公式は覚えているのに、長い文章題を見ると、どれを使えばよいのか分からなくなる。

二次方程式を解いて二つの解が出たけれど、どちらを答えにすればよいのか迷う。

図形問題で、相似を使うのか、三平方の定理を使うのか決められない。

小問(1)は解けたのに、その答えを小問(2)でどう使えばよいのか分からない。

解説を読むと納得できるけれど、自分では最初の一手を選べない。

そんなところで止まっていませんか。

中学3年生になると、文章題に出てくる公式が急にすべて難しくなるわけではありません。

増えるのは、主に次のようなものです。

  • 三つ以上の条件
  • 今すぐ使う条件と、あとで使う条件
  • 二次方程式、関数、相似、三平方の定理などの解法候補
  • 前の小問で分かった結果
  • 図、表、式、グラフをつなぐ場面
  • 答えだけでなく、方法を使える理由を書く場面

見るものと選ぶものが増えるため、一度に全部を考えようとすると、途中で何から手を付ければよいのか分からなくなります。

この記事では、公式名やキーワードから解法を決めるのではなく、次の順番で整理します。

  1. 条件を分ける
  2. 最終的な目的を確認する
  3. 使えそうな道具を候補として出す
  4. その道具を使える根拠を確かめる
  5. 使う順番を決める
  6. 答えや途中結果を問題文へ戻す

型や公式は、文章を読まなくてよくする道具ではありません。

文章から見つけた条件や関係を、崩さず、分かりやすく整理するための道具です。

最初から記事をすべて読む必要はありません。

次の簡易診断から、今の自分が止まっている場所を探してみてください。

目次
  1. どこで止まる?中3文章題の簡易診断
  2. 文章題を見る力の3年間ロードマップ
  3. 文章を読まず、見覚えのある解法へ急ぐと起きる中3特有のずれ
  4. 小さな条件の読み違いが、解法全体のずれになるまで
  5. 文章を確認するだけで進めた中3文章題の例
  6. 中3文章題を見る基本手順|12の確認地点
  7. 条件・目的・使えそうな道具を三列に分ける
  8. 一問を最初から最後まで完全分解する|二次方程式
  9. 複合問題を完全分解する|前の小問を次へ渡す
  10. 図の見た目ではなく、与えられた条件を使う
  11. 二次方程式・関数・相似・三平方の定理を選ぶ目安
  12. 中3文章題のもったいない失敗例
  13. どこでずれた?文章題の誤答カルテ・中3版
  14. 今日できる最小行動|三列だけ書く
  15. その場で一問やってみる|文章題を三回見る・中3版
  16. AIを使うなら、答えではなく解法選択の根拠を質問する
  17. 7日間で、条件から解法を選ぶ順番を一度練習する
  18. 周りの大人が声をかけるなら、公式より条件を質問する
  19. 条件から方法を選ぶ力は、ほかの教科と高校以降にもつながる
  20. 保存用|中3の文章題を見る最終チェック
  21. 次に読む記事|今の止まり方から選ぶ
  22. まとめ|使える公式を探す前に、使える条件を確認しよう
  23. 参考文献・出典
  24. 訂正・追記履歴

どこで止まる?中3文章題の簡易診断

この章で分かること:自分が条件整理、解法選択、小問の接続、答えの確認のどこで止まりやすいかを確認できます。

次の表から、今の自分に近い状態を探してみてください。

今の止まり方 起きているかもしれないこと 先に読む章
条件が多く、何から使えばよいか分からない 条件をすべて同時に使おうとしている 条件・目的・道具を三列に分ける
使う公式を一つに決められない 候補を出す前に、正解の方法を一つ当てようとしている 四つの方法を選ぶ目安
二次方程式の解が二つ出て迷う 数式上の解と、文章題で使える答えが分かれていない 二次方程式を完全分解する
図を見て、書かれていない条件まで使ってしまう 図の見た目と、与えられた条件が混ざっている 図の見た目と条件を分ける
相似と三平方の定理のどちらを使うか迷う 求めるものより、三角形の見た目から方法を決めている 相似・三平方を選ぶ目安
関数y=ax²のaが何を表すか分からない 式を文章やグラフ上の点へ戻していない 関数y=ax²を場面へ戻す
小問(1)の答えを(2)で使えない 前の結果へ名前と使い道が付いていない 小問の結果を次へ渡す
式は作れたが、なぜその式になるか説明できない 条件と使った方法の間が言葉になっていない 解法選択の理由を一文にする
計算は合うが、条件に合わない答えになる 答えを元の場面へ戻していない 一問を三回見る・中3版
長文を途中から読み飛ばす 条件を一つずつ分ける前に、全部を理解しようとしている 12の確認地点
どこで間違えたか分からない 条件、方法、計算、答えを一つにまとめている 文章題の誤答カルテ・中3版

二つ以上当てはまっても大丈夫です。

この診断は、「あなたはこのタイプ」と決めるためのものではありません。

分からなくなったときに、どこへ戻るかを見つけるための案内図です。

文章題を見る力の3年間ロードマップ

この章で分かること:中1・中2・中3で育てる力の違いと、今回の記事の現在地が分かります。

記事 中心となる力 主に扱う内容
第1記事|中1 問い・数字・関係を見つける 主語、単位、基準、変化、図表化、数量関係、式と日本語の往復
第2記事|中2 二つ以上の条件を組み立てる 二つの未知数、独立した条件、連立方程式、一次関数、複数区間
第3記事|中3・現在地 条件から解法を選ぶ 長い問題文、条件の役割、複合問題、小問の接続、複数の解法候補

中1では、文章題の中にある材料を見つけました。

中2では、見つけた材料を二つ以上の関係として組み立てました。

中3では、条件の役割と使う順番を考え、使える方法を自分で選びます。

3年間の流れを一文にすると、次のようになります。

中1で材料を見つけ、中2で関係を組み立て、中3で使う道具と順番を選ぶ。

中1で問い・数字・関係を見つけ、中2で二つの条件を組み立て、中3で条件から解法を選ぶ3年間ロードマップ

中1・中2から中3へ、何が増えるのか

学年 問題を見るときの中心 答えを出したあと
中1 問い、数字、単位、主語、一つの数量関係 式と答えを文章へ戻す
中2 二つの未知数、条件1と条件2、人物や区間 二つの条件を両方満たすか確かめる
中3 条件の役割、使う順番、複数の解法候補、小問の接続 解を場面で選び直し、方法の理由も説明する

問い、数字、単位、主語の基礎から確認したい場合は、次の中1記事へ戻れます。

中1の文章題で式が作れない人へ|問い・数字・関係を見る順番

二つの未知数や、条件1・条件2への分け方から確認したい場合は、次の中2記事へ戻れます。

中2の文章題で式が作れない人へ|xとy・二つの条件を組み立てる順番


第1部|見覚えのある解法へ急ぐ前に、条件を分ける

文章を読まず、見覚えのある解法へ急ぐと起きる中3特有のずれ

この章で分かること:公式や単元名を知っていても文章題で止まる理由と、型を使う前に確認したい場所が分かります。

公式や型を覚えることには、大切な意味があります。

  • 考えた関係を短く整理できる
  • 計算の手順を安定させられる
  • 答案を相手に伝わる形で書ける
  • 間違えた場所を見つけやすい
  • 似た問題へ考え方を移しやすい

問題は、型を使うことではありません。

文章や図の条件を確認する前に、型を決めてしまうことです。

見覚えから急いだ判断 起きやすいずれ
面積が出たから二次方程式 面積を求めるだけの問題でも、必要以上に方程式を作ろうとする
直角に見えるから三平方の定理 直角記号や直角になる根拠がないまま定理を使う
比が出たから相似 対応する角や辺を確認せず、見た目の近い辺を対応させる
グラフがあるから関数 横軸と縦軸が表す数量や、点の意味を見ない
平方があるから因数分解 方程式ではない式まで、意味を考えず因数分解しようとする
条件が多いから全部使う 今は必要のない条件まで一つの式へ入れる
前の小問を使わず毎回最初から解く 問題が用意した途中結果を生かせず、計算が複雑になる
解が二つ出たから両方答える 長さ、人数、時間などの場面に合わない解まで答えにする
負の解だから理由なく捨てる 負の値が意味をもつ場面でも、機械的に使わないと決める
入試問題だから難しい方法を使う 前の小問や基本的な性質で進める問題を、複雑に考えすぎる

悪もこあい先生:

「面積なら二次方程式!直角に見えたら三平方!解が二つなら両方書けばいい!入試問題は難しい方法を使うほど正解に近い!」

もこあい先生:

面積、直角、比、グラフは、方法を決める命令ではありません。

使える条件があるかを確かめるための手掛かりです。

中3では、公式を思い出した時点で解き始めるのではなく、次の一確認を入れます。

この方法を使える条件は、問題文や図のどこにあるだろう。

小さな条件の読み違いが、解法全体のずれになるまで

この章で分かること:計算は合っているのに不正解になる過程と、本当に戻るべき場所が分かります。

直角だと図の見た目で決めた例

健太は、三角形の一つの角が直角のように見えたため、三平方の定理を使いました。

式も計算も正しく、辺の長さも一つ求まりました。

しかし、問題文には直角であるという説明がなく、図にも直角記号がありませんでした。

ずれは、次のように広がっています。

図が直角に見える

直角三角形だと決める

三平方の定理を選ぶ

式を正しく計算する

長さが求まる

使う根拠がないことに気付かない

「計算は合っているのに、なぜ不正解なのか分からない」と感じる

健太のできていた部分もあります。

  • 三平方の定理の式を覚えていた
  • 最も長く見える辺を、使う辺の候補にした
  • 平方の計算を正しく行った

本当に直す場所は、三平方の定理の計算ではありません。

直角三角形である根拠を確認する場所です。

二次方程式の二つの解を確認しなかった例

縦の長さを表す文字について、二次方程式を解いたところ、7と-12の二つの解が出ました。

健太は「二次方程式の解は二つだから」と考え、両方を答えに書きました。

二次方程式を正しく作る

因数分解を正しく行う

二つの解を求める

文字が何を表すか確認しない

-12cmも答えに書く

文章題の答えとして不適切になる

二次方程式そのものが苦手だと思う

この場合も、立式と計算はできています。

直す場所は、二次方程式全体ではありません。

数式上の解を、長さという場面へ戻す部分です。

最初にずれた条件を見つけられれば、単元を最初からすべて勉強し直す必要はありません。

直角に見えるという条件の読み違いから三平方の定理を選び、計算は合っていても根拠のない誤答になる流れ

文章を確認するだけで進めた中3文章題の例

この章で分かること:新しい公式を増やさなくても、条件を一つ確認することで次の一手が見える例を確認できます。

例1|「横は縦より5cm長い」を関係へ戻す

問題:横が縦より5cm長い長方形について、縦をx cmとしたときの横を表しなさい。

生徒の考え:面積の問題だから、すぐ二次方程式を作ろうとした。

できていたこと:縦をx cmと置けた。

見落とした条件:「横は縦より5cm長い」。

選ぼうとしていた方法:二次方程式。

文章へ戻って見えた次の一手:横はx+5cmと表せる。面積条件が加わってから、必要なら二次方程式を作る。

次回の一言チェック:「長い・短い」は、どちらを基準にしているかな。

例2|負の解を、長さへ戻して選ぶ

問題:長方形の縦をx cmとして方程式を解くと、x=7、-12となった。

生徒の考え:二つの解を両方答えるか、負の解だけ理由なく消そうとした。

できていたこと:方程式と因数分解は正しかった。

見落とした条件:xは長方形の縦の長さを表している。

選ぼうとしていた方法:「二次方程式の解は二つ」という形だけで判断する。

文章へ戻って見えた次の一手:-12cmという長さは、この問題の場面では使えない。

次回の一言チェック:xは問題文では何を表しているかな。

例3|直角記号を確認して三平方の定理を選ぶ

問題:三角形の二辺が6cmと8cmで、間の角に直角記号がある。残りの辺を求める。

生徒の考え:三角形だから相似かもしれないと迷った。

できていたこと:三平方の定理と相似の両方を候補にできた。

見落とした条件:6cmと8cmの辺の間に直角記号がある。

選ぼうとしていた方法:相似。

文章へ戻って見えた次の一手:直角三角形で二辺が分かり、残りの一辺を求めるため、三平方の定理を使える。

次回の一言チェック:直角は見た目ではなく、記号や文章で確かめたかな。

例4|平行という条件から相似へ進む

問題:三角形の二辺上に点D、Eがあり、DEと底辺BCが平行である。

生徒の考え:辺の長さを求めるから三平方の定理を使おうとした。

できていたこと:求めるものが辺の長さだと確認できた。

見落とした条件:DE∥BC。

選ぼうとしていた方法:三平方の定理。

文章へ戻って見えた次の一手:平行線から等しい角を確認し、三角形の相似を使えるか調べる。

次回の一言チェック:平行の条件から、どの角が等しくなるかな。

第1部の持ち帰り:

公式を思い出したら、すぐ使うのではなく、「この方法を使える条件はどこにあるか」を一度確認します。


第2部|条件・目的・道具を分け、使う解法を選ぶ

中3文章題を見る基本手順|12の確認地点

この章で分かること:長い文章題や複合問題で、どこから考え、どこへ戻ればよいかが分かります。

順番 確認すること 自分への質問
1 何を求めるか確認する 最後に何を答える問題ですか。
2 条件へ番号を付ける 文章や図から分かることはいくつありますか。
3 図・表・式の記号の意味を確認する この文字、点、線、軸は何を表しますか。
4 今使う条件と、あとで使う条件を分ける 最初の一手に必要なのはどれですか。
5 前の小問で分かったことを残す 数字、式、比、図形の性質のどれが分かりましたか。
6 必要なら、使えそうな方法を二つまで候補にする どの考え方が使えそうですか。
7 各方法を使える根拠を確認する その方法に必要な条件はありますか。
8 条件から最も自然な方法を選ぶ 目的へつながり、意味を説明できるのはどれですか。
9 式・図・証明へ表す 条件を崩さず、見える形へ変えられますか。
10 途中結果へ意味を戻す 今出た数や式は何を表しますか。
11 解や答えが条件に合うか確認する 単位、範囲、長さ、人数、図形の条件に合いますか。
12 使った方法と理由を一文で説明する どの条件があるため、この方法を使いましたか。

12項目を、毎回すべてノートへ書く必要はありません。

これは作業を増やすための手順ではなく、止まった場所へ戻るための地図です。

例えば、解法を選べないなら6と7だけを確認します。

二次方程式の解が二つ出て迷ったなら、10と11へ戻ります。

小問(2)へ進めないなら、5を確認します。

中3の文章題で目的確認から条件整理、解法選択、答えの確認までを示す12の確認地点

条件・目的・使えそうな道具を三列に分ける

この章で分かること:条件が多い問題でも、分かっていること、求めるもの、使えそうな方法を混ぜずに整理できます。

中3文章題の中心となる整理法は、次の三列です。

条件 目的 使えそうな道具
問題文に書かれていること 最終的に求める値 二次方程式
図の記号から分かること 証明する図形の性質 関数y=ax²
前の小問で分かったこと 比較する数量 相似
単位、範囲、大小関係 指定された答え方 三平方の定理
表やグラフの対応 説明する理由 一次関数、連立方程式、前の小問

大切なのは、「使えそうな道具」を最初から一つに決めないことです。

候補を書き、その方法に必要な条件が本当にあるかを確認してから選びます。

中3文章題の条件、最終目的、使えそうな解法候補を三列に分けて整理する実践表

条件を最初から完全に分類できなくてもよい

問題を読み始めた時点では、どの条件を今使うか分からないこともあります。

その場合は、まず条件へ①②③と番号を付けるだけで構いません。

解法候補が見えてから、役割を書き足します。

記号 条件の今の役割
今使う条件
あとで使うかもしれない条件
すでに使った条件
答えの確認に使う条件

例えば、長方形の問題なら次のように残せます。

① 横は縦より5cm長い ○

② 面積は84cm² ○

③ 縦と横は正の長さ □

この記号は、決まった数学記号ではありません。

自分が条件の役割を見失わないためのメモです。

「今は使わない」と「必要がない」は違う

条件は、次のように役割が違うことがあります。

  • 最初の式を作るために使う条件
  • 途中結果が出たあとに使う条件
  • 答えが正しいか確認する条件
  • 場面を説明している条件
  • 最後まで使わなくてもよい情報

必要な情報と使わない情報の基本から確認したい場合は、中1記事の「必要な情報と、使わない情報を分ける」で詳しく確認できます。

中1記事|必要な情報と、使わない情報を分ける

解法選択の理由を一文にする

解法を選んだら、次の形で一文にしてみます。

「__という条件があり、__を求めたいので、__を使う。」

例えば、次のように書けます。

横が縦より5cm長く、面積が84cm²という条件があり、縦と横を求めたいので、二次方程式を使う。

直角三角形で二辺の長さが分かっており、残りの一辺を求めたいので、三平方の定理を使う。

平行線から二組の角が等しいと分かり、対応する辺の比を使いたいので、三角形の相似を使う。

答えを確認するときは、次の形も使えます。

「__は__を表すため、問題の条件に合う/合わない。」

例:

