文章を書き終えたあと、
「これで提出して大丈夫かな」
「読み返しているけれど、どこを直せばいいのか分からない」
と困ることはありませんか。

推敲というと、誤字や脱字を探したり、きれいな表現に言い換えたりする作業を思い浮かべるかもしれません。

でも、提出前に本当に大切なのは、細かなミスを探す前に「そもそも課題に答えられているか」を確認することです。

この記事では、作文・小論文・レポートなどを書き終えたあとに、

  • 何から見直せばいいのか
  • どこまで直せばいいのか
  • 文章全体の流れをどう確認するのか
  • 時間がないときは何を優先するのか
  • AIを使う場合はどう確認するのか

を、実際に手を動かせる順番で整理します。

一度に全部を直そうとしなくて大丈夫です。

課題を確認する → 内容を見る → 伝わり方を見る → 提出できる状態にする

という順番で進めていきましょう。

文章の推敲を課題確認、内容、伝わり方、提出前の順で進める4段階フロー

目次
  1. 先に結論|推敲は「3周・6項目」に分けると見直しやすい
  2. そもそも推敲とは?|誤字脱字を探すだけではない
  3. 推敲しないまま提出すると「書いたのにもったいない」が起こる
  4. STEP0|本文を直す前に、課題文を分解する
  5. 1周目|まず「何を書いたか」を見る
  6. 2周目|次に「どう伝わるか」を見る
  7. 3周目|最後に「提出できる状態か」を見る
  8. 実演|一本の文章を最初から最後まで推敲してみよう
  9. 推敲しても、全部を書き直さなくていい
  10. 時間がないときは「全部」ではなく、見る範囲を決める
  11. 作文・小論文・レポートでは、最後に見る場所が少し違う
  12. AIを使って推敲するときは「書き直す人」より「確認役」にする
  13. 保存用|提出前「3周・6項目」チェック
  14. よくある質問
  15. ミニ辞書|この記事で出てきた言葉
  16. 今日できる最小行動|課題文と自分の文章を並べる
  17. まとめ|推敲は「上手く見せる」より「伝わる形に整える」
  18. あわせて読みたい
  19. 参考文献・出典
  20. 訂正・追記履歴

先に結論|推敲は「3周・6項目」に分けると見直しやすい

推敲が苦手な人は、文章を読みながら誤字、文末、内容、構成を全部同時に探そうとしがちです。

しかし、見る場所を分けた方が、「今は何を確認しているのか」が分かりやすくなります。

この記事では、提出前の推敲を次の3周に分けます。

見る回 見るところ 主なチェック
1周目 内容 ①問い・目的
②主張・理由・根拠
2周目 伝わり方 ③構成・段落
④一文・主語と述語
⑤言葉・文末・重複
3周目 提出前 ⑥誤字・表記・事実・引用・提出条件

ただし、1周目へ入る前にSTEP0があります。

それが、

「自分の文章ではなく、まず課題文を見る」

ことです。

文章が読みやすくても、聞かれたことに答えていなければ、大きなズレが残ります。

そのため、この順番で進めます。

  1. STEP0|課題文・評価基準・提出条件を確認する
  2. 1周目|内容を見る
  3. 2周目|伝わり方を見る
  4. 3周目|提出できる状態か確認する

文章推敲の1周目から3周目までに確認する6項目の一覧

そもそも推敲とは?|誤字脱字を探すだけではない

推敲とは、書いた文章を読み返し、内容・構成・表現などを確認しながら、より伝わりやすい形へ整えていくことです。

誤字や脱字を直すことも大切ですが、それだけではありません。

  • 課題の問いに答えているか
  • 自分の言いたいことが伝わるか
  • 理由や根拠が足りているか
  • 段落の順番が自然か
  • 一文が分かりにくくなっていないか
  • 必要な情報が抜けていないか

といったところまで確認します。

推敲と校正は少し違う

この記事では、違いを簡単に次のように考えます。

推敲:
内容・構成・表現などを見直し、より伝わりやすい文章へ整えること。

校正:
誤字・脱字・表記などの誤りがないか確認すること。

つまり、

「誤字がない=推敲が終わった」ではありません。

誤字が一つもなくても、問いに答えていなかったり、理由が抜けていたりすれば、文章としてはまだ見直せる部分があります。

推敲しないまま提出すると「書いたのにもったいない」が起こる

たとえば健太が、学校の作文を書き終えたとします。

「よし、完成!」

と思い、そのまま提出しました。

ところが、あとで読み返してみると、

  • 同じ言葉が何度も続いている
  • 「〜と思いました」が何回も続いている
  • 理由を書いたつもりなのに、読み手には分かりにくい
  • 一番言いたかったことが途中でぼやけている

という部分が見つかりました。

これは、「何も考えずに書いた」から起きたわけではありません。

ちゃんと考えて書いた文章でも、書いている本人には内容が分かっているため、読み手側から見ると不足している説明に気づきにくいことがあります。

だからこそ、書き終えたあとの推敲が役立ちます。

作文を書いてすぐ提出する場合と、推敲して問題点に気づく場合の比較

STEP0|本文を直す前に、課題文を分解する

推敲を始めるとき、いきなり本文を読み返すのではなく、最初に課題文へ戻ります。

特に確認したいのは、

  • 何について書くのか
  • 何を答えるのか
  • 理由や根拠が必要か
  • 資料を使う必要があるか
  • 字数などの条件があるか

です。

課題文から「やること」を抜き出してみよう

たとえば、次の課題が出たとします。

資料Aを参考に、SNSの利用についてあなたの考えを800字以内で述べなさい。

この課題をそのまま抱えるのではなく、やることを分解します。

  • 資料Aを使う
  • SNSの利用について書く
  • 自分の考えを書く
  • 800字以内にする

ここまで分けると、自分の文章と照らし合わせやすくなります。

たとえば、

  • 資料Aに一度も触れていない
  • SNSの説明だけで、自分の考えがない
  • 内容はよいが900字になっている

というズレを見つけられます。

先生から評価基準やルーブリック、提出方法などが示されている場合は、それも先に確認します。

一般的に「上手な文章」かどうかより、その課題で求められていることを満たしているかを優先します。

SNSについての課題文を資料、テーマ、自分の考え、字数の4条件に分解した図

1周目|まず「何を書いたか」を見る

1周目では、誤字や文末などの細かな部分はひとまず後回しにします。

確認するのは文章の中身です。

① 問い・目的に答えているか

最初に、

「この文章は、何を聞かれて書いた文章なのか」

を確認します。

たとえば、

高校生にスマートフォンは必要だと思いますか。理由とともに述べなさい。

という課題なら、求められているのは、

  • 必要だと思うかどうか
  • その理由

です。

問いと答えに線を引く

推敲が苦手な人は、課題文の「聞かれている部分」に線を引いてみましょう。

次に、自分の文章から、

  • 自分の答え
  • その理由

に当たる文を探します。

見つからなければ、

「文章は書いてあるけれど、問いにはまだ十分答えていない」

可能性があります。

読み終えたあとに、

「結局、この文章で一番言いたかったことは何?」

と聞かれて、一文で答えられるか確認するのも有効です。

課題文の問いと自分の文章の答えや理由を線で対応させる確認方法

② 主張・理由・根拠がつながっているか

次に見るのは、

「なぜそう言えるのか」

です。

たとえば、

私は読書が大切だと思います。

だけでは、自分の意見は分かりますが、理由はまだ分かりません。

そこで、

私は読書が大切だと思います。なぜなら、自分とは違う考え方に触れられるからです。

とすると、主張と理由の関係が見えます。

さらに根拠が必要な課題なら、具体例・資料・データなどへつなげます。

「なぜ?」「何から分かる?」を一度だけ聞いてみる

文章を読みながら、

  • なぜそう考えた?
  • それは何から分かる?
  • 読み手も同じように納得できる?

と問い直してみます。

すべての文を長く説明する必要はありません。

読み手が「どうして?」と止まりそうなところだけ補うイメージで十分です。

2周目|次に「どう伝わるか」を見る

内容が確認できたら、2周目は読み手側に立って確認します。

基準は、

「自分には分かる」ではなく、「初めて読む人にも分かるか」

です。

③ 構成・段落の流れを確認する

ここで、文章を一文ずつ細かく直す前に、段落全体を見ます。

おすすめなのが、

「各段落に一言で名前を付ける」

方法です。

段落に役割名を付けてみよう

たとえば4段落の文章なら、

  • 第1段落:自分の意見
  • 第2段落:理由
  • 第3段落:具体例
  • 第4段落:まとめ

と一言ずつ名前を付けます。

これなら流れが見えます。

一方、

  • 第1段落:意見
  • 第2段落:具体例
  • 第3段落:別の具体例
  • 第4段落:急に別の話
  • 第5段落:まとめ

となったら、

  • 理由を説明する場所が足りないかもしれない
  • 第4段落は必要なのか
  • 具体例が多すぎないか

と考えられます。

「話の流れを確認しましょう」と言われても難しい人は、

まず「この段落は何のためにある?」と一言で説明してみてください。

それだけでも、文章の抜けや脱線を見つけやすくなります。

段落を意見、理由、具体例、まとめに分けて文章の流れを確認する図

初めて読む人に必要な説明が抜けていないか

文章を書いた本人は、背景を全部知っています。

そのため、

  • このこと
  • それ
  • あのとき
  • この問題
  • その結果

と書いても、自分には意味が分かります。

しかし、初めて読む人には何を指しているのか分からない場合があります。

次の点を確認してみましょう。

  • 「これ・それ」が何を指しているか分かる
  • 人物や出来事の説明が突然省かれていない
  • 自分だけが知っている前提で話していない
  • 途中で別の話題へ急に飛んでいない

「この出来事を知らない人が読んでも分かるかな?」

と考えると、説明不足を見つけやすくなります。

④ 一文・主語と述語を確認する

文章全体の流れを確認したら、一文ずつ見ます。

一文に内容を詰め込みすぎていないか

たとえば、

私は昨日図書館へ行って本を借りましたが、その本は以前先生からすすめられたもので、読んでみると面白くて、私はもっと本を読んだほうがいいと思いました。

という文があったとします。

意味は分かりますが、一文の中にいくつもの内容が入っています。

たとえば、

私は昨日、図書館で本を借りました。以前、先生からすすめられた本です。読んでみると面白く、もっと本を読んでみたいと思いました。

のように分けると、内容を追いやすくなります。

ただし、

「一文は必ず○文字以内」

と決める必要はありません。

見るポイントは、

一文の途中で伝えたいことが増えすぎていないか

です。

主語と述語が自然につながっているか

次の文を見てください。

私がこの文章で伝えたいことは、毎日少しずつ練習するのが大切です。

意味は伝わりますが、

「伝えたいことは」と「大切です」のつながりが少し不自然です。

たとえば、

私がこの文章で伝えたいことは、毎日少しずつ練習することの大切さです。

とすると、つながりが分かりやすくなります。

長い文ほど、

「誰が・何が」→「どうする・どうである」

が自然につながっているか確認してみましょう。

長すぎる一文を分け、主語と述語のつながりを確認する推敲例

⑤ 言葉・文末・重複を確認する

ここまで来てから、細かな表現を整えます。

文末が不自然に混ざっていないか

「です・ます」と「だ・である」が、理由なく混ざっていないか確認します。

また、

〜と思いました。
〜と思いました。
〜と思いました。

のように同じ文末が続いている場合も読み返します。

ただし、同じ文末を一度も使ってはいけないわけではありません。

読んだときに単調さや不自然さを感じるほど続いている場所だけ見直せば十分です。

同じ言葉を無理に全部言い換えなくていい

同じ言葉が続いていても、その文章に必要な言葉なら残します。

たとえば数学について説明する文章で、「関数」という言葉が何度も出てくるからといって、毎回別の表現に変える必要はありません。

確認したいのは、

必要な繰り返しなのか、ただ同じ言い方を重ねているだけなのか

です。

読み返しても分からないときは、声に出してみる

目で何度読んでも違和感を見つけられないときは、小さな声でもよいので読んでみる方法があります。

声に出すと、

  • 一文が長すぎる
  • 同じ文末が続いている
  • 言葉が抜けている
  • 読点を入れた方が読みやすい

といった場所に気づくことがあります。

声を出しにくい場所なら、声に出すつもりで一文ずつゆっくり読むだけでも構いません。

3周目|最後に「提出できる状態か」を見る

内容と伝わり方を確認したら、最後に細かなミスと提出条件を見ます。

この順番にする理由の一つは、先に文章全体を直すと、途中で文を追加したり削ったりすることがあるからです。

大きな修正が終わってから、最後に細部を確認します。

⑥ 誤字・表記・事実・引用・提出条件を確認する

誤字・脱字

  • 漢字の変換ミス
  • 助詞の抜け
  • 送り仮名
  • 入力ミス
  • 句読点

などを確認します。

表記ゆれ

同じ文章の中で、

  • できる/出来る
  • Web/WEB
  • スマートフォン/スマホ

などが、理由なくばらばらになっていないか確認します。

すべてを機械的に同じ表記へ変える必要はありませんが、意図のない揺れは読み手を迷わせることがあります。

事実・数字・固有名詞

文章として自然でも、内容まで正しいとは限りません。

特に、

  • 人名
  • 年号
  • 数値
  • 制度名
  • 書籍や論文のタイトル
  • URL
  • AIから得た情報

などは、必要に応じて元の資料を確認します。

「文章として自然」と「事実として正しい」は別です。

引用・参考文献

レポートなどで資料を使った場合は、

  • 引用した場所が分かるか
  • 出典を書いているか
  • 本文と参考文献が対応しているか
  • 授業で指定された形式に合っているか

を確認します。

提出条件

最後に文章の外側も確認します。

  • 氏名
  • 学年・学籍番号
  • タイトル
  • 字数
  • ページ数
  • ファイル形式
  • ファイル名
  • 提出先
  • 締切
  • AI利用についてのルール

などです。

文章が完成していても、提出条件を確認するまではまだ「提出前」です。

課題を提出する前に誤字、引用、氏名、字数、ファイル名などを確認する図

実演|一本の文章を最初から最後まで推敲してみよう

ここまで一項目ずつ確認してきました。

今度は、一つの文章が推敲によってどう変わるのかを、STEP0から順番に追ってみます。

課題はこちらです。

高校生にスマートフォンは必要だと思いますか。理由とともに述べなさい。

最初に書いた文章

私はスマートフォンは必要だと思います。スマートフォンはいろいろなことができて便利だからです。連絡もできるし調べることもできるので便利です。だからスマートフォンは便利なので必要だと思いました。でも使いすぎはよくないと思います。

この文章を、「上手・下手」で判断するのではなく、順番に確認します。

一つの文章をSTEP0から6項目まで順番に推敲する実演の開始図

STEP0|課題文から条件を抜き出す

この課題で求められているのは、

  • 高校生にスマートフォンが必要だと思うか
  • その理由

の二つです。

まず、この二つが本文にあるかを確認します。

① 問いへの答えを探す

本文には、

私はスマートフォンは必要だと思います。

とあります。

自分の立場ははっきりしています。

そのため、この部分を大きく書き直す必要はありません。

② 理由を探す

理由として、

  • いろいろなことができる
  • 連絡ができる
  • 調べることができる

と書かれています。

ただし、「便利」という言葉が何度も出ています。

ここで単に別の難しい言葉へ置き換えるのではなく、

「何が便利なのか」を理由として前へ出す

と考えます。

③ 段落に役割名を付ける

元の文章を内容ごとに整理すると、

  • 意見:スマートフォンは必要
  • 理由:連絡や調べものに使える
  • 注意点:使いすぎはよくない
  • まとめ:必要だと考える

という材料があります。

つまり、考えそのものが足りないというより、順番を整理すると伝わりやすくなりそうです。

④ 一文を確認する

元の文章は、一文一文が極端に長いわけではありません。

そのため、大きく分割する必要はありません。

ここは「直すところがない」と判断できます。

推敲は、必ず全部の項目で修正する作業ではありません。

⑤ 言葉と文末を見る

元の文章では、

  • 便利
  • 必要
  • 思います/思いました

が繰り返されています。

そこで、「便利」を別の難しい単語へ置き換えるのではなく、

  • 家族や友人と連絡できる
  • 分からないことを調べられる

という具体的な内容を残します。

⑥ 最終確認をする

最後に、

  • 誤字はないか
  • 問いに答えているか
  • 理由があるか
  • 話が途中で飛んでいないか

をもう一度確認します。

推敲後の例

私は、高校生にもスマートフォンは必要だと考えます。家族や友人と連絡を取れるだけでなく、分からないことを調べる手段としても使えるからです。

一方で、長時間使い続ければ、勉強や睡眠に影響することも考えられます。そのため、スマートフォンを持つかどうかだけでなく、使う時間や場面を自分で管理することも大切です。

私は、使い方に注意することを前提に、高校生にとってスマートフォンは役立つ道具だと考えます。

何を残し、何を直したのか

最初の文章を全部捨てたわけではありません。

もともと書いてあった、

  • スマートフォンは必要だと思う
  • 連絡に使える
  • 調べものに使える
  • 使いすぎには注意した方がよい

という考えは残っています。

変えたのは、主に順番と伝え方です。

これが推敲です。

新しい立派な文章へ取り替えるのではなく、自分が書いた内容を読み手へ届く形に整えます。

一つの文章を課題確認から最終確認まで6段階で推敲する手順

推敲しても、全部を書き直さなくていい

推敲を始めると、

「もっと上手な言葉にしないと」

「難しい表現へ変えた方がいいのかな」

と思うことがあります。

しかし、直す必要がない部分まで変える必要はありません。

難しくすること=よい推敲ではない

たとえば、

友達に助けてもらって、ほっとしました。

という文章を、

友人から支援を受けたことにより、大きな安堵感を覚えました。

と変えたとします。

後の文章も日本語として成立しています。

しかし、作文全体の言葉遣いや書いた本人の普段の表現から大きく離れているなら、本当に変える必要があるか考えたいところです。

難しい言葉にすることが推敲ではありません。

大切なのは、伝えたいことが正確に伝わることです。

「なぜ直した?」に答えられるか

文章を変更したとき、

「どうしてここを変えた?」

と自分に聞いてみましょう。

たとえば、

  • 問いへの答えが分かりにくかったから
  • 理由が抜けていたから
  • 段落の順番が不自然だったから
  • 主語と述語が合っていなかったから
  • 同じ表現が不自然に続いていたから

