理科の実験がうまくいかないときは?|記録・比較・再実験から考えるヒント
理科の実験で、こんな経験はありませんか?
「予想と違う結果になってしまった」
「同じように試したのに、前回と結果が違う」
「うまくいったと思ったのに、もう一度やったらできなかった」
そんなとき、「実験に失敗した」と感じることもあるでしょう。
でも、予想と違う結果が出たことと、実験そのものが失敗したことは、必ずしも同じではありません。
反対に、予想どおりの結果が出ても、考えた理由まで正しいと確かめられたとは限りません。
では、実験で思いがけないことが起きたとき、どう考えればよいのでしょうか。
今回のもこあい研究所では、実験の記録、条件の比較、最初の状態を再現する難しさ、結果が違ったときの調べ方について考えます。
さらに、「成功したと思ったときにも、少しだけ確かめてみる」という視点も紹介します。
実験がうまくいかなかったときにも、これから新しい実験を始めるときにも、参考にしてみてください。
予想と違う結果が出たら、実験は失敗なの?
ある日のもこあい研究所。
健太は、紙の橋の実験を振り返っていました。
健太:「じゃばらに折った橋が一番強いと思ったのに、予想と違ったんだ。失敗しちゃったのかな……」
もこあい先生:「予想が外れたのね。でも、それだけで実験が失敗したとは言えないよ」
健太:「えっ? 予想が当たらなくてもいいの?」
もこあい先生:「もちろん。まずは、実際に何が起きたのかを見てみよう」
予想が外れたことと、操作の失敗は違う
次の2つの場面を比べてみましょう。
【A】予想と違う結果が出た
じゃばらの橋が最も多くの硬貨を支えると予想していたのに、コの字の橋の方が多く支えられた。
実験の条件や測り方に問題がなければ、これは予想と違っていても大切な結果です。
【B】実験の途中で問題が起きた
橋に重りを載せようとしたとき、手が当たって橋が崩れてしまった。
この場合、橋が重りに耐えられなかったのか、手が当たったために崩れたのかを区別する必要があります。
そのまま橋の強さを比較するのは難しいでしょう。
ただし、Bの場合も何も学べなかったわけではありません。
「次は手が触れないように、重りの載せ方を工夫しよう」と考えることができます。
予想が外れたこと、操作を間違えたこと、結果がはっきりしなかったこと。
これらは同じではありません。
まずは、自分の実験で何が起きたのかを区別してみましょう。
実験がうまくいかなかったとき、どう進める?
実験で予想外の結果が出ると、すぐにやり直したくなるかもしれません。
しかし、何が起きたのかを確認しないまま繰り返すと、同じ問題が起こる場合があります。
ここでは、状況に合わせた考え方を紹介します。
予想と違ったら、結果をそのまま残そう
最初の予想は、結果と違っていても書き直す必要はありません。
例えば、氷のとける速さを比べる実験を考えてみましょう。
- 予想:日なたに置いた氷の方が早くとける。
- 結果:日なたと日かげで、はっきりした差が見られなかった。
この場合、すぐに「日なたでも日かげでも同じ」と結論づけるのは早いかもしれません。
氷の大きさ、置いた場所、日光の当たり方、風、観察時間などを振り返ってみましょう。
また、今回の測り方では小さな差を見分けられなかった可能性もあります。
予想と結果を両方残しておけば、何が違ったのかを考えやすくなります。
氷を使って「調べたい条件だけを変える実験」に挑戦したい人は、「氷がとける速さの調べ方|条件を1つだけ変える実験」も参考にしてください。
こちらの記事では、氷を入れる前の水温を変え、ほかの条件をできるだけそろえて比較する方法を紹介しています。
操作を間違えたら、何が違ったか確認しよう
例えば、同じ量の水を使う予定だったのに、片方だけ多く入れてしまったとします。
この場合、予定していた条件での比較はできません。
でも、間違えたことを隠す必要はありません。
片方の水の量が多くなっていたため、予定していた条件では比較できなかった。
こうして記録しておけば、次の実験で何を直す必要があるか分かります。
安全にやり直せるなら、条件を整えて再実験する方法もあります。
実験を続けられなくなったら、無理をしない
材料が足りなくなったり、道具が壊れたりすることもあります。
その場合、無理に最後まで続ける必要はありません。
どこまで調べられたか、なぜ中断したかを残しておけば、次の準備に役立ちます。
ただし、危険が生じた場合は、安全の確保が最優先です。
熱いもの、刃物、電気、薬品などを使用する実験では、危険な状態のまま続けたり、再実験したりしてはいけません。
必要に応じて大人に相談しましょう。
記録は、未来の自分が比較するための手がかり
実験をしているときには、何をしたか覚えているつもりでも、時間がたつと細かなことを忘れてしまう場合があります。
例えば、こんなことです。
- 最初の水の温度は何度だった?
- どのくらいの大きさの氷を使った?
- 何時に実験を始めた?
- 前回はどんな道具を使った?
そんなとき、メモや写真が残っていれば、以前の状態を振り返りやすくなります。
結果だけでなく、最初の状態も残しておこう
例えば、氷の実験では、次のような記録が役立ちます。
| 記録すること | 具体例 |
|---|---|
| 最初の状態 | 氷の大きさ・形・個数 |
| 実験の条件 | 水の量・最初の水温・容器 |
| 実験の方法 | 開始時刻・時間の測り方 |
| 観察した結果 | とけ方・経過時間 |
| 気になったこと | 片方の氷だけ形が違った、など |
もちろん、すべての項目を細かく書く必要はありません。
実験の目的によって、必要な記録は変わります。
写真を1枚撮るだけでも、役立つ場合があります。
ただし、写真だけでは温度や経過時間などが分からないこともあります。
必要な数値は、メモしておくと便利です。
後から何を比べたいのかを考えて、必要な情報を残すことが大切です。
記憶も手がかりになる。でも、記録とは区別しよう
記録を取らずに実験を終えてしまった場合でも、学べることはあります。
「前回は水を多く入れた気がする」
「紙の折り方が少し違っていたかもしれない」
そんな記憶から、次に確かめたいことを思いつく場合もあるでしょう。
ただし、思い出したことが必ず正確とは限りません。
そこで、記録で確認できた情報と、記憶を頼りにした情報を区別してみます。
前回の水の量は記録していない。
今回より多かった気がするが、正確な量は分からない。
こうしておけば、確かな情報と、まだ確かめられていないことが混ざらずに済みます。
また、記録が残っていても、書いていなかった条件までは分かりません。
記録は万能ではありませんが、比較できる情報を増やす助けになります。
間違えた記録を訂正するときは?
例えば、温度を「25℃」と記録した後に、目盛りを読み違えていたことに気づいたとします。
正しい温度を確認できた場合は、元の記録が分かる形で訂正し、理由を書き添える方法があります。
一方、正しい温度が分からない場合は、想像で数字を書き換えてはいけません。
温度の読み取りに誤りがあった可能性がある。正しい温度は確認できなかった。
このように残しておけば、後から記録を確認するときにも役立ちます。
実験をやり直した場合も、最初の記録をすべて消す必要はありません。
うまくいかなかった記録も、次の実験を考えるための材料になることがあります。
最初の状態に戻せる? 実験を再現するということ
実験で予想外の結果が出たとき、「もう一度同じように試してみよう」と考えることがあります。
でも、ここで一つ疑問があります。
本当に前回と同じ状態を作れるのでしょうか?
元に戻すことと、同じ条件で試すことは違う
例えば、一度重りを載せて曲がった紙の橋を考えてみましょう。
重りを外して形を戻しても、折れ癖や傷みが残っているかもしれません。
見た目が似ていても、最初とまったく同じ紙の状態とは限らないのです。
そのため、前回の実験をもう一度確かめたいなら、新しい紙を使う方が適している場合があります。
ただし、新しい紙を使えば必ず同じ条件になるわけでもありません。
紙の種類や厚さ、折り方、置き方などをそろえる必要があります。
つまり、元の材料を元どおりにすることと、同じ条件を整えて再び実験することは別なのです。
元に戻せない実験はどうする?
すべての実験を最初の状態に戻せるわけではありません。
| 実験 | 難しい理由 | 考えられる工夫 |
|---|---|---|
| 紙の橋 | 紙が傷んだり変形したりする | 新しい紙で条件をそろえる |
| 氷の実験 | とけた氷をそのまま元に戻せない | 同じ製氷皿などで新しい氷を作る |
| 植物の成長 | 成長を巻き戻せない | 写真や記録を見直し、必要なら別の個体でも観察する |
| 天気の観察 | 同じ天候を自由に再現できない | 過去の記録や似た条件の日を比較する |
もちろん、新しい材料や別の植物を使ったとしても、前回と完全に同じ条件になるとは限りません。
新しい氷には大きさや温度の違いがあるかもしれません。
別の植物には、もともとの個体差があります。
似た天気の日でも、湿度や風などは違うかもしれません。
だからこそ、どの条件をそろえられて、どの条件が違うのかを確認することが大切です。
再実験できないときは、記録から考えてみよう
実験をもう一度行うことだけが、結果を調べ直す方法ではありません。
例えば、植物を数週間育てた後で、途中の変化をもう一度見たくなったとします。
成長を巻き戻すことはできません。
でも、毎日撮っていた写真や記録があれば、葉の数や高さの変化を振り返ることができます。
また、天気のように自分では再現できない現象なら、過去の気象データなどを調べる方法もあります。
ただし、記録を見直すことと、同じ実験を再び行うことは同じではありません。
どちらにも、確かめられることと限界があります。
再現が難しいことを認め、その状況で何を確かめられるか考えてみましょう。
同じように試したのに、結果が違うのはなぜ?
「同じ道具を使った」
「材料も同じように用意した」
「やり方も変えていないつもり」
それなのに、違う結果になってしまうことがあります。
そんなとき、何を考えればよいのでしょうか。
見落としていた条件があるかもしれない
実験では、見た目が同じようでも、細かな条件が違っている場合があります。
- 材料の大きさや形が違う
- 周りの温度や湿度が違う
- 道具の置き方や使い方が違う
- 測り始める時刻や測定方法が違う
- 結果を判断する基準が違う
最後の「判断する基準」も大切です。
例えば、氷が「完全にとけた」と判断する時点が人によって違えば、記録する時間にも差が出るかもしれません。
どこまでを同じ条件として扱うのか、実験の前に決めておくと比較しやすくなります。
「何か違う」を具体的な言葉にしてみよう
実験をしているとき、何となく違和感を覚える場合があります。
その感覚は、新しい疑問を見つけるきっかけになることがあります。
例えば、
「前回と何か違う」
と感じたら、もう少し具体的にしてみましょう。
「前回より氷が小さくなるのが遅い」
「同じ時間がたっても、残っている氷の大きさが違う」
こうして違いを具体的にすると、何を調べ直せばよいか考えやすくなります。
ただし、違いに気づいたことと、原因が分かったことは同じではありません。
「違うことは分かった。でも、理由はまだ分からない」
という段階があってもよいのです。
条件をそろえても、結果がばらつくことはある
実験では、条件をできるだけそろえても、毎回まったく同じ数値になるとは限りません。
材料の個体差、測り方のわずかな違い、気づいていない環境の変化などが影響することがあります。
そこで、可能なら同じ条件で何度か試し、結果を並べてみます。
毎回似た結果になるのか、それとも大きな違いが出るのかを確かめるためです。
ただし、繰り返す回数を増やすだけでは解決しない問題もあります。
例えば、温度計の使い方を毎回間違えていたら、何度測っても正しい値を得られないかもしれません。
結果のばらつきと、実験方法に問題がある可能性の両方を考えることが大切です。
具体例|紙の橋の結果が違ったら、どう調べる?
ここまでの考え方を、紙の橋の実験で具体的に考えてみましょう。
※以下の実験結果は説明用に作った架空の例です。実際に測定したデータではありません。
同じように作った橋なのに、結果が違った
健太は、A4コピー用紙をじゃばらに折り、紙の橋を2回作りました。
実験の基本条件は、次のとおりです。
- 同じ種類・厚さのA4コピー用紙を使い、毎回新しい紙を用意する。
- 紙の長い辺(29.7cm)が橋の長さ方向になるように置く。
- じゃばらの折り目は、橋の長さ方向と平行にする。
- じゃばらの折り幅や折り目の数、広げ方もできるだけそろえる。
- 本と本の向かい合う端の間隔を20cm程度にそろえる。
- 紙の両端を本の上にできるだけ均等に載せる。
- 橋の中央に4~5cm角程度の軽い厚紙を置く。
- 厚紙の上に、同じ種類の硬貨を1枚ずつ静かに載せる。
厚紙は、橋の上で安定する大きさや置き方を確認してから使います。
同じ厚紙を繰り返し使う場合は、曲がったり傷んだりしていないかも確認します。
また、橋が崩れたり、本から外れたり、机に触れたり、大きく傾いて安全に重りを支えられなくなった場合は、そこで実験を終了します。
最後まで支えられた硬貨の枚数を記録します。
例えば、6枚まで支えられ、7枚目で崩れた場合は「6枚」です。
この条件をできるだけそろえて、健太が2回試したとしましょう。
- 1回目:硬貨を6枚まで支えられた。
- 2回目:硬貨を3枚まで支えられた。
健太:「あれ? 同じように作ったのに、どうして結果が違うんだろう?」
もこあい先生:「それなら、前回と今回で何が同じだったのかを確かめてみよう」
分かっている条件と、分からない条件を整理する
恵子は、健太が残していた記録を表にまとめました。
| 確認する条件 | 1回目 | 2回目 |
|---|---|---|
| 紙の種類 | A4コピー用紙 | 同じ種類の新しい紙 |
| 紙の向き | 長辺が橋の方向 | 長辺が橋の方向 |
| 折り方 | じゃばら | じゃばら |
| 折り目の方向 | 橋の長さと平行 | 橋の長さと平行 |
| 本の間隔 | 20cm | 20cm |
| 重り用の厚紙 | 同じ厚紙 | 同じ厚紙 |
| 厚紙の位置 | 橋の中央 | 橋の中央 |
| 硬貨の種類 | 10円玉 | 10円玉 |
| じゃばらの折り幅 | 記録なし | 記録なし |
| じゃばらの広げ方 | 記録なし | 記録なし |
| 紙の両端の載せ方 | 記録なし | 記録なし |
| 支えられた硬貨 | 6枚 | 3枚 |
恵子:「本の間隔や厚紙の位置は同じだったと分かるね。でも、折り幅やじゃばらの広げ方は、記録がないから確認できないよ」
健太:「じゃあ、そこが違っていたのかもしれないね」
もこあい先生:「可能性はあるね。でも、それが原因だったかどうかは、まだ分からないよ」
このように表にすると、確認できる条件と、不明な条件を区別できます。
記録があることで、次に何を調べたいかも考えやすくなるのです。
次の実験では、何を確かめる?