x=-12は長方形の縦の長さを表すため、この問題の条件には合わない。

選ばなかった方法にも、短い理由を付ける

同じ問題に複数の入口がある場合、正解の方法を当てるだけでなく、候補から外した理由も確認すると、解法選択が見えやすくなります。

例えば、次のように考えます。

三平方の定理も候補に入ったが、今求める辺を含む直角三角形がまだ見つからないため、先に相似を使う。

関数として表すこともできるが、今回は一組の縦と横を求めるため、面積条件を二次方程式にする方が目的へ直接つながる。

最短の方法だけが正しいわけではありません。

次の条件を満たす方法なら、解答例と違う入口も考えられます。

  • 問題文の条件を使っている
  • 求めるものへつながっている
  • 方法を使える根拠を説明できる
  • 答えを元の条件へ戻して確認できる

一問を最初から最後まで完全分解する|二次方程式

この章で分かること:条件から二次方程式を選び、二つの解を場面へ戻し、答えを元の条件で確かめる流れが分かります。

問題

横が縦より5cm長く、面積が84cm²である長方形があります。縦と横の長さを求めなさい。

1.問いを確認する

求めるものは、長方形の縦と横の長さです。

答えの単位はcmです。

問い、単位、答え方の基本から確認したい場合は、中1記事の該当章へ戻れます。

中1記事|何を求める?問い・単位・答え方を最初に確認する

2.条件へ番号を付ける

① 横は縦より5cm長い。

② 面積は84cm²。

③ 縦と横は長さなので、正の値になる。

3.条件・目的・道具の三列に分ける

条件 目的 使えそうな道具
横は縦より5cm長い 縦の長さ 文字式
面積は84cm² 横の長さ 長方形の面積
縦と横は正の長さ 二つの解を場面で選ぶ 二次方程式

4.求める数量を文字で置く

縦の長さをx cmとします。

x:長方形の縦の長さ

単位:cm

文字へ数量名と単位を付ける基本は、中1・中2記事で詳しく扱っています。

中2記事|二つの未知数を区別する

5.縦と横の関係を式へ表す

横は縦より5cm長いので、横の長さは次のように表せます。

横の長さ:x+5 cm

ここでは、まだ二次方程式を使っていません。

まず条件①を文字式へ表しただけです。

6.面積の関係を使う

長方形の面積は、縦×横です。

縦がx cm、横がx+5cm、面積が84cm²なので、次の式になります。

x(x+5)=84

7.なぜ二次方程式になるのか

xとx+5を掛けるため、式の中にx²ができます。

整理すると、次の二次方程式になります。

x²+5x-84=0

「面積」という言葉があるから、二次方程式を使ったのではありません。

縦と横を一つの文字で表し、その積が84になる条件を式にすると、x²を含む方程式になったためです。

8.二次方程式を解く

x²+5x-84=0

(x-7)(x+12)=0

x=7、-12

ここまでで、数式上は二つの解が出ています。

しかし、まだ文章題の答えは決まっていません。

9.二つの解へ意味を戻す

xは、長方形の縦の長さを表しています。

数式上の解 問題文で表すもの 条件に合うか
x=7 縦が7cm 正の長さなので合う
x=-12 縦が-12cm この問題の長さとしては合わない

したがって、この問題ではx=7を使います。

「負の解だから必ず使わない」と覚えるのではありません。

何を表す文字なのか、問題の条件に合うのかを確認して判断します。

温度、基準からの位置、収支など、負の値が意味をもつ場面もあります。

二次方程式の解xイコール7とマイナス12を長方形の縦の長さへ戻し、条件に合う解を選ぶ図

10.横の長さを求める

横は縦より5cm長いので、

7+5=12

横は12cmです。

11.元の条件へ戻して確認する

条件①:

12-7=5

横は縦より5cm長くなっています。

条件②:

7×12=84

面積も84cm²です。

条件③:

縦も横も正の長さです。

三つの条件を満たしています。

12.答えを書く

縦7cm、横12cm

13.別の文字の置き方

横の長さをx cmとすることもできます。

この場合、縦はx-5cmです。

x(x-5)=84

x²-5x-84=0

(x-12)(x+7)=0

x=12、-7

xは横の長さなので、x=12を使います。

すると、縦は12-5=7cmです。

文字の置き方が違っても、問題文の関係を正しく表せていれば、同じ答えへ進めます。

14.選んだ方法の理由を一文にする

横が縦より5cm長く、縦と横の積が84になる条件があり、縦と横を求めたいので、二次方程式を使った。

15.今回は選ばなかった方法

縦を変数、面積を関数として表すこともできます。

しかし、今回は面積が84cm²になる一組の縦と横を求める問題です。

そのため、面積条件を方程式にする方が、目的へ直接つながります。

複合問題を完全分解する|前の小問を次へ渡す

この章で分かること:三平方の定理、相似、前の小問の結果を、必要な順番で使う方法が分かります。

問題

直角三角形ABCで、∠A=90°、AB=6cm、AC=8cmとします。

辺AB上に、AD=3cmとなる点Dを取ります。

点Dを通り、辺BCに平行な直線と辺ACとの交点をEとします。

(1)辺BCの長さを求めなさい。

(2)△ADEと△ABCが相似であることを示しなさい。

(3)辺DEの長さを求めなさい。

角Aが直角でABが6センチ、ACが8センチ、ADが3センチ、DEとBCが平行な三角形ABCの複合図形問題

1.条件へ番号を付ける

① ∠A=90°

② AB=6cm

③ AC=8cm

④ AD=3cm

⑤ 平行

⑥ DはAB上、EはAC上

2.最終目的を確認する

小問(3)の最終目的は、DEの長さを求めることです。

ただし、最初からDEを求めようとはしません。

小問(1)と(2)が、必要な材料を順番に用意しています。

3.条件・目的・道具を分ける

段階 今使う条件 目的 道具候補
(1) ①②③ BCを求める 三平方の定理
(2) ⑤⑥ 二つの三角形が相似と示す 平行線と角、相似条件
(3) ④、(1)、(2) DEを求める 相似な図形の対応する辺の比

(1)三平方の定理でBCを求める

△ABCは、∠A=90°の直角三角形です。

AB=6cm、AC=8cmが分かっています。

BCは直角の向かい側にあるため、斜辺です。

BC²=AB²+AC²

BC²=6²+8²

BC²=36+64

BC²=100

BC=10

BCは長さなので、正の値である10cmを使います。

(1)の結果ラベル:

結果:BC=10cm

意味:大きい直角三角形ABCの斜辺

次に使う場所:(3)でDEと対応させる

(2)平行条件から相似を示す

△ADEと△ABCを比べます。

DはAB上、EはAC上にあるため、∠DAEと∠BACは同じ角です。

∠DAE=∠BAC

また、DE∥BCなので、平行線の性質から、次の角が等しくなります。

∠ADE=∠ABC

二組の角がそれぞれ等しいため、

△ADE∽△ABC

となります。

対応する頂点の順番は、次のとおりです。

A ↔ A

D ↔ B

E ↔ C

したがって、対応する辺は次のようになります。

AD ↔ AB

AE ↔ AC

DE ↔ BC

(2)の結果ラベル:

結果:△ADE∽△ABC

意味:対応する辺の比が等しい

次に使う場所:(3)でDE:BC=AD:ABを使う

(3)前の二つの結果を受け取ってDEを求める

AD=3cm、AB=6cmなので、相似比は次のようになります。

AD:AB=3:6=1:2

DEはBCに対応します。

DE:BC=1:2

(1)でBC=10cmと分かっているため、

DE:10=1:2

DE=5

したがって、DEは5cmです。

答えを確認する

小さい三角形の相似比は、大きい三角形の2分の1です。

大きい三角形の斜辺BCが10cmなので、対応するDEが5cmになることは、比の関係にも合っています。

小問の誘導は、複雑な問題を段階へ分ける案内

この問題では、次の順番で材料が渡されています。

(1)大きい三角形の斜辺BC=10cm

(2)△ADEと△ABCが相似

(3)相似比を使い、DE=5cm

(1)と(2)は、独立した練習問題ではありません。

(3)を解くための材料を、一つずつ用意しています。

小問1で求めたBCの長さと小問2で示した三角形の相似を小問3のDEの長さへ受け渡す流れ

前の小問の結果へ名前を付ける

小問の答えが出たら、次の三行を残します。

結果:

意味:

次に使う場所:

前の小問で分かるものは、数字だけとは限りません。

  • 長さ
  • 座標
  • 図形の性質
  • 等しい角
  • 平行や垂直

これらへ名前を付けると、次の小問へ渡しやすくなります。

この問題で選ばなかった方法

(3)でDEを求めるとき、三平方の定理を再び使うことも考えられます。

しかし、△ADEで分かっている辺はADだけであり、この時点では三平方の定理だけではDEを直接求められません。

一方、(2)で相似が示され、(1)で対応するBCの長さも分かっています。

そのため、相似比を使う方が、条件を崩さず目的へ進めます。

図の見た目ではなく、与えられた条件を使う

この章で分かること:図から読み取ってよいことと、見た目だけでは条件にできないことを分けられます。

数学の図は、条件や位置関係を見やすくする大切な道具です。

ただし、図が正確な縮尺で描かれているとは限りません。

図ではそう見える 根拠として必要なもの
直角に見える 直角記号、文章の条件、前の小問で示した事実
二辺が同じ長さに見える 同じ長さを示す印、数値、証明した結果
二直線が平行に見える 平行記号、文章の条件、角の関係から示した結果
一つの点が中点に見える 二つの長さが等しい条件、中点と書かれた条件
二つの三角形が相似に見える 相似条件を満たす角や辺の関係

直角や平行に見える図の見た目と、直角記号や平行記号など実際に使える数学的根拠の違い

失敗1|直角に見えたが、直角の条件がなかった

できていたこと:三平方の定理を思い出せた。

最初にずれた条件:図の見た目を直角の根拠にした。

本当に直す場所:直角記号、文章、前の小問を確認する。

失敗2|二辺が同じ長さに見えた

できていたこと:二等辺三角形の性質を使おうとした。

最初にずれた条件:同じ長さを示す印や数値がない。

本当に直す場所:等しい辺が条件として与えられているか確認する。

失敗3|平行に見えたため、相似を使った

できていたこと:平行線から角が等しくなることを知っていた。

最初にずれた条件:平行である根拠がない。

本当に直す場所:平行記号や文章の条件を探す。

失敗4|対応する頂点の順番を間違えた

相似な二つの三角形を見つけても、対応する頂点の順番が違うと、辺の比が崩れます。

例えば、

△ADE∽△ABC

なら、

A ↔ A、D ↔ B、E ↔ C

です。

三角形の名前を書く順番は、対応関係を保存するための大切な情報です。

二次方程式・関数・相似・三平方の定理を選ぶ目安

この章で分かること:四つの方法を使える条件と、選ぶ前に確認したいことが分かります。

方法 使えそうな場面 先に確認する条件 答えのあと
二次方程式 未知数の積や2乗を含む関係ができる 何を文字にするか、どの関係が等しいか 二つの解が場面に合うか
関数y=ax² 二つの数量の変化と対応を見る 何に伴って何が変わるか、yがx²に比例するか 点、a、定義域を場面へ戻す
相似 対応する角と辺の比を使う 相似条件、平行線、対応する頂点 辺の対応順が合っているか
三平方の定理 直角三角形の辺の長さを求める 直角三角形か、どの辺が斜辺か 長さとして正しいか、元の関係に合うか

この表は、解法を決める命令ではありません。

方法を使える条件がそろっているか確かめるための入口です。

二次方程式、関数yイコールax二乗、相似、三平方の定理を使う前に確認する条件の比較表

二次方程式を選ぶ前

  • 求める数量を一つの文字で表せるか
  • 別の数量を、その文字を使って表せるか
  • 積や2乗を含む等しい関係ができるか
  • 解が二つ出たとき、場面で選び直せるか

相似を選ぶ前

  • 二つの図形で対応する角を確認できるか
  • 平行線など、角が等しくなる根拠があるか
  • 対応する頂点の順番を決められるか
  • 求める辺と、分かっている辺が対応しているか

三平方の定理を選ぶ前

  • 直角三角形であることが示されているか
  • 直角の向かい側にある斜辺はどれか
  • 二辺が分かっているか
  • 求めるものは辺の長さか

関数y=ax²を、式の形だけで判断しない

次の場面を考えます。

縦がx cm、横が縦の2倍である長方形の面積をy cm²とします。

横は2x cmです。

面積は、

y=x×2x

y=2x²

となります。

この式を見るときは、次の意味を残します。

式や記号 問題文での意味
x 長方形の縦の長さ
y 長方形の面積
2 yがx²の2倍になる関係を表す比例定数
点(2,8) 縦が2cmのとき、面積が8cm²

xが2倍になると、yは4倍になります。

xが3倍になると、yは9倍になります。

a=2は、「xが1増えるごとにyが2増える」という意味ではありません。

一次関数の変化とは違い、xが増える場所によって、yの増え方も変わります。

また、式だけならx=0のときy=0になります。

しかし、実際の長方形の辺の長さとして考えるなら、通常はx>0です。

材料や場所の条件として「0<x≦6」が与えられているなら、グラフもその範囲だけを場面として見ます。

一次関数で文章・表・式・グラフを往復する基本は、中2記事で確認できます。

中2記事|文章・表・式・グラフを往復して、同じ関係を確かめる

第2部の持ち帰り:

条件・目的・道具を分け、候補を二つまで出し、「この条件があるため、この方法を使う」と説明できれば、解法選択の大切な部分まで進んでいます。


第3部|間違いから戻り、次の一問へつなげる

中3文章題のもったいない失敗例

この章で分かること:できていた部分を残したまま、最初にずれた条件と、本当に直す場所を見つけられます。

失敗1|条件を全部一度に使おうとした

できていたこと:問題文から複数の条件を見つけた。

最初にずれた場所:条件には使う順番があることを分けなかった。

ずれが広がった先:一つの長い式へすべて入れ、何を表す式か分からなくなった。

本当に直す場所:今使う条件と、あとで使う条件を分ける。

次回の一言チェック:最初の一手に必要な条件はどれかな。

失敗2|前の小問の結果を使わなかった

できていたこと:小問(1)の計算は正しくできた。

最初にずれた場所:出た結果へ意味と次の使い道を付けなかった。

ずれが広がった先:小問(2)を最初から解き直そうとして、条件不足だと感じた。

本当に直す場所:結果・意味・次に使う場所の三行を残す。

次回の一言チェック:前の答えは、数字、式、比、性質のどれかな。

失敗3|二つの解を両方答えた

できていたこと:二次方程式を正しく解いた。

最初にずれた場所:文字が表す数量へ解を戻さなかった。

ずれが広がった先:負の長さや条件外の時間も答えにした。

本当に直す場所:各解が問題文では何を表すか確認する。

次回の一言チェック:この解を、単位付きの言葉で読むとどうなるかな。

失敗4|使わない解を理由なく消した

できていたこと:場面に合わない可能性に気付いた。

最初にずれた場所:「負だから使わない」とだけ判断した。

ずれが広がった先:負の値が意味をもつ問題でも、正しい解を消す習慣が残る。

本当に直す場所:文字の意味、範囲、大小関係、図形成立の条件を確認する。

次回の一言チェック:負だからではなく、どの条件に合わないのかな。

失敗5|相似の対応順を間違えた

できていたこと:相似な三角形を見つけた。

最初にずれた場所:対応する頂点の順番を確認しなかった。

ずれが広がった先:対応しない辺を同じ比へ入れた。

本当に直す場所:等しい角を先に対応させ、三角形名の順番をそろえる。

次回の一言チェック:一つ目、二つ目、三つ目の頂点は対応しているかな。

失敗6|斜辺を取り違えた

できていたこと:三平方の定理を使える直角三角形だと確認した。

最初にずれた場所:長く見える辺を斜辺だと思った。

ずれが広がった先:平方の式で足す辺と引く辺が入れ替わった。

本当に直す場所:直角の向かい側にある辺を探す。

次回の一言チェック:斜辺は、直角の向かい側にあるかな。

ほかに起きやすいずれ

失敗 戻る場所
関数の定義域を無視した 実際に取り得るxの範囲
グラフ上の点を数字としてしか見なかった 横軸・縦軸の数量名と場面
求めるものが長さか面積かを取り違えた 問い、単位、答え方
計算は合っているが単位を書かなかった 最終的な答えの形式
解法は合っているが、使える根拠を書かなかった 「この条件があるため」の一文
難しそうな方法を選んだ 目的へ最も自然につながる方法
解答例と違うため、自分の方法をすぐ消した 条件、根拠、確認がそろっているか

どこでずれた?文章題の誤答カルテ・中3版

この章で分かること:「中3の文章題が全部分からない」とまとめず、どこまでできていたかと、戻る地点を記録できます。

分類 確認すること
問いのずれ 最後に求めるもの、単位、答え方を取り違えていないか
条件の見落とし 必要な文、記号、範囲を読み飛ばしていないか
条件の追加 図の見た目から、書かれていない条件を足していないか
条件を使う順番のずれ あとで使う条件を、最初の式へ無理に入れていないか
前の小問との接続不足 前の結果へ意味と使い道を付けたか
解法選択のずれ 方法を使える根拠が条件にあるか
式や図への変換のずれ 文字、対応する辺、表の軸の意味が途中で変わっていないか
計算ミス 符号、展開、因数分解、平方根、比の計算が合うか
解の選択のずれ 各解が場面の条件、範囲、大小関係に合うか
答え方のずれ 単位、概数、理由、求められた項目をそろえたか
根拠説明の不足 なぜ相似、三平方、二次方程式、関数を使えるか書いたか
現実確認の不足 長さ、人数、時間、面積として成立するか

誤答カルテを書くときは、原因から始めず、最初にできていたことを残します。

できていたこと:

最初にずれた条件:

選んだ方法:

ずれが広がった場所:

次回戻る場所:

例えば、次のように書けます。

できていたこと:二次方程式の立式と因数分解はできた。

最初にずれた条件:xが縦の長さであることへ解を戻さなかった。

選んだ方法:二次方程式。

ずれが広がった場所:-12cmも答えに書いた。

次回戻る場所:二つの解を単位付きの言葉で読む。

これなら、「二次方程式が全部分からない」とはなりません。

計算までできていたことと、解の選択で止まったことを分けて残せます。

中3文章題の間違いを、できていたこと、最初にずれた条件、選んだ方法、次回戻る場所に分ける誤答カルテ

今日できる最小行動|三列だけ書く

この章で分かること:式を作れない日でも、条件から解法を選ぶための最初の一歩を実行できます。

問題集や学校のプリントから、文章題を一問だけ選んでください。

今日は、まだ解法を一つに決めなくても構いません。

次の三列だけを書きます。

条件:

目的:

使えそうな道具:

長方形の問題なら、次のようになります。

条件:

・横は縦より5cm長い

・面積は84cm²

・長さは正の値

 

目的:

・縦と横の長さ

 

使えそうな道具:

・文字式

・長方形の面積

・二次方程式

ここまで書けたら、文章題の大切な部分へ進んでいます。

ほかに選べる小さな行動は、次のとおりです。

  • 条件へ①②③と番号を付ける
  • 今使う条件へ○を付ける
  • 前の小問の答えへ名前を付ける
  • 解法候補を二つまで書く
  • 使える根拠を一文で書く
  • 二つの解を問題文へ戻す

本番では大きな表を書かなくてもよい

定期テストや入試形式の問題で、大きな三列表を書く時間がない場合は、問題用紙の余白へ短縮して残します。

目的:DE

①直角 ✓

②平行 ○

(1)BC=10 あとで使う

候補:相似/三平方

頭の中だけで整理しようとせず、短い言葉を外へ出すことが目的です。

ここで記事を閉じても大丈夫です。

今日の一問で「条件・目的・道具」の三列を書けば、一つ行動を持ち帰れます。

その場で一問やってみる|文章題を三回見る・中3版

この章で分かること:解く前、解法を選ぶ前、答えが出たあとに確認する場所が分かります。

1回目|解く前に見る

  • 最終的に何を求めるか
  • 条件はいくつありそうか
  • 図、表、式の記号は何を表すか
  • 小問はどのようにつながっていそうか
  • 答えの単位や形式は何か

2回目|解法を選ぶ前に見る

  • 今使う条件はどれか
  • あとで使う条件はどれか
  • 前の小問から使えるものは何か
  • 使えそうな方法は何か
  • その方法を使える根拠はあるか
  • 図の見た目だけで判断していないか
  • もっと単純で、意味を説明しやすい方法はないか

3回目|答えが出たあとに見る

  • すべての条件に合うか
  • 二つの解のうち、場面に合うものを選んだか
  • 使わない解の理由を説明できるか
  • 定義域や図形の成立条件に合うか
  • 単位と答え方は合うか
  • 問いで求められた内容をすべて答えたか
  • 選んだ方法を一文で説明できるか

すべてを毎回行う必要はありません。

今日は「今使う条件」だけ、次の一問では「二つの解の意味」だけという進め方でも構いません。

中1版の三回見る方法から確認したい場合は、次の記事へ戻れます。

中1記事|その場で一問やってみる・文章題を三回見る

中3文章題を解く前、解法を選ぶ前、答えが出たあとに三回確認する場所をまとめた図

AIを使うなら、答えではなく解法選択の根拠を質問する

この章で分かること:自分で条件と解法を選ぶ部分を残しながら、AIを質問役として使う方法が分かります。

AIへ文章題を入力すると、式や答えをすぐ表示することがあります。

しかし、この記事で育てたいのは、本人が条件を整理し、方法を選ぶ力です。

AIを使う場合は、答えを出す係ではなく、条件へ戻す質問役として使います。

条件を整理したいとき

答えと式はまだ出さず、問題文に書かれた条件を一つずつ私に質問してください。書かれていない条件を足していないかも確認してください。

解法候補を考えたいとき

解法を決めず、使えそうな考え方を二つまで質問で引き出してください。それぞれを使える根拠を私が答えるまで、解き始めないでください。

二つの解を確認したいとき

どちらを使うか先に言わず、それぞれの解が問題文では何を表すか、条件に合うかを私に質問してください。

小問のつながりを確認したいとき

前の小問で分かったことへ名前を付け、それが次の小問のどこで使えそうか、答えを言わずに質問してください。

図形の根拠を確認したいとき

図の見た目ではなく、文章・記号・前の小問から使える条件だけを私に確認させてください。

AIは、数式、符号、単位、図形の対応、計算を誤ることがあります。

教科書、学校の解答、先生の説明などでも確認してください。

名前、学校名、成績表、友達の情報などの個人情報は入力しないようにします。

学校や家庭のルール、利用するサービスの年齢条件や利用条件も確認してください。

7日間で、条件から解法を選ぶ順番を一度練習する

この章で分かること:条件整理から答えの確認までを、一日一つずつ試せます。

この7日間は、「7日間で入試問題を克服する計画」ではありません。

条件から解法を選ぶ順番を、一度ずつ練習する期間です。

練習すること できた印
1日目 問いと、書かれている条件をすべて書き出す
2日目 条件へ①②③と番号を付ける
3日目 条件・目的・使えそうな道具を三列に分ける
4日目 「この条件があるため、この方法を使う」と一文で書く
5日目 二次方程式の二つの解を場面へ戻す
6日目 小問の結果へ意味と次の使い道を付ける
7日目 複合問題を一問、最初から最後まで確認する