なら、何を改善したのかが分かります。

一方、

  • AIが直したから
  • 難しい言葉の方が上手そうだから

だけなら、本当に変更した方がよいか一度考えてみましょう。

「ここは直す」「ここは残す」と判断することも、推敲の大切な部分です。

自然な文章と難しく言い換えすぎた文章を比較した推敲例

時間がないときは「全部」ではなく、見る範囲を決める

提出直前で、十分な時間が残っていないこともあります。

その場合は、全部を完璧に見直そうとせず、今できる範囲を決めます。

文章の長さや課題によって必要な時間は変わるため、ここでは固定した秒数ではなく、状況別に考えます。

ほとんど時間がない

  • 課題に答えているか
  • 文章が途中で切れていないか
  • 大きな誤字や入力ミスがないか
  • 氏名・提出先・ファイルを間違えていないか

数分程度は見直せる

上の項目に加えて、

  • 主張と理由がつながっているか
  • 話が途中で飛んでいないか
  • 分かりにくい長文がないか
  • 文末が大きく乱れていないか

を確認します。

少し余裕がある

この記事の、

STEP0 → 1周目 → 2周目 → 3周目

まで順番に確認します。

全部を細かく直せなくても、

内容 → 伝わり方 → 細部

という優先順位を意識すると、大きなズレから確認できます。

提出までの余裕に応じて文章の見直し範囲を変える3段階の図

作文・小論文・レポートでは、最後に見る場所が少し違う

ここまで紹介した方法は、さまざまな文章で使えます。

ただし、作文・小論文・レポートでは、特に確認したいところが少し違います。

文章 特に見るところ ありがちな不足
作文 体験・気持ち・自分の考え 出来事を並べただけになる
小論文 主張・理由・根拠・論理 意見だけで理由が弱い
レポート 問い・資料・根拠・引用・考察 調べた情報を並べただけになる

※ここでは違いを分かりやすくするため、代表的な特徴を簡略化しています。実際には、学校・授業・担当教員から示された課題の指示を最優先してください。

作文|出来事だけで終わっていない?

作文では、

運動会でリレーをしました。緊張しました。最後まで走りました。

のように、起きた出来事だけが並んでいないか確認します。

必要に応じて、

  • なぜその場面が心に残ったのか
  • そのとき何を感じたのか
  • その経験から何を考えたのか

まで書けると、自分の文章になりやすくなります。

小論文|意見だけで終わっていない?

小論文では、

私は読書が大切だと思います。

だけで終わっていないか確認します。

  • 自分の主張
  • その理由
  • 根拠や具体例
  • 結論

がつながっているかを見ます。

特に、

「なぜそう言える?」

に答えられるか確認しましょう。

レポート|資料を並べただけになっていない?

レポートにはさまざまな種類がありますが、論証するタイプのレポートでは、資料を集めて並べるだけでなく、

問いに対して、根拠を示しながら自分なりの答えを導いているか

を確認します。

  • 何を明らかにするレポートなのか
  • 問いへの答えがあるか
  • その答えを支える資料があるか
  • 資料の内容と自分の考察を区別できているか
  • 引用・参考文献を確認できるか

を見てみましょう。

レポートには要約型・報告型などもあるため、課題で指定された形式がある場合は、そちらを優先してください。

作文、小論文、レポートで重点的に確認する内容の違いを示した図

AIを使って推敲するときは「書き直す人」より「確認役」にする

ChatGPTなどの生成AIを、文章の見直しに使う方法もあります。

ただし、

AIが作った文章だから正しい

とは限りません。

生成AIの回答には誤りや、課題の意図と合わない内容が含まれる可能性があります。

また、学校・授業・課題によってAI利用のルールは異なります。

利用する前に、学校や先生から示されたルールを確認してください。

「AIっぽい文章か」だけで判断しない

AIを使った文章で大切なのは、見た目がAIらしいかどうかだけではありません。

それより、

  • 内容が自分の考えと合っているか
  • 事実に間違いがないか
  • 自分で説明できる内容か
  • 課題の問いに答えているか
  • 引用・出典に問題がないか
  • 学校や授業のルールに合っているか

