中2の文章題で式が作れない人へ|xとy・二つの条件を組み立てる順番
計算だけならできるのに、文章題になると式を一本しか作れない。
xとyを置いたけれど、途中でどちらが何を表していたのか分からなくなる。
一次関数の表は埋められるのに、式やグラフとどうつながっているのか説明できない。
そんなところで止まