が因数分解の答えを間違え、恵子が展開チェックで直している場面

たすき掛けの橋|少し複雑な式に挑戦しよう

次は「たすき掛けの橋」です。

ここでは、ax²+bx+c 型の式を、
整数係数の2つの一次式の積に因数分解できるか考えます。

特に、 の係数が1ではない式では、
単純な「足して・かけて」だけでは係数の組み合わせを見つけにくくなることがあります。

そこで、係数の組み合わせを探す方法の一つとして使えるのが、
たすき掛けです。

たとえば、次の式を見てみましょう。

2x² + 7x + 3

この式を、2つの一次式の積にできないか考えます。

2x²3 を作る係数の組み合わせを考え、
交差して掛けた項の和が 7x になる組み合わせを探します。

すると、

2x² + 7x + 3 = (2x+1)(x+3)

という組み合わせが見つかります。

最後に、展開して確認してみましょう。

(2x+1)(x+3)
= 2x² + 6x + x + 3
= 2x² + 7x + 3

元の式に戻ったので、この因数分解は正しいと確認できます。

恵子の攻略メモ:

たすき掛けは、
の係数が1ではない式なら必ず使える」
という意味ではありません。

係数の組み合わせを探して、
展開したときに真ん中の項まで元の式と一致するか
を確認することが大切です。

出口の門|展開チェックで元に戻るか確認しよう

因数分解の町では、出口の門で必ず確認することがあります。

それが、展開チェックです。

因数分解した答えは、まず展開して元の式に戻るか確認します。
元に戻れば式変形は正しいと確認できます。
そのうえで、さらに因数分解できる部分が残っていないかも見ておきましょう。

x² + 5x + 6 = (x+2)(x+3)

これを展開すると、

(x+2)(x+3)
= x² + 3x + 2x + 6
= x² + 5x + 6

元の式に戻りました。

つまり、この因数分解は正しいと確認できます。

悪もこあい先生の禁止ワード:
「なんとなく分解できそう」は禁止。最後に展開して、元の式に戻るか確認しな。

分解できないモンスターに注意|無理に因数分解しない問題もある

因数分解の町には、「分解できないモンスター」もいます。

これはこの記事の中で、今学んでいる方法では因数分解できない式
覚えやすくするためにつけた呼び方です。

たとえば、次の式を見てみましょう。

x² + x + 1

これを、

(x+□)(x+△)

のような整数係数の2つの一次式の積に因数分解できるか考えます。

そのためには、次の2つを満たす整数を探します。

  • 足して1
  • かけて1

しかし、この2つを同時に満たす整数の組み合わせはありません。

そのため、
x²+x+1 は、整数係数の2つの一次式の積には因数分解できません。

因数分解では、「問題に出てきた式は必ず何かの積にできる」と考えず、
今使っている方法や数の範囲では因数分解できない
と判断することも大切です。

モンスター判定練習

判定 理由
x² + 5x + 6 分解できる 足して5、かけて6 → 2と3
x² + x + 1 整数係数では分解できない 足して1、かけて1になる整数ペアがない
x² – 4 分解できる 平方の差 → (x+2)(x-2)
x² + 2x + 5 整数係数では分解できない 足して2、かけて5になる整数ペアがない

用語メモ:

「分解できないモンスター」は、この記事で分かりやすく説明するための呼び方で、
正式な数学用語ではありません。

また、「因数分解できる・できない」は、
どのような数や式を使ってよいかによって変わることがあります。

この記事では、高校数学の基本的な因数分解として、
主に整数係数の一次式の積にできるかを考えています。
学校やテストでは、問題の条件や教科書・先生の説明に従って判断しましょう。

整数の範囲では因数分解できない式をモンスターとして表した学習用イラスト

ボス戦|どの型を使うか自分で選ぼう

ここまで来たら、最後はボス戦です。

ボス戦では、最初から型を教えません。自分で「どこを見るか」を選びます。

問題1

4x² + 8x
ヒントを見る

すべての項に共通する数字や文字がないか確認しましょう。

解答:

4x² + 8x = 4x(x+2)

問題2

x² - 16
ヒントを見る

平方の差の形になっていないか確認しましょう。

解答:

x² - 16 = (x+4)(x-4)

問題3

x² + 8x + 15
ヒントを見る

足して8、かけて15になる2つの数を探しましょう。

解答:

x² + 8x + 15 = (x+3)(x+5)

問題4

x² + x + 1
ヒントを見る

足して1、かけて1になる整数ペアがあるか確認しましょう。

解答:

整数係数の2つの一次式の積には因数分解できません。

もこあい先生より:
ボス戦で大事なのは、全部を一瞬で解くことではありません。どの型から見るかを選べるようになることです。

因数分解のボス戦でどの型を使うか選びながら問題に挑む場面

どこで間違えた?因数分解のつまずき診断

因数分解で間違えたときは、「自分は数学が苦手だ」と決めつけなくて大丈夫です。

多くの場合、戻る場所が分かれば立て直せます。

起きたこと 原因 戻る場所
答えが合わない 展開チェックをしていない 出口の門:展開チェック
どの型か分からない 見る順番が決まっていない 旅のしおり
公式に気づけない 展開公式の形がまだあやしい 公式の広場
無理に分解してしまう 整数ペアがない式を見抜けていない モンスターの森
二次方程式で使えない 因数分解と方程式のつながりが見えていない 二次方程式の記事へ進む

因数分解が二次方程式でどう使われるかを知りたい人は、こちらの記事もおすすめです。

因数分解・平方完成・解の公式を「選べる」ようになる授業

因数分解で間違えた原因と戻る場所を整理したつまずき診断マップ

この外伝のクリア条件

この記事を読んだあと、次のことができればクリアです。

  • 最初に共通因数を確認できる
  • 公式の形に気づける
  • 足して・かけて型を試せる
  • たすき掛けを展開チェックで確認できる
  • 分解できない式を無理に分解しない
  • 最後に展開して元に戻るか確認できる

完璧に解けなくても大丈夫です。まずは「見る順番」を思い出せることが大切です。

因数分解で見る順番を共通因数・公式・足してかけて・たすき掛け・展開チェックで整理した旅カード

今日できる最小行動|1問だけ解いてみよう

最後に、今日できる最小行動です。

今日はこの1問だけでOKです。

x² + 5x + 6

見る順番はこうです。

  1. 共通因数はある?
  2. 公式の形に見える?
  3. 足して5、かけて6になる2つの数は?
  4. 展開して元に戻る?

答えは、

x² + 5x + 6 = (x+2)(x+3)

です。

展開すると、

(x+2)(x+3) = x² + 5x + 6

元に戻ります。

健太のセーブポイント:
今日は1問だけでOK。因数分解は、たくさん解く前に「見る順番」を1回確認するところから始めよう。

因数分解ミニ辞書|この記事で出てきた言葉

言葉 意味
因数分解 多項式などを、いくつかの式や数の積の形に表すこと
展開 かけ算の形を、たし算の形へ広げること
共通因数 すべての項に共通して入っている数字や文字
公式 よく出る形をまとめた計算の型
平方の差 a²-b²=(a+b)(a-b) の形。2つの平方が引き算になっている形。
たすき掛け ax²+bx+c型の式を因数分解するときに、係数の組み合わせを探す方法の一つ。特に、x² の係数が1ではない式でよく使われる。
展開チェック 因数分解した答えを展開して、元の式に戻るか確認すること
分解できないモンスター この記事独自の呼び方。ここでは、整数係数の一次式の積に因数分解できない式を表している。正式な数学用語ではない。

次に読む記事|本編に戻って整理しよう

この外伝で因数分解の流れをつかめたら、次は本編記事で公式・解法・見分け方を整理してみましょう。

まとめ|本編で理解、外伝で定着しよう

因数分解は、ただ公式を覚えるだけでは使いにくい単元です。

大切なのは、式を見たときに、

  • 共通因数はあるか
  • 公式の形に見えるか
  • 足して・かけて型か
  • たすき掛けが必要か
  • 展開して元に戻るか
  • 無理に分解しようとしていないか

を順番に確認することです。

この外伝では、因数分解の町を旅しながら、その順番を練習しました。

本編で理解し、外伝で定着する。

この2つを行き来できるようになると、因数分解はかなり扱いやすくなります。

もこあい先生より:
「今日の“なんで?”を大切にしよう。正解より、考えた道のりが宝もの。」

数学シリーズ本編で理解し外伝で定着する流れを示すまとめイラスト

更新履歴

  • 2026年8月18日:
    数学的な精度を再確認し、「差の平方」を「平方の差」へ修正。
    あわせて、たすき掛けの適用についての説明と、
    「因数分解できない」とする範囲をより正確な表現へ見直しました。
参考文献・出典(クリックして開く)

※この記事は、高校数学の因数分解を学ぶ読者向けに、物語・比喩・練習問題を使って理解を助ける目的で作成しています。「因数分解の町」「分解できないモンスター」などは、この記事内で理解補助として使う表現であり、正式な数学用語ではありません。学校やテストでは、教科書・授業ノート・先生の表現もあわせて確認してください。

  • 文部科学省『高等学校学習指導要領(平成30年告示)』数学Ⅰ
  • 文部科学省『高等学校学習指導要領(平成30年告示)解説 数学編 理数編』
  • 国立教育政策研究所『「指導と評価の一体化」のための学習評価に関する参考資料 高等学校 数学』
  • 使用中の高等学校数学Ⅰ教科書・授業ノート・学校配布プリント