を確認します。

全文を書き直してもらうより、問題箇所を探してもらう

推敲の練習として使うなら、

この文章を完璧に書き直してください。

よりも、

「どこを確認すればいいのか」をAIに探してもらう

使い方がおすすめです。

たとえば、次のように聞けます。

プロンプト例①|問いへの答えを確認する

次の文章は書き直さないでください。

課題の問いに直接答えている文を抜き出してください。
問いに十分答えていない場合は、不足している点だけ教えてください。

プロンプト例②|理由・根拠を確認する

次の文章は書き直さないでください。

自分の主張になっている文と、
その理由・根拠になっている文を分けて示してください。

理由や根拠が足りない場合は、
不足している場所だけ教えてください。

プロンプト例③|分かりにくい場所を確認する

次の文章は全文を書き直さないでください。

初めて読む人が意味を取りにくそうな文を、
3か所以内で教えてください。

それぞれ、なぜ分かりにくい可能性があるのかも短く説明してください。

AIから指摘を受けたあと、

本当に直すかどうかは自分で判断します。

AIに点数を決めてもらうより「場所」を探してもらう

「この作文は100点満点で何点?」

と聞くこともできます。

しかし、AIが学校の先生と同じ評価基準を持っているとは限りません。

それより、

  • 問いに答えている文はどこ?
  • 理由はどこ?
  • 根拠はどこ?
  • 分かりにくい文はどこ?
  • 事実確認が必要そうなのはどこ?

と聞いた方が、自分で判断するための材料として使いやすくなります。

AIに評価を任せるのではなく、自分が推敲するための確認役として使う。

この考え方を基本にしましょう。

生成AIに全文を書き直させるのではなく問題箇所の確認役として使う比較図

保存用|提出前「3周・6項目」チェック

提出前に毎回この記事を最初から読む必要はありません。

ここだけスマホで保存できるよう、最終チェックをまとめます。

STEP0|最初に確認

  • □ 課題文をもう一度読んだ
  • □ 評価基準・字数・提出条件を確認した

1周目|内容

  • □ ① 問い・目的に答えている
  • □ ② 主張・理由・根拠がつながっている

2周目|伝わり方

  • □ ③ 段落ごとの役割が分かる
  • □ ④ 一文と主語・述語が分かりやすい
  • □ ⑤ 言葉・文末・重複を確認した

3周目|提出前

  • □ ⑥ 誤字・表記を確認した
  • □ 数字・固有名詞・事実を確認した
  • □ 必要な引用・参考文献を確認した
  • □ 氏名・字数・ファイル名・提出方法を確認した

AIを使った場合

  • □ 自分の考えと合っている
  • □ 必要な事実確認をした
  • □ 自分で内容を説明できる
  • □ 学校・授業のAI利用ルールを確認した

文章提出前に使えるSTEP0と3周6項目の保存用推敲チェックリスト

よくある質問

推敲は何回すればいい?

必ず何回と決まっているわけではありません。

この記事では、見る場所を混ぜないために、

内容 → 伝わり方 → 提出前

の3周に分けています。

短い文章なら、一度読む中で順番に確認しても構いません。

大切なのは、回数そのものではなく、必要なところを確認できたかです。

誤字脱字から確認してはいけない?

いけないわけではありません。

提出直前でほとんど時間がない場合は、誤字や入力ミスを優先することもあります。

ただし時間があるなら、

問い・内容 → 構成 → 表現 → 誤字

のように大きな部分から確認すると、あとで段落そのものを書き直したときに、細かな修正を何度もやり直さずに済みます。

AIに推敲してもらってもいい?