毎日違う問題を解く必要はありません。

同じ一問を使い、見る場所だけを変えても構いません。

できなかった日があっても、翌日に全部をまとめて行う必要はありません。

止まった場所から、一つだけ再開します。

周りの大人が声をかけるなら、公式より条件を質問する

この章で分かること:保護者や先生が、答えや公式を先に教えず、本人が戻る場所を見つける質問を選べます。

子どもが文章題で止まると、「どの公式を使うの?」と聞きたくなることがあります。

すぐに方法を教えることが必要な場面もあります。

自分で見る練習を残したい場合は、今止まっている場所に合う質問を一つ選びます。

  • 最後に何を求める問題かな。
  • 書かれている条件は何個ありそうかな。
  • 今使えそうな条件はどれかな。
  • その方法を使える根拠はどこにあるかな。
  • 前の小問で何が分かったかな。
  • その答えは、長さ、比、式、性質のどれかな。
  • 二つの解は、それぞれ何を表しているかな。
  • 図に本当に書かれている条件はどれかな。
  • 答えを元の条件へ戻すと合うかな。

一度に多く尋ねると、別の負担になることがあります。

答えを聞き出すのではなく、本人が止まっている場所に合う質問を一つだけ選びます。

条件から方法を選ぶ力は、ほかの教科と高校以降にもつながる

この章で分かること:中3で作った文章題の戻り方が、ほかの学習でどのように生かせるかが分かります。

教科・場面 つながる見方
理科 複数の条件と法則から、今使う関係を選ぶ
社会 複数資料の中から、問いに必要な根拠を選ぶ
国語 設問に合う根拠を本文から選び、理由を説明する
英語 人物、時系列、条件を整理して内容を判断する
技術・家庭 安全、予算、量など複数の条件を満たす方法を選ぶ
高校の学習 単元名が示されない問題で、条件から方法を選ぶ

もちろん、教科ごとに必要な知識や考え方は違います。

すべての教科を同じ読み方だけで解けるわけではありません。

共通して使えるのは、次のような学習の土台です。

  • 問いを確認する
  • 必要な条件を選ぶ
  • 条件の役割を分ける
  • 使う方法の根拠を確認する
  • 出た結果を元の場面へ戻す

高校以降へ残したいもの

中3で残したいものは、覚えた公式の数だけではありません。

  • 条件を整理する
  • 条件の役割を分ける
  • 解法候補を比べる
  • 使える根拠を確認する
  • 数式上の答えを場面へ戻す
  • 前の結果を次へ渡す
  • 選んだ理由を説明する

高校数学では、単元をまたぐ問題や、条件の多い問題も増えていきます。

しかし、中3ですべてを完成させる必要はありません。

中3で一度作った戻り道が、高校で迷ったときにも使えます。

保存用|中3の文章題を見る最終チェック

この章で分かること:解く前、解法を選ぶ前、答えが出たあとに見る場所を、短いチェック表で確認できます。

解く前

  • □ 何を求めるか確認した
  • □ 条件へ番号を付けた
  • □ 図や記号の意味を確認した
  • □ 小問がある場合、前の結果を残した

解法を選ぶ前

  • □ 今使う条件を選んだ
  • □ あとで使う条件を分けた
  • □ 解法候補を書いた
  • □ その方法を使える根拠を確認した
  • □ 図の見た目だけで判断していない

答えが出たあと

  • □ 解を問題の場面へ戻した
  • □ 解が複数ある場合、使わない解の理由を確認した
  • □ 元の条件をすべて満たした
  • □ 単位と答え方を確認した
  • □ 問いで求められた内容をすべて答えた
  • □ 選んだ方法を一文で説明できる

中3の文章題で解く前、解法を選ぶ前、答えが出たあとに確認する保存用最終チェック

次に読む記事|今の止まり方から選ぶ

この章で分かること:中1・中2のどこへ戻るとよいかを、今の止まり方から選べます。

問い・数字・一つの関係から確認したい場合

次のような場合は、中1記事の必要な章へ戻ります。

  • 何を求める問題か分からない
  • 数字が誰や何を表すか分からない
  • 必要な情報と使わない情報を分けられない
  • 文章を図、表、矢印へ変えられない
  • 式を日本語へ戻せない

中1の文章題で式が作れない人へ|問い・数字・関係を見る順番

xとy・二つの条件から確認したい場合

次のような場合は、中2記事へ戻ります。

  • xとyの意味が途中で分からなくなる
  • 条件を二つに分けられない
  • 同じ条件の式を二本作ってしまう
  • 人物や区間が混ざる
  • 一次関数の文章、表、式、グラフがつながらない

中2の文章題で式が作れない人へ|xとy・二つの条件を組み立てる順番

まとめ|使える公式を探す前に、使える条件を確認しよう

中3の文章題では、長い問題文、三つ以上の条件、複数の解法、小問のつながりが出てきます。

だからといって、すべての条件を最初から一度に使う必要はありません。

まずは、次の三つを分けます。

  • 条件
  • 目的
  • 使えそうな道具

方法に迷う場合は、解法候補を二つまで考えます。

そして、次の一文を作ります。

この条件があり、この目的へ進みたいので、この方法を使う。

答えが出たら、数式の中だけで終わらせません。

  • 二つの解は何を表すか
  • 長さや人数として成立するか
  • 定義域に合うか
  • 図形の条件を満たすか
  • 前の小問の結果を正しく受け取ったか

を問題文へ戻して確認します。

文章題を見る力の本質は、公式名を早く当てることだけではありません。

書かれている条件と目的を捉え、その関係を崩さない方法を、自分で選ぶことです。

中3で文章題を見る力が完成するわけではありません。

それでも、条件を分け、根拠を確かめ、答えを場面へ戻す習慣を一度作っておけば、高校以降に迷ったときも戻る場所を見つけやすくなります。

もこあい先生より:

「今日の“なんで?”を大切にしよう。正解より、考えた道のりが宝もの。」

参考文献・出典

記事内の例題、答案例、会話、図形問題は、この記事の説明用に作成したオリジナルです。

訂正・追記履歴

  • 2026年8月6日:初稿を作成。中1・中2記事の公開内容を確認し、3年間ロードマップ、内部リンク、二次方程式・関数y=ax²・相似・三平方の定理・小問誘導の例を追加しました。