中1の文章題で式が作れない人へ|問い・数字・関係を見る順番
この欄へ計算問題なら解けるのに、文章題になると手が止まる。
問題文を読んだはずなのに、何を求めればよいのか分からなくなる。
方程式の単元だから、とりあえず分からない数をxにしてみたけれど、式が合っているのか自信がない。
そんなことはありませんか。
文章題で止まると、「もっとよく読みなさい」「計算練習が足りない」と言われることがあります。
けれども、「よく読む」だけでは、どこを見ればよいのか分からないままです。
この記事では、中学1年生が文章題を見るときに確認したい場所を、次の順番で具体的に整理します。
- 何を求めるのかを見る
- 誰・何と、数字の意味を分ける
- 数量どうしの関係を言葉や図にする
- 関係に合う式や型を選ぶ
- 式と答えを問題文へ戻す
型は、文章を読まなくてよくする道具ではありません。
文章を読んで理解した関係を、分かりやすく整理するための道具です。
型や公式を使わないようにする必要はありません。
大切なのは、型を選ぶ前に、自分で文章を読み、条件や数量関係を考える余地を残すことです。
- どこで止まる?中1文章題の簡易診断
- 文章題を見る力の3年間ロードマップ
- 中1で文章題への向き合い方が固まりやすい理由
- 文章を読む前に型を決めると起きやすい10のずれ
- 一語の読み違いが、自信のある誤答になるまで
- 文章を大事にしないと、一問の失点より「戻れない学び方」が残りやすい
- 文章題を見る基本手順|5つの窓から確認する
- 何を求める?問い・単位・答え方を最初に確認する
- 誰・何の数字?主語・登場するもの・数字の意味を分ける
- 必要な情報と、使わない情報を分ける
- 「多い・少ない・増えた・減った」の基準を見つける
- 変わるもの・変わらないものを見て、数量関係を一文にする
- 文章を図・表・矢印・短い言葉へ翻訳する
- 式を日本語へ戻し、途中結果と答えの意味を確認する
- 分からなくなったときは「もう一度全部読む」より戻る場所を決める
- 文章を確認するだけで直せた6つの文章題
- 一問を最初から最後まで完全分解する
- どこでずれた?文章題の7地点・誤答カルテ
- 中1文章題のもったいない失敗例
- 文章題を見る力は、数学以外の教科にもつながる
- その場で一問やってみる|文章題を三回見る
- AIを使うなら、答えではなく「見る場所」を質問する
- 7日間で、文章題を見る順番を一度練習する
- 周りの大人が声をかけるなら、答えより見る場所を質問する
- 保存用|中1の文章題を見る最終チェック
- 次に読む記事|今の止まり方から選ぶ
- まとめ|型を選ぶ前に、文章を見る余地を残そう
- 参考文献・出典
- 訂正・追記履歴
どこで止まる?中1文章題の簡易診断
この章で分かること:自分が文章題のどこで止まりやすいかを確認し、先に読む章を選べます。
最初から記事を全部読む必要はありません。
次の表から、今の自分にいちばん近い状態を探してみてください。
| 今の止まり方 | 起きているかもしれないこと | 先に読む章 |
|---|---|---|
| 問題を読んでも、何を答えればよいか分からない | 問いや答え方の条件が見えていない | 問い・単位・答え方を確認する |
| 数字が多いと混乱する | 数字と、その数字の意味が分かれていない | 主語・登場するもの・数字の意味を分ける |
| 数字を全部使おうとする | 必要な情報を問いから選べていない | 必要な情報と使わない情報を分ける |
| 足すか引くかで迷う | 多い・少ないの基準や変化の向きが見えていない | 比較の基準を見つける |
| 式が思い付かない | 文章と式の間にある数量関係が言葉になっていない | 数量関係を一文にする |
| 式は作れるが、合っているか分からない | 式を問題文へ戻して確認していない | 式を日本語へ戻す |
| 計算は合っているのに不正解になる | 途中結果と最後に求める答えが混ざっている | 文章の確認だけで直せた例を見る |
| 間違いの原因が分からない | 「文章題が苦手」と一つにまとめている | 誤答カルテでずれた場所を探す |
| 長い文章を見ると読む前に諦める | 全部を一度に考えようとしている | 文章題を見る5つの窓を確認する |
二つ以上当てはまっても大丈夫です。
文章題では、問いは見えていても数字の意味で止まることや、式までは作れても最後の答えでずれることがあります。
診断は「あなたはこのタイプ」と決めるためのものではありません。次に戻る場所を見つけるための案内図です。
文章題を見る力の3年間ロードマップ
この章で分かること:中1・中2・中3で育てる力の違いと、この記事がシリーズの基礎になる理由が分かります。
文章題を見る力は、中学1年生だけで完成させるものではありません。
学年が上がるにつれて、条件の数や使う考え方は増えていきます。
| 記事 | 中心となる力 | 主に扱う内容 |
|---|---|---|
| 第1記事|中1 | 問い・数字・関係を見つける | 主語、単位、基準、変化、図表化、数量関係、式と日本語の往復 |
| 第2記事|中2・公開済み | 二つ以上の条件を組み立てる | 二つの未知数、連立方程式、一次関数、複数の関係 |
| 第3記事|中3・公開済み | 条件から解法を選ぶ | 長い問題文、複合問題、入試問題、複数の解法候補 |
中1では、文章題に書かれた材料を見つけます。
中2では、見つけた材料から二つ以上の関係を組み立てます。
中3では、複数の条件を整理し、どの解法を使うかを選びます。
中2・中3になってから基礎へ戻りたくなったときも、この記事の必要な章だけを読み直せるようにしています。
現在の学年や止まっている場所に合わせて、次の記事へ進めます。
中学数学全体が急に難しく感じている場合は、先に次の記事で、小学校算数から中学校数学へ変わるポイントを確認できます。
中学数学が急に難しく感じる人へ|小学校との違いと最初に見るべきポイント
第1部|型へ急ぐ前に、文章へ戻る
中1で文章題への向き合い方が固まりやすい理由
この章で分かること:中1で型や見本を頼りたくなる理由と、残しておきたい考える工程が分かります。
中学1年生になると、小学校の算数から中学校の数学へ進みます。
正負の数、文字式、方程式など、今までより抽象的な内容が増えていきます。
「抽象的」とは、りんごやお金のような具体的な物だけではなく、数や文字の関係そのものを考えることです。
新しい記号や書き方が増えると、次のように考えたくなることがあります。
- 先生の見本と同じように書けば安全
- この単元では、この公式を使えばよい
- 分からない数はxにすればよい
- キーワードを見つければ計算を決められる
- 自分で考えるより、正しい手順を覚えた方が速い
これは、やる気がないからではありません。
型には、次のような大切な役割があります。
| 型や見本のよいところ | 注意したいこと |
|---|---|
| 考えたことを整理しやすい | 文章を読む前に型を決めない |
| 答案を分かりやすく書ける | 見本と違うだけで間違いと決めない |
| 間違いを見つけやすい | 式の意味も確認する |
| 授業についていきやすい | 分からない場所を隠したまま進まない |
| 不安を減らせる | 自分の考えを全部消さない |
型を使うことが問題なのではありません。
型を使う前に必要だった、文章を読む工程まで省略してしまうと、少し形が変わった問題で止まりやすくなります。
文章を読む
↓
場面と数量関係を捉える
↓
自分の言葉・図・表で整理する
↓
合う型や式を選ぶ
この順番なら、型も公式も強い道具になります。
小学校で使った図や絵は、中学校でも使ってよい
中学生になると、「絵を描くのは幼い」「図より式を早く書いた方が数学らしい」と感じることがあります。
けれども、小学校で使った線分図、矢印、表、具体的な言葉は、中学校になったら捨てるものではありません。
中学校数学では、それらの見方に、文字や方程式という新しい整理道具が加わります。
図を書くことは、考える力がないという意味ではありません。
頭の中にある材料を外へ出し、関係を見やすくする方法です。
文章を読む前に型を決めると起きやすい10のずれ
この章で分かること:文章題でよくある間違いが、計算力だけの問題ではないことが分かります。
| 型へ急いだときのずれ | 起きやすいこと |
|---|---|
| 1.キーワードだけで計算を決める | 「多い」があれば、問いに関係なく足し算をする |
| 2.数字を全部使う | 問いに必要のない数字まで式へ入れる |
| 3.単元名から公式を選ぶ | 方程式の単元だから、文章を整理せず方程式を作る |
| 4.式の意味を説明しない | 式が合っているか自分で確認できない |
| 5.少し違う問題を同じ問題だと思う | 基準や求めるものが違っても、前と同じ計算を使う |
| 6.答えが出た瞬間に文章から離れる | 途中結果を最終回答にする |
| 7.自分の考えより正しい書き方を探す | 見本がないと動けなくなる |
| 8.間違いをすべて計算ミスにする | 主語や数量関係のずれが残る |
| 9.長い文章を見るだけで諦める | 問いや数字を分ける前に「難しい」と判断する |
| 10.高校で急に数学が難しく感じる | 複数の条件から、自分で解法を選べなくなる |
悪もこあい先生:
「『多い』が出たら足し算!数字は全部使う!方程式の単元なら、とにかくxを置けばいい!」
もこあい先生:
言葉は、計算を決める命令ではありません。
「誰が、何を基準に、どのように変わったか」を見るための手掛かりです。
一語の読み違いが、自信のある誤答になるまで
この章で分かること:小さな読み違いが式や答えへどうつながるかと、どこへ戻ればよいかが分かります。
次の問題を見てみましょう。
Aさんは、Bさんより200円多く持っています。Aさんが800円持っているとき、Bさんはいくら持っていますか。
健太は「多く」という言葉を見て、次のように計算しました。
800+200=1000
足し算の計算そのものは正しくできています。
しかし、問題文の関係とは逆になっています。
今回の読み違いは、次のように広がります。
「AさんはBさんより多い」の主語と基準を読み違える
↓
200円が、誰と誰の差なのかを取り違える
↓
AさんとBさんの大小関係を逆に捉える
↓
式が800+200になる
↓
計算は正しく進む
↓
1000円という答えに自信を持つ
↓
「自分は計算が苦手」「文章題は才能」と誤解する
けれども、健太の考えたことが全部間違っているわけではありません。
- 800円がAさんの金額だと分かった
- 200円が二人の金額の差だと分かった
- 足し算の計算は正しくできた
ずれたのは、「Bさんを基準に200円増えるとAさんになる」という関係です。
矢印にすると、次のようになります。
Bさんの金額
↓ 200円増える
Aさんの金額800円
AさんからBさんへ戻るなら、200円を引きます。
800-200=600
したがって、Bさんは600円です。
最初にずれた場所が「比較の基準」なら、足し算や引き算を全部勉強し直す必要はありません。
「誰が誰より多いのか」を確認する場所へ戻ればよいのです。
文章題の本質は、計算記号を早く選ぶことだけではありません。
数量どうしが、どのような関係になっているかを捉えることです。
文章を大事にしないと、一問の失点より「戻れない学び方」が残りやすい
この章で分かること:文章題の読み方が、将来の学習習慣へどのようにつながるかが分かります。
文章を確認しないことで起きる問題は、一問を間違えることだけではありません。
| 目の前の一問で起きること | 習慣になると起きやすいこと |
|---|---|
| 問いと違う数を答える | 答えが出たら確認しない |
| 基準を逆にする | キーワードから計算を決める |
| 不要な数字を使う | 情報を選ばず、すべて式へ入れる |
| 式の意味が分からない | 見本がないと式を選べない |
| 少し形が変わると止まる | 習っていない問題だと感じる |
| 誤答の原因を見つけられない | すべて計算ミスや才能のせいにする |
高校数学では、問題文が長くなり、複数の条件から解法を選ぶ場面が増えます。
そのとき、単元名やキーワードだけでは、使う方法を決められないことがあります。
だからこそ中1では、難しい問題をたくさん解く前に、文章を見る順番を一度作っておくことが大切です。
ただし、生徒・先生・保護者の誰かを責める必要はありません。
型を使いたくなるのには、理由があります。
- 早く解ける
- 間違いを減らしやすい
- 授業についていきやすい
- 答案を書きやすい
- 正解へ進んでいる安心感がある
型のよさを残したまま、「型を使う前の一確認」を加えることが、この記事の目標です。
テストで間違えたあとに、どこでずれたかを分けて直したい人は、次の記事も役立ちます。
中学生のテスト直しが進まない人へ|間違いを4種類に分けて次の1問へつなげる方法
第2部|文章題を見る順番を身に付ける
文章題を見る基本手順|5つの窓から確認する
この章で分かること:「よく読みましょう」を、実際に見る場所へ分けられます。
文章題を見るときは、次の5つの窓を使います。
| 5つの窓 | 見るもの | 確認する質問 |
|---|---|---|
| 1.問い | 求めるもの、単位、答え方 | 最後に何を答える問題ですか。 |
| 2.材料 | 人、物、数字、単位 | 誰・何の数字ですか。 |
| 3.関係 | 基準、増減、全体と部分、変化 | 何と何が、どうつながっていますか。 |
| 4.表現 | 短い言葉、矢印、図、表、式 | 見えやすい形へ変えられますか。 |
| 5.確認 | 途中結果、式の意味、最終回答 | 答えを問題文へ戻せますか。 |
問題によっては、図を使わなくても解けます。
すべての数字へ色を付ける必要もありません。
5つの窓は、毎回同じ作業を増やすためではなく、止まったときに戻る場所を作るためのものです。
何を求める?問い・単位・答え方を最初に確認する
この章で分かること:途中結果を答えてしまう失敗や、単位・四捨五入の見落としを減らす方法が分かります。
文章題を開いたら、まず「何を求める問題か」が書かれた問いの部分を確認します。多くの問題では、最後の一文にあります。
例えば、次の言葉を探します。
- いくらですか
- 何cmですか
- 何人ですか
- 何時に着きますか
- 合計を求めなさい
- 残りを求めなさい
- おつりを求めなさい
- 四捨五入して答えなさい
答えの単位を先に見る
同じ数字でも、単位によって意味が変わります。
| 求めるもの | 答えの例 |
|---|---|
| 金額 | 210円 |
| 長さ | 85cm |
| 人数 | 32人 |
| 時間の長さ | 25分 |
| 到着時刻 | 8時45分 |
「25分」と「8時45分」は、どちらも時間に関係しますが、答え方が違います。
問題が求めているのは、かかった時間なのか、時計が示す時刻なのかを分けます。
答え方の条件も問いの一部
次のような条件は、計算が終わったあとではなく、最初に見つけておきます。
- 十の位までの概数で
- 小数第1位まで
- 四捨五入して
- 整数で答えなさい
- 理由も書きなさい
- 式と答えを書きなさい
恵子:「答えを出す前に、答えの形を見ておくと、最後に戻りやすいよ。」
誰・何の数字?主語・登場するもの・数字の意味を分ける
この章で分かること:数字だけを拾わず、「誰・何の、どんな数量か」を整理する方法が分かります。
文章題に数字が出てきたら、数字だけをメモするのではなく、意味と単位を一緒に書きます。
| 数字だけで見た場合 | 意味と単位を付けた場合 |
|---|---|
| 3 | ノートの冊数・3冊 |
| 120 | 消しゴム1個の値段・120円 |
| 1000 | 支払った金額・1000円 |
| 250 | おつり・250円 |
「3、120、1000、250」とだけ見ると、どの数字を足し、どの数字を引けばよいか分かりにくくなります。
名前を付けると、数量の役割が見えてきます。
同じ式でも、場面によって意味が違う
次の式を見てください。
800-200=600
この式だけでは、何を表しているかは決まりません。
- 800円から200円使い、600円残った
- Aさんの800円はBさんより200円多く、Bさんは600円だった
- 800mの道を200m進み、残りは600mだった
- 800個から不良品200個を除き、600個残った
計算式が同じでも、数字の意味と単位は違います。
だから、文章題では「800と200を引く」だけでなく、「何から何を引いて、何を求めているか」を見ます。
xにも名前と単位を付ける
方程式の文章題では、分からない数をxと置くことがあります。
ただし、次のようにxだけを書くと、途中で意味が分からなくなることがあります。
弱い置き方:分からない数をxとする。
意味が分かる置き方:ノート1冊の値段をx円とする。
文字は、意味のない記号ではありません。
問題文に登場する数量の一つを表しています。
必要な情報と、使わない情報を分ける
この章で分かること:問題文に出てきた数字を全部使わなくてもよい理由が分かります。
問題文に数字が書かれていても、必ずすべてを計算に使うとは限りません。
次の問題を見てください。
図書館は午前9時に開きます。恵子さんは午前8時20分に家を出て、25分歩いて図書館へ着きました。恵子さんが図書館へ着いた時刻を求めなさい。
求めるものは「図書館へ着いた時刻」です。
必要なのは、次の二つです。
- 家を出た時刻:午前8時20分
- 歩いた時間:25分
8時20分+25分=8時45分
したがって、着いた時刻は午前8時45分です。
「午前9時に開く」という情報は、図書館へ入れる時刻を考えるなら必要です。
しかし、到着時刻を求める今回の計算には使いません。