学校・授業・課題のルールで認められている範囲なら、見直しの補助として使う方法があります。

ただし、AIの修正文をそのまま正解だと考えるのではなく、

  • 問題箇所を探してもらう
  • 理由や根拠の場所を確認してもらう
  • 分かりにくい場所を指摘してもらう

といった使い方にすると、自分で判断する部分を残しやすくなります。

ミニ辞書|この記事で出てきた言葉

クリックして開く|推敲・校正・主張・根拠など

推敲

書いた文章の内容・構成・表現などを読み返し、より伝わりやすい形へ整えることです。

校正

この記事では、誤字・脱字・表記などの誤りを確認する作業という意味で使っています。

主張

文章の中で、自分が伝えたい考えや結論です。

根拠

自分の主張や説明を支える材料です。資料・データ・具体例などが使われることがあります。

主語

「誰が」「何が」に当たる部分です。

述語

主語について「どうする」「どうだ」などを示す部分です。

表記ゆれ

同じ言葉について、文章の中で書き方がばらばらになっている状態です。

今日できる最小行動|課題文と自分の文章を並べる

この記事の内容を全部覚える必要はありません。

次に文章を提出するときは、まず、

課題文と、自分が書いた文章を並べてください。

そして、

「私は、聞かれたことに答えているかな?」

だけ確認します。

できたら次に、

「その理由は書いてあるかな?」

と進みます。

推敲は、一度に文章全部の間違いを探す作業ではありません。

見る場所を一つ決めて、順番に確かめる。

そこから始めれば十分です。

まとめ|推敲は「上手く見せる」より「伝わる形に整える」

推敲というと、文章を難しくしたり、きれいな表現へ変えたりする作業に見えるかもしれません。

しかし、本当に確認したいのは、

自分が伝えたいことが、読み手に伝わる状態になっているか

です。

提出前は、まず課題文を確認します。

そのあと、

  • 1周目:内容を見る
  • 2周目:伝わり方を見る
  • 3周目:提出できる状態か確認する

という順番で進めます。

全部を完璧に書き直す必要はありません。

自分が書いた文章の良いところは残しながら、必要なところだけ整えていきましょう。

「なぜここを直すのか」が少しずつ分かるようになると、推敲は単なるミス探しではなく、自分で文章を判断する練習になります。

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AIに全部やらせると危ない理由|考える力を守る使い方

参考文献・出典

※本記事では、文章の推敲・国語学習・大学レポート・生成AI利用について、公的機関・教育機関の資料を中心に確認しています。学校・授業・課題に個別の指定がある場合は、その指示を優先してください。

  1. 文化庁「公用文作成の考え方(建議)」

    https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkashingikai/kokugo/hokoku/pdf/93651301_01.pdf

    参照日:2026年8月7日
  2. 文部科学省「中学校学習指導要領解説 国語編」

    https://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/micro_detail/__icsFiles/afieldfile/2019/03/18/1387018_002.pdf

    参照日:2026年8月7日
  3. 文部科学省「高等学校学習指導要領解説 国語編」

    https://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/micro_detail/__icsFiles/afieldfile/2019/11/22/1407073_02_1_2.pdf

    参照日:2026年8月7日
  4. 国立国語研究所「読点の打ち方―読みやすい読点について考える―」

    https://www2.ninjal.ac.jp/tanken/2022/touten/

    参照日:2026年8月7日
  5. 慶應義塾大学メディアセンター「KITIE|レポートを書く」

    https://www2.lib.keio.ac.jp/project/kitie/writing/

    参照日:2026年8月7日
  6. 文部科学省「学校現場における生成AIの利用について」

    https://www.mext.go.jp/zyoukatsu/ai/

    参照日:2026年8月7日

訂正・追記履歴

  • 2026年4月9日:初稿公開。
  • 2026年6月16日:記事内容を更新。
  • 2026年8月7日:記事全体を全面改訂。

2026年8月7日の全面改訂では、主に次の内容を見直しました。

  • 推敲の順番を「細部から」ではなく「課題確認→内容→伝わり方→提出前」へ再構成
  • 「3周・6項目」の推敲手順を新設
  • STEP0「課題文・評価基準・提出条件の確認」を追加
  • 課題文から「やること」を分解する方法を追加
  • 段落に役割名を付けて文章の流れを確認する方法を追加
  • 一本の文章を最初から最後まで推敲する実演を追加
  • 「難しくする=推敲ではない」「直した理由を考える」の説明を追加
  • 固定的な「30秒・3分・10分」表現をやめ、状況別の見直し方法へ変更
  • 作文・小論文・レポート別の確認ポイントを再整理
  • AIを全文の代筆ではなく、問題箇所を確認する補助として使う方法へ整理
  • 保存用チェックを新しい「3周・6項目」に合わせて全面更新
  • 参考文献・外部資料を再確認

もこあい先生より:
「今日の“なんで?”を大切にしよう。正解より、考えた道のりが宝もの。」