例えば、じゃばらの折り幅の違いが気になったとします。
その場合、まず、毎回同じ形に作れるように、折り幅や折り目の数、完成した橋の幅などを記録してみます。
紙の種類、本の間隔、重りの載せ方などもできるだけそろえ、新しい紙を使って試してみましょう。
それでも結果が大きく違うなら、別の条件を調べる必要があるかもしれません。
また、折り幅を変えたら橋の強さがどう変わるのか、別の実験として調べることもできます。
ただし、折り幅を変えると、折り目の数や完成した橋の形も変わる場合があります。
そのため、単純に折り幅だけが原因だと判断できないことにも注意しましょう。
原因だと思ったことをすぐに正解とせず、それを確かめる方法を考えることが大切です。
紙の橋の作り方や詳しい比較方法は、「紙の橋はどんな形が一番強い?|A4用紙1枚で試す折り方の実験」で紹介しています。
研究記録シートもあるので、実際に試したい人は参考にしてください。
原因が分からないままでも、考察はできる
今回の架空の実験では、2回の結果が違ったことは分かります。
しかし、記録されていない条件もあるため、原因は特定できません。
その場合は、次のようにまとめることができます。
同じ種類の紙を使ってじゃばらの橋を作ったが、1回目と2回目では支えられた硬貨の枚数が違った。
折り幅やじゃばらの広げ方などが影響した可能性はあるが、記録がないため原因は判断できなかった。
次は折り幅や完成した橋の状態を記録し、条件をできるだけそろえて比較したい。
分からない理由を無理に作る必要はありません。
今分かっていることと、次に確かめたいことを整理すればよいのです。
コラム|成功したと思ったときも、少し疑ってみよう
ここで、別の場面を考えてみましょう。
健太は紙の橋の実験で、予想どおりの結果が出て喜んでいました。
健太:「やった! じゃばらの橋が一番多くの硬貨を支えたよ! 予想的中だ!」
すると、どこからか、少しいたずらっぽい声が聞こえてきました。
悪もこあい先生:「ふふっ。見事ね。でも、その『成功』は、本当に折り方だけのおかげかしら?」
健太:「えっ? どういうこと?」
悪もこあい先生:「本の間隔は? 重りを載せる厚紙の位置は? ほかの橋でも同じ条件だったと言い切れる?」
健太:「あっ……全部は記録してなかった」
悪もこあい先生:「それなら、折り方だけが理由だとは、まだ言い切れないわね」
もこあい先生:「予想どおりの結果が出たのはうれしいね。でも、その理由まで確かめるには、ほかの条件も考える必要があるんだよ」
悪もこあい先生:「成功したつもりで見落としていること、案外あるものよ。ふふっ」
予想どおりの結果でも、理由が確定したとは限らない
ここで大切なのは、「予想どおりの結果が出たこと」と「予想した理由が確かめられたこと」は同じではないという点です。
例えば、折り方の違う2つの橋を比べるとき、本の間隔まで違っていたら、折り方だけが結果に影響したとは判断できません。
また、同じような結果が繰り返し得られれば、考えを支持する証拠は増えますが、それだけでほかの可能性がすべて否定されるわけではありません。
だからこそ、
「今回の結果から、どこまで言えるかな?」
と考えてみることが大切です。
もちろん、何でも疑い続ける必要はありません。
成功を喜ぶことと、その結果を確かめることは両立できます。
別の実験で、証拠を集めて考える様子を見たい人は、「冷たいコップの外に水滴がつくのはなぜ?|青い水の密室事件」も参考にしてください。
最初の予想だけで答えを決めず、実験を通して水滴の正体を考える記事です。
実験の結果と考察は、どう書けばいい?
実験が終わった後、結果や考察をノートにまとめることがあります。
そのときは、実際に観察したことと、そこから考えたことを区別すると分かりやすくなります。
ここでは、氷の実験を例に考えてみましょう。
※ここからの数値も、説明のために作った架空の例であり、実測値ではありません。
まず、何を同じ条件にしたのか確認しよう
同じ種類の容器を2つ用意し、同じ量の水を入れたとします。
ただし、氷を入れる前の水温は、片方を20℃、もう片方を35℃にしました。
氷は、できるだけ同じ重さ・形・最初の温度のものを1個ずつ用意します。
容器は同じ場所に置き、それぞれの水に氷を入れて、同時に時間を測り始めます。
また、途中で水をかき混ぜるかどうかなど、観察や操作の方法もそろえます。
そして、目で見て氷の固まりがなくなった時点を「とけ終わった」と決めて、経過時間を記録したとします。
この実験で意図的に変えている条件は、氷を入れる前の水温です。
それ以外の条件は、できるだけそろえる必要があります。
なお、氷を入れると、水から氷へ熱が移るため、水の温度も変化します。
実験中ずっと20℃と35℃に保っているわけではありません。
そのため、今回の比較は「最初の水温が違うと、氷がとけ終わるまでの時間はどう変わるか」を調べるものです。
結果には、観察した事実を書く
例えば、次のような結果だったとしましょう。
| 氷を入れる前の水温 | 氷がとけ終わるまでの時間 |
|---|---|
| 20℃ | 約8分 |
| 35℃ | 約5分 |
この表は、結果をまとめる書き方の例です。
結果を書くときは、まず実際に観察した数値や変化を示します。
本物の実験では、測定した数値をそのまま記録しましょう。
考察には、結果から考えられることを書く
考察では、観察した結果をもとに、理由や可能性を検討します。
例えば、次のようにまとめられます。
今回の例では、最初の水温が35℃の場合の方が、20℃の場合より短い時間で氷がとけた。
水温以外の条件がそろっていたなら、最初の水温の違いが、氷のとける時間に影響したと考えられる。
ただし、今回の数値だけで、すべての水温で同じような結果になるとは言い切れない。
このように、結果から考えられる理由を述べます。
ただし、2つの数値だけで、あらゆる水温で同じ関係が成り立つと断定することはできません。
また、水温以外の条件が違っていれば、結果の解釈にも注意が必要です。
分からないことも、考察に書ける
例えば、水温を測り忘れていた場合は、次のように書くこともできます。
2つの氷で、とけ終わるまでの時間が違った。
水温が関係した可能性はあるが、最初の水温を測っていなかったため、今回の結果からは確かめられなかった。
次は最初の水温を記録して比較したい。
ここで大切なのは、分からない原因を想像だけで決めつけないことです。
何が分かり、何がまだ分からないのかを区別することも、考察の大切な役割です。
コラム|「何か違う」と考えた経験が、次にも役立つ
昨日はうまくいったのに、今日はうまくいかない。
同じように試したはずなのに、結果が違う。
そんなとき、前回との違いを探したことはありませんか。
最初は理由が分からなくても、
「前回は何をしていたかな?」
「今回だけ違ったことはなかったかな?」
「次は、ここを確かめてみよう」
と考えることができます。
このような考え方は、理科の実験以外でも役立つ場合があります。
例えば、工作で前回と同じ形を作ろうとして、うまく組み立てられなかったとき。
植物が以前とは違う育ち方をしたとき。
料理がいつもと違う仕上がりになったとき。
以前の状態や条件を振り返り、違いを探すことが、次の工夫につながるかもしれません。
そして、成功したときにも同じことが言えます。
うまくいった方法を記録しておけば、別の機会に試すときの参考になります。
もちろん、考えれば必ず原因が分かるわけではありません。
自分だけで判断できないことや、安全のために大人や専門家に相談した方がよいこともあります。
それでも、何が起きたのかを観察し、分かっていることと分からないことを整理する経験は、別の場面でも生かせる可能性があります。
すぐに答えが出なくても、考えたことが無駄になるとは限らないのです。
もこあい研究所|自分の実験を振り返ってみよう
ここでは、自分が行った実験を一つ思い出してみましょう。
うまくいった実験でも、予想と違った実験でも構いません。
ノートや紙に、覚えていることや記録で確認できることを書いてみましょう。
実験ふり返りメモ
| 考えてみたいこと | 自分のメモ |
|---|---|
| 何を調べた? | |
| 最初はどうなると思った? | |
| どんな条件で試した? | |
| 実際に何が起きた? | |
| 予想と同じだった? 違った? | |
| 気になったことはある? | |
| もう一度試すなら、何を確かめたい? |
すべての欄を埋める必要はありません。
覚えていないところは、そのまま「分からない」と書いてもよいでしょう。
また、必ずもう一度実験しなければならないわけではありません。
振り返って考えるだけでも、気づけることがあります。
このメモは、正解を書くためのテストではありません。
未来の自分が、もう一度考えるときの手がかりにしてみましょう。
よくある疑問|実験結果を確かめたいとき
Q.友達と同じ実験をしたのに、結果が違ったら?
まず、使った材料や道具、実験の条件、測り方などを比べてみましょう。
同じように行ったつもりでも、違いがあるかもしれません。
また、条件をできるだけそろえても、結果に多少のばらつきが出ることがあります。
どちらか一方をすぐに間違いと決めつけず、違いを確認し、必要なら一緒に確かめてみましょう。
Q.同じ実験は、何回すればいい?
すべての実験に共通する回数の決まりはありません。
実験の目的、結果のばらつき、安全性、使える時間や材料などによって変わります。
何回か試して結果を比べると、傾向を考える助けになる場合があります。
ただし、回数を増やすだけで、正確な実験になるわけではありません。
Q.1回しか実験できなかった場合は?
1回の結果でも、観察したことや気づいたことを残せます。
ただし、同じ結果が繰り返し得られるかどうかは、まだ確かめられていません。
その限界を理解したうえで、今回の結果から何が言えるかを考えましょう。
保護者の方へ|子どもの「失敗」をどう受け止める?
家庭での理科実験では、子どもが予想どおりの結果を出せず、がっかりすることがあります。
そんなときは、すぐに正しい方法を教えるだけでなく、子どもが気づいたことを聞いてみるのもよいでしょう。
例えば、
- 「どんな結果になったの?」
- 「最初はどうなると思っていた?」
- 「前と違うところはあったかな?」
- 「次に試すなら、何を調べたい?」
といった問いかけです。
もちろん、子どもが疲れていたり、もう実験を終えたがっていたりする場合は、無理に考えさせる必要はありません。
実験の楽しさを大切にしながら、興味が続く範囲で振り返れるとよいですね。
また、記録を残すことは有用ですが、毎回細かな記録を義務にすると、かえって実験の面白さを損なう場合があります。
最初は写真1枚や短いメモから始めても構いません。
家庭で実験を行う際は、安全を最優先し、危険がある場合は大人が判断して中止してください。
まとめ|実験の結果は、考えることの終わりではない
理科の実験では、予想どおりの結果が出ることもあれば、思いがけない結果になることもあります。
同じように試したのに結果が違ったり、最初の状態を再現できなかったりする場合もあるでしょう。
そんなとき、できることは一つではありません。
記録を振り返る。
前回との違いを考える。
条件をそろえて試す。
別の方法で確かめられないか考える。
そして、ときには「まだ分からない」という答えを残しておく。
一方、予想どおりの結果が出たときにも、考えることはあります。
「本当に予想した理由で、その結果になったのかな?」
そんな小さな疑問が、新しい実験の始まりになるかもしれません。
もこあい先生は、健太の研究ノートを見ながら言いました。
もこあい先生:「実験は、予想が当たったかどうかだけで終わりじゃないのよ。何が起きたのかを考えると、次に調べたいことが見つかるかもしれないね」
健太:「じゃあ、次は最初の状態も残してみようかな。後から比べられるし!」
恵子:「私は、分かったことと、まだ分からないことを分けて書いてみたいな」
もこあい先生:「いい考えね。でも、記録することだけに夢中にならず、目の前で起きていることもよく見てね」
実験で育てたいのは、正しい答えを当てる力だけではありません。
目の前の結果を大切にし、確かめ、必要なら自分の考えを見直せること。
その経験が、次の「なぜ?」につながっていくのではないでしょうか。

参考資料・出典
この記事は、理科における比較、条件の制御、観察結果の整理、考察などの考え方を参考にして制作しました
- 文部科学省「小学校学習指導要領(平成29年告示)解説 理科編」
- Science Buddies「Conducting the Experiment」
- Science Buddies「Preparing Experimental Procedures」
※本文に登場する紙の橋や氷の実験結果は、考え方を説明するための架空の例です。実際に測定した結果ではありません。また、紹介した条件での実験について、この記事のための再現検証は行っていません。登場人物の会話も学習内容を分かりやすく紹介するための創作です。実際の結果は材料や実験条件によって異なります。
訂正・追記履歴
2026年11月8日|初稿作成。実験の記録・比較・再現・考察の考え方を整理し、予想外の結果と成功した結果の両方から考える内容を掲載しました。