数字を使うか迷ったら、次のように確認します。
この数字を使うと、問いで求めているものへ近付きますか。
「今は使わない」と「最後まで使わない」は違う
長い問題では、最初の計算では使わなくても、後半で必要になる情報があります。
中1では、まず「問いへ進むために今必要か」を見ます。
中2では、二つ以上の条件を「条件1」「条件2」に分け、別々の関係として組み立てます。詳しくは、中2の文章題で式が作れない人へ|xとy・二つの条件を組み立てる順番で確認できます。
中3では、条件を「今使うもの」「あとで使うもの」「答えの確認に使うもの」などへ分け、使う解法と順番を選びます。詳しくは、中3の文章題で解き方が分からない人へ|条件から解法を選ぶ順番へ進んでください。
問題文にない条件を勝手に足さない
使わない情報を見分けることと同じくらい、書かれていない情報を勝手に加えないことも大切です。
- 普通は同じ値段だろう
- 図を見ると同じ長さに見える
- きっと休憩時間も入っている
このように考えたくなることがありますが、問題文や図の条件として示されているかを確認します。
「多い・少ない・増えた・減った」の基準を見つける
この章で分かること:「多いなら足す」と決めず、誰・何を基準にしているかを見る方法が分かります。
「多い」「少ない」「増えた」「減った」は、足し算や引き算を直接決める言葉ではありません。
基準から、どちらへ動いたかを示す言葉です。
「AはBより200円多い」を矢印にする
Bの金額
↓ 200円増える
Aの金額
Bの金額が分かっていてAを求めるなら、200円を足します。
Aの金額が分かっていてBへ戻るなら、200円を引きます。
同じ「多い」という言葉があっても、何を求めるかによって使う計算は変わります。
増えた量と、増えたあとの量を分ける
気温が-2℃から3℃へ上がりました。何℃上がりましたか。
上がったあとの気温は3℃です。
しかし、上がった量は5℃です。
「現在の値」と「変化した量」は同じとは限りません。
| 見るもの | 今回の値 |
|---|---|
| 変化する前 | -2℃ |
| 変化したあと | 3℃ |
| 変化した量 | 5℃ |
正負の数でも、計算方法を選ぶ前に「何を求めているか」を確認します。
変わるもの・変わらないものを見て、数量関係を一文にする
この章で分かること:文章と式の間にある関係を、自分の言葉で表す方法が分かります。
式を作れないときは、いきなり計算記号を選ばなくても大丈夫です。
まず、何が変わり、何が変わらないかを見ます。
| 見るもの | 確認例 |
|---|---|
| 変わるもの | 金額、個数、長さ、時刻、気温 |
| 変化 | 増えた、減った、使った、切った、進んだ |
| 変わらないもの | 1冊の値段、1人分の数、問題の中で一定だと示された速さ、同じ長さという条件 |
| つながり | 合わせる、残る、等しくなる、何個分になる |
関係の一文は、三段階で作ればよい
自分の言葉で説明することが難しいときは、いきなりきれいな一文を作る必要はありません。
段階1|短い言葉を並べる
兄の金額
200円少ない
弟の金額
段階2|矢印でつなぐ
兄の金額
↓ 200円減らす
弟の金額
段階3|一文にする
兄の金額から200円引くと、弟の金額になる。
短い言葉、矢印、一文のどこまでできても、数量関係を見る前進です。
関係を表す基本の言い方
- 〇〇と〇〇を合わせると、△△になる
- 〇〇から△△を引くと、□□が残る
- 〇〇を同じ数ずつ分けると、一つ分は△△になる
- 一つ分が〇〇で、それが△個あると、全体は□□になる
- 変化する前の量に増えた量を加えると、変化後の量になる
- 支払った金額から代金を引くと、おつりになる
一文にできない場合は、まだ式を急がなくて大丈夫です。
図や表を使い、関係が見える形へ変えてみましょう。
文章を図・表・矢印・短い言葉へ翻訳する
この章で分かること:問題の場面に合わせて、どの整理方法を使えばよいかが分かります。
文章を図にする目的は、きれいな絵を描くことではありません。
文章へ戻ったときに、何と何の関係だったかを思い出せる形にすることです。
| 問題の場面 | 向いている整理方法 |
|---|---|
| 時間が順番に進む | 矢印、時刻の流れ |
| 人や物が二つ以上ある | 表 |
| 全体と部分を比べる | 線分図、横線 |
| 増えた・減ったを見る | 変化前→変化量→変化後 |
| 同じ量が繰り返される | 一つ分×個数という短い言葉 |
| 関係がまだ曖昧 | 計算記号を使わない一文 |
時間の流れは矢印にする
8時20分に出発
↓ 25分歩く
8時45分に到着
人や物が二つ以上あるときは表にする
| 人 | 分かっていること | 求めること |
|---|---|---|
| 兄 | 900円 | ― |
| 弟 | 兄より250円少ない | 弟の金額 |
図は自分が戻れる形ならよい
先生の図と形が違っても、数量関係が正しく表されていれば、考えるための図として使えます。
線分図が難しいときは、短い言葉や矢印でも構いません。
図や流れで数学・理科を整理する方法をさらに確認したい場合は、次の記事も参考になります。
ChatGPTで数学・理科を図で理解する方法|グラフ・変化・しくみを見える化して学ぶコツ
式を日本語へ戻し、途中結果と答えの意味を確認する
この章で分かること:作った式が問題文の関係に合っているか、自分で確かめる方法が分かります。
式を作ったら、すぐに計算を始める前に、一度日本語へ戻します。
例えば、次の式を見てください。
1000-250=750
式だけではなく、次のように読みます。
支払った1000円から、おつり250円を引くと、買った物の代金750円になる。
日本語へ戻すと、数字の役割が問題文と合っているかを確認できます。
途中結果へ名前を付ける
計算途中で出た数字を、そのまま置いておくと、最後の答えと混ざることがあります。
| 途中結果 | 名前 |
|---|---|
| 750円 | 買った物の代金 |
| 630円 | ノート3冊分の代金 |
| 210円 | ノート1冊の値段 |
数字へ名前を付ければ、「今出した数は最後の答えか」を確認できます。
答えの大きさが場面に合うかを見る
- 弟は兄より少ないはずなのに、弟の方が多くなっていないか
- 残った長さが、最初の長さより長くなっていないか
- 1000円を払った買い物なのに、代金が1000円を大きく超えていないか
- ノート1冊の値段として不自然に大きくなっていないか
大きさの確認だけで必ず正誤を決められるわけではありません。
しかし、関係を逆にした誤りへ気付く手掛かりになります。
分からなくなったときは「もう一度全部読む」より戻る場所を決める
この章で分かること:困り方に合わせて、問題文のどこへ戻ればよいかが分かります。
文章題で止まったときに、「最初からもう一度よく読もう」と考えることがあります。
もちろん読み直すことは大切です。
ただし、同じ読み方を繰り返すだけでは、同じ場所で止まることがあります。
| 困った状態 | 戻る場所 | 自分へ聞くこと |
|---|---|---|
| 何を計算するか分からない | 問いと答えの単位 | 最後に何を答える問題ですか。 |
| 数字が多くて混乱する | 数字の意味と単位 | その数字は誰・何の数字ですか。 |
| 足すか引くか迷う | 比較の基準と変化 | 何を基準に、どちらへ動きますか。 |
| xを何にするか分からない | 求める数量 | 何の数量を文字で置きますか。 |
| 式が作れない | 数量関係の一文 | 何と何を合わせると、何になりますか。 |
| 式が合っているか不安 | 式の日本語化 | この式は問題文の何を表しますか。 |
| 計算は合うのに不正解 | 問いと途中結果 | 今出した数は、最後に求める数ですか。 |
| 単位や答え方で失点する | 問いの最後 | どの単位・形式で答えますか。 |
全部を最初から勉強し直すのではなく、ずれた場所へ一つ戻ります。
文章を確認するだけで直せた6つの文章題
この章で分かること:新しい公式を覚えなくても、問い・主語・単位・答え方を確認するだけで直せる例が分かります。
ここからは、計算方法を知らなかったのではなく、文章の一部を確認すれば直せた例を見ていきます。
間違いの中にある「できていたところ」も残します。
例1|弟の金額は求めたが、2人の合計まで進んでいなかった
問題:
兄は900円持っています。弟は兄より250円少なく持っています。2人が持っている金額の合計を求めなさい。
生徒の考え:
900-250=650
答え:650円
できていたところ:
- 900円が兄の金額だと分かった
- 弟は兄より250円少ないので、引き算を選べた
- 弟の金額650円を正しく求められた
読み落とした文章:
「2人が持っている金額の合計」
直す場所:
650円は弟の金額です。最後に兄の900円と合わせます。
900+650=1550
答え:2人が持っている金額の合計は1550円
次回の一言チェック:
今出した数は、最後の答えですか。
例2|切った長さを答え、残りを求めていなかった
問題:
長さ120cmのリボンから35cmを切りました。残りは何cmですか。
生徒の考え:
答え:35cm
できていたところ:
- 35cmが切った部分の長さだと読めた
- 単位をcmで答えられた
読み落とした文章:
「残りは」
直す場所:
35cmは切った長さです。最初の120cmから切った35cmを引きます。
120-35=85
答え:残りは85cm
次回の一言チェック:
今見ているのは、切った部分ですか、残った部分ですか。
例3|買った物の代金を求め、おつりまで進んでいなかった
問題:
180円のノートと120円のペンを買い、500円を出しました。おつりはいくらですか。
生徒の考え:
180+120=300
答え:300円
できていたところ:
- ノート代とペン代を合わせられた
- 買った物の代金300円を正しく求められた
読み落とした文章:
「おつりはいくら」
直す場所:
300円は買った物の代金です。支払った500円から代金を引きます。
500-300=200
答え:おつりは200円
次回の一言チェック:
問われているのは、代金ですか、おつりですか。
例4|「AはBより多い」の基準を逆にした
問題:
AさんはBさんより180円多く持っています。Aさんが760円持っているとき、Bさんはいくら持っていますか。
生徒の考え:
760+180=940
答え:940円
できていたところ:
- 760円がAさんの金額だと分かった
- 180円が二人の差だと分かった
- 計算自体は正しくできた
読み落とした文章:
「AさんはBさんより多い」
直す場所:
Bさんから180円増えるとAさんの760円になります。AさんからBさんへ戻るので引きます。
760-180=580
答え:Bさんは580円
次回の一言チェック:
誰を基準にして、どちらへ増えていますか。
例5|使わなくてよい数字も使おうとした
問題:
図書館は午前9時に開きます。健太さんは午前8時20分に家を出て、25分歩いて図書館へ着きました。着いた時刻を求めなさい。
生徒の考え:
9時という数字も使わなければならないと思い、計算できなくなった。
できていたところ:
- 出発時刻8時20分を見つけた
- 歩いた時間25分を見つけた
- 9時が図書館に関係する時刻だと分かった
読み落とした文章:
問いは「図書館へ入った時刻」ではなく、「着いた時刻」です。
直す場所:
出発時刻に歩いた時間を足します。
8時20分+25分=8時45分
答え:午前8時45分
次回の一言チェック:
その数字は、問いへ近付くために必要ですか。
例6|四捨五入する条件を見落とした
問題:
ある学校の生徒数は487人です。十の位までの概数で表しなさい。
生徒の考え:
答え:487人
できていたところ:
- 生徒数487人を正しく読めた
- 単位を人で答えられた
読み落とした文章:
「十の位までの概数で」
直す場所:
一の位の7を四捨五入します。
答え:約490人
次回の一言チェック:
正確な数で答えますか、丸めた数で答えますか。
六つの例では、計算の一部や数字の読み取りはできていました。
必要だったのは、新しい公式ではなく、問いや基準へ戻ることでした。
一問を最初から最後まで完全分解する
この章で分かること:問いの確認から、式、計算、答えの確認までを一つの流れで実演します。
ここでは、中1の方程式につながる買い物問題を、最初から最後まで分解します。
健太さんは、同じ値段のノートを3冊と、120円の消しゴムを1個買いました。1000円を出したところ、おつりは250円でした。ノート1冊の値段を求めなさい。
1.問いを確認する
- 求めるもの:ノート1冊の値段
- 答えの単位:円
最終回答は、買った物の合計金額でも、おつりでもありません。
2.登場するものを整理する
- ノート
- 消しゴム
- 支払ったお金
- おつり
- 買った物の代金
3.数字へ意味と単位を付ける
| 数字 | 意味 |
|---|---|
| 3冊 | ノートの冊数 |
| 120円 | 消しゴム1個の値段 |
| 1000円 | 支払った金額 |
| 250円 | おつり |
4.すぐに式を書かず、数量関係を言葉にする
この問題には、二つの関係があります。
支払った金額からおつりを引くと、買った物の代金になる。
ノート3冊分の代金と消しゴム代を合わせると、買った物の代金になる。
5.矢印と表にする
支払った金額1000円
↓ おつり250円を除く
買った物の代金750円
| 買った物 | 数 | 1個・1冊の値段 | 代金 |
|---|---|---|---|
| ノート | 3冊 | x円 | 3x円 |
| 消しゴム | 1個 | 120円 | 120円 |
6.求める数量を文字で置く
ノート1冊の値段をx円とする。
「分からない数をxとする」だけでなく、何の数量かと単位を書きます。
7.先に分かる途中結果を求める
支払った1000円から、おつり250円を引きます。
1000-250=750
750円は、買った物の代金です。
8.等しい関係を見つける
ノート3冊分+消しゴム代=買った物の代金
9.式を作る
3x+120=750
10.式を日本語へ戻す
同じ値段のノート3冊分と、120円の消しゴムを合わせると、買った物の代金750円になる。
問題文の関係と一致しています。
11.計算する
3x+120=750
3x=630
x=210
12.途中結果へ名前を付ける
| 結果 | 表しているもの |
|---|---|
| 750円 | 買った物の代金 |
| 630円 | ノート3冊分の代金 |
| 210円 | ノート1冊の値段 |
13.答えを問題文へ戻す
問いは「ノート1冊の値段」でした。
答え:ノート1冊の値段は210円
14.別の式でも同じ関係を表せる
次の式を作ることもできます。
1000-(3x+120)=250
これは、
支払った1000円から、ノート3冊分と消しゴム代を引くと、おつり250円になる。
という関係です。
二つの式は形が違いますが、どちらも問題文の関係を正しく表しています。
見本と式の形が違うだけで、すぐに間違いと決める必要はありません。
どの数量関係を使った式なのかを説明できるか確認します。
健太と恵子の会話|xを置く前に見るもの
健太:方程式の問題だから、最初にxを置けばいいんだよね。
恵子:xを置く前に、何の値段を求める問題だった?
健太:ノート1冊の値段。
恵子:では、1000円と250円は何を表している?
健太:支払った金額と、おつり。
恵子:その二つから、先に何が分かりそう?
健太:買った物の代金750円だ。先にそこへ名前を付ければいいんだね。
恵子は、式や答えをすぐに教えていません。
健太が見る場所へ戻れる質問をしています。
どこでずれた?文章題の7地点・誤答カルテ
この章で分かること:誤答を「文章題が全部できなかった」と考えず、ずれた地点へ分けられます。
| 確認地点 | よくあるずれ | 確認の一言 |
|---|---|---|
| 1.問い | 途中結果を最後の答えにした | 何を求める問題でしたか。 |
| 2.主語 | 誰の金額・長さ・時間かを逆にした | その数量は誰・何のものですか。 |
| 3.数字 | 数字の意味を取り違えた | その数字へ名前を付けると何ですか。 |
| 4.単位・形式 | cmとm、分と時間、正確な数と概数を混ぜた | どの単位・形で答えますか。 |
| 5.関係 | 多い・少ない、全体・部分を逆にした | 何を基準に、どう変わりますか。 |
| 6.式・計算 | 関係と違う式を作った、または計算でずれた | 式を日本語へ戻すと何を表しますか。 |
| 7.答え | 問い・単位・場面へ戻していない | その答えは問題文へ戻せますか。 |
例えば、兄と弟の合計問題で650円と答えた場合、計算地点までが全部間違いだったわけではありません。
- 主語:できていた
- 数字の意味:できていた
- 比較の関係:できていた
- 弟の金額の計算:できていた
- 最後の問い:もう一段必要だった
誤答カルテでは、できなかった場所だけでなく、できていた場所にも印を付けます。
そうすると、次に直す場所が小さくなります。
中1文章題のもったいない失敗例
この章で分かること:途中までできているのに失点しやすい代表例と、次に残す一言が分かります。
失敗1|xが何を表しているか書いていない
できていたこと:文字を使って式を作ろうとしている。
もったいないところ:途中でxが値段なのか個数なのか分からなくなる。
次回の一言:「x円=何の値段?」
失敗2|「多い」を見て、すぐ足している
できていたこと:比較を表す言葉に気付いている。
もったいないところ:基準と求める方向を確認していない。
次回の一言:「誰から誰へ動く?」
失敗3|数字を全部使おうとしている
できていたこと:問題文に書かれた条件を丁寧に拾っている。
もったいないところ:問いに必要かを選んでいない。
次回の一言:「この数字は問いへ近付く?」
失敗4|式は合っているが、途中結果を答えている
できていたこと:最初の数量関係を正しく計算できている。
もったいないところ:問いへ戻る前に答えを書いている。
次回の一言:「今出した数の名前は?」
失敗5|計算後に問題文へ戻っていない
できていたこと:式と計算を最後まで進められた。
もったいないところ:単位・大きさ・答え方を確認していない。
次回の一言:「問い・単位・場面に戻す」
このほかにも、数字を全部使う、比較を逆にする、xを何に置くか迷うなどの失敗は、それぞれ独立した記事へ発展できます。
この中1記事では、代表例と戻る場所を基礎として残します。
文章題を見る力は、数学以外の教科にもつながる
この章で分かること:問い・条件・変化・根拠を見る力が、ほかの教科でも使われることが分かります。
| 教科 | 共通して見るもの | 確認例 |
|---|---|---|
| 理科 | 条件、変化、単位、変わらない条件 | 何を変え、何を同じにした実験ですか。 |
| 国語 | 問い、人物、発言、根拠 | 誰の気持ちを、本文のどこから考えますか。 |
| 社会 | 年代、地域、資料、比較の基準 | どの時代・地域の資料を比べていますか。 |
| 英語 | 人物、時間、否定、誰の行動か | 誰が、いつ、何をしなかったのですか。 |
| 技術・家庭 | 量、予算、材料、手順 | 必要な量と、使える予算はいくらですか。 |
教科ごとに覚える内容は違います。
けれども、「何を問われ、何が変わり、何を根拠に答えるか」を見る力には共通する部分があります。
理科で、条件・変化・単位を見る具体例を確認したい人は、次の記事へ進めます。
中2理科がわからない人へ|電流・化学変化・天気を「見る順番」で整理する方法
第3部|一問で試し、繰り返せる形へする
その場で一問やってみる|文章題を三回見る
この章で分かること:記事を読んで終わらず、手元の一問で見る順番を試せます。
問題集や学校のプリントから、文章題を一問だけ選んでください。
今日は答えまで出せなくても構いません。
1回目|解く前に見る
- 問いへ線を引く
- 答えの単位を囲む
- 登場する人や物を分ける
- 数字の横へ意味を書く
2回目|式を作る前に見る
- 何を基準にしているか
- 何が変わったか
- 何が変わらないか
- 数量関係を一文で書けるか
- 必要なら図・表・矢印にできるか
3回目|答えが出たあとに見る
- 途中結果を答えていないか
- 問いへ答えているか
- 単位は合っているか
- 答え方の条件を守っているか
- 答えの大きさは場面に合うか
- 式を日本語へ戻せるか
式を書かない練習から始めてもよい
最初の一問では、式を書かず、次の五つだけを書いてみましょう。
- 求めるもの
- 分かっている数量
- 誰・何の数量か
- 最初に求めるもの
- そのあとに求めるもの
例えば、兄と弟の合計問題なら、次のように書けます。
求めるもの:兄と弟の合計金額
兄:900円
弟:兄より250円少ない
最初に弟の金額を求める
そのあと兄と弟の金額を合わせる
ここまで見えれば、式はそのあとで選べます。
全部を一度に実行しなくてもよい
最初からすべての確認をすると、作業が多く感じることがあります。
まずは一つだけ選んでください。
- 今日は問いだけ囲む
- 次の一問では数字へ名前を付ける
- 式の前に関係を一文だけ書く
- 途中結果へ名前を付ける
- 答えを問題文へ戻す
一つできたら、次の確認を加えます。
AIを使うなら、答えではなく「見る場所」を質問する
この章で分かること:自分で考える部分を残しながら、AIを質問役として使う方法が分かります。
AIへ問題を入力すると、答えや式をすぐに出してくれることがあります。
しかし、この記事で育てたいのは、本人が文章を見る力です。
AIを使う場合は、答えを出す係ではなく、見る場所へ戻す質問役として使います。
問いを確認したいとき
答えや式はまだ出さないでください。
この問題で、最後に何を求めているかを私に質問してください。
答えの単位と形式も、私が自分で確認できるようにしてください。
数字の意味を確認したいとき
数字を一つずつ取り上げて、「誰・何の数字か」「単位は何か」を私に質問してください。
正解はすぐに言わず、私が答えてから確認してください。
式を作る前に関係を確認したいとき
答えと式はまだ出さないでください。
この問題の数量関係を私が一文で説明できるように、質問を一つずつしてください。
自分の式を確認したいとき
私が作った式をすぐに直さず、まず「この式は日本語で何を表していますか」と質問してください。
合っている部分と、ずれている部分を分けて教えてください。
AIは誤った説明や計算を出すことがあります。数式、符号、単位、問題文の条件は、教科書・解説・先生などでも確認してください。
名前、学校名、成績表、友達の情報などの個人情報は入力しないようにします。
AIの説明を読めば分かるのに、自分で解こうとすると止まる場合は、次の記事で質問を入口・途中・出口へ分けられます。
AIの答えを読んでも自分で解けない人へ|質問を3つに分ける勉強法
7日間で、文章題を見る順番を一度練習する
この章で分かること:文章題を見る基本動作を、七つに分けて一度試せます。
この7日間は、「文章題を7日間で克服する計画」ではありません。
問い、数字、基準、関係、式、答えを見る順番を、一度ずつ練習する期間です。
| 日 | 練習すること | できた印 |
|---|---|---|
| 1日目 | 式を書かず、問いと答えの単位だけ確認する | □ |
| 2日目 | 数字の横へ意味と単位を書く | □ |
| 3日目 | 登場する人・物を分ける | □ |
| 4日目 | 多い・少ないの基準を矢印で書く | □ |
| 5日目 | 式の前に数量関係を一文で書く | □ |
| 6日目 | 作った式を日本語へ戻し、途中結果へ名前を付ける | □ |
| 7日目 | 一問を「解く前・式の前・答えの後」に三回見る | □ |
毎日、新しい問題を大量に解く必要はありません。
同じ一問を使って、見る場所だけを変えても構いません。
できなかった日は、次の日に全部まとめて行う必要もありません。
途中から再開し、一つ確認できれば練習になります。
周りの大人が声をかけるなら、答えより見る場所を質問する
この章で分かること:保護者や先生が、「もっとよく読んで」以外の声かけを選べます。
子どもが文章題で止まっていると、早く前へ進めるために、式や答えを教えたくなることがあります。
すぐに教えることが必要な場面もあります。
ただし、自分で見る練習を残したいときは、次のような短い質問が使えます。
- 何を求める問題かな。
- その数字は誰・何の数字かな。
- 今出した数には、どんな名前が付くかな。
- どちらを基準にしているかな。
- 何が変わって、何が同じかな。
- 式を言葉に戻すと、どうなるかな。
一度に何問も質問すると、新しい負担になります。
今止まっている場所に合う質問を、一つだけ選びます。
保存用|中1の文章題を見る最終チェック
この章で分かること:問題を解く前・式を作る前・答えが出たあとに確認する項目を、一枚にまとめられます。
解く前
- □ 何を求める問題か確認した
- □ 答えの単位を確認した
- □ 四捨五入など答え方の条件を確認した
- □ 誰・何が登場するか分けた
- □ 数字へ意味と単位を付けた
- □ 使わない情報がないか見た
式を作る前
- □ 何を基準にしているか確認した
- □ 何が変わり、何が変わらないか見た
- □ 数量関係を短い言葉・矢印・一文のどれかで表した
- □ 必要なら図や表にした
- □ 文字へ数量名と単位を付けた
答えが出たあと
- □ 式を日本語へ戻した
- □ 途中結果へ名前を付けた
- □ 問いに答えているか確認した
- □ 単位と答え方を確認した
- □ 答えの大きさが場面に合うか見た
全部できなくても大丈夫です。
分からなくなった場所へ、一つ戻りましょう。
次に読む記事|今の止まり方から選ぶ
文章題を見る順番を一度試したら、今の困り方に近い記事へ進んでみてください。
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文章題シリーズの続き
中1記事では、文章題から問い・数字・関係を見つけ、式へ進む前の土台を作りました。
学年が上がると、見る条件の数と、選ぶ考え方が増えていきます。
中2へ進む|xとy・二つの条件を組み立てる
中2では、二つの未知数へ名前と単位を付け、二つ以上の条件を別々に整理します。
- xとyが何を表すか分からなくなる
- 式を一本しか作れない
- 同じ条件の式を二本作ってしまう
- 連立方程式や一次関数で文章と式がつながらない
- 人物や行き帰りなど、複数の区間が混ざる
このような場合は、次の記事へ進んでください。
中2の文章題で式が作れない人へ|xとy・二つの条件を組み立てる順番
中3へ進む|条件から解法を選ぶ
中3では、増えた条件の役割を分け、二次方程式・関数・相似・三平方の定理などから使う方法と順番を選びます。
- 公式は覚えているが、どれを使うか分からない
- 条件が多く、どれから使えばよいか迷う
- 二次方程式の二つの解をどう扱うか分からない
- 図形問題で相似か三平方の定理か迷う
- 前の小問の結果を次へつなげられない
このような場合は、次の記事がシリーズの続きです。
中3の文章題で解き方が分からない人へ|条件から解法を選ぶ順番
まとめ|型を選ぶ前に、文章を見る余地を残そう
文章題で大切なのは、公式や型を使わないことではありません。
文章を読んで捉えた関係を、型や式で整理することです。
- 最初に問いと答えの単位を見る
- 数字へ意味と単位を付ける
- 誰・何を基準にしているかを見る
- 変わるものと変わらないものを見る
- 数量関係を短い言葉・矢印・一文にする
- 関係に合う式を選ぶ
- 式を日本語へ戻す
- 途中結果へ名前を付ける
- 最後に答えを問題文へ戻す
間違えたときも、「文章題が全部できなかった」と考えなくて大丈夫です。
問い、主語、数字、単位、関係、式、答えのどこでずれたかを確認します。
最初にずれた場所が見つかれば、全部を最初から勉強し直す必要はありません。
次の一問では、まず問いを囲むだけでも構いません。
その小さな確認が、型へ急ぐ前に、自分で考える余地を守ります。
もこあい先生より:
「今日の“なんで?”を大切にしよう。正解より、考えた道のりが宝もの。」
参考文献・出典
- 文部科学省「中学校学習指導要領(平成29年告示)解説 数学編」(2026年8月5日参照)
中学校学習指導要領解説 - もこあいブログ「中2の文章題で式が作れない人へ|xとy・二つの条件を組み立てる順番」(2026年8月6日参照)
https://mokoai-diary.site/junior-high-word-problems-grade2/ - もこあいブログ「中3の文章題で解き方が分からない人へ|条件から解法を選ぶ順番」(2026年8月6日参照)
https://mokoai-diary.site/junior-high-word-problems-grade3/
※この記事の例題は、文章題を見る順番を説明するために作成したものです。
訂正・追記履歴
- 2026年8月5日:初稿作成。中1向け文章題シリーズの基礎ハブとして、問い・数字・単位・基準・数量関係・図表化・式の確認・誤答カルテ・7日間練習を整理しました。
- 2026年8月6日:文章題を見る力シリーズの中2・中3記事公開に伴い、3年間ロードマップ、「今は使わない」と「最後まで使わない」の発展案内、「次に読む記事」、参考文献へ内部リンクを追加しました。
※今後、学習内容、例題、数学的表現、内部リンクなどを訂正・追記した場合は、この欄へ記録します。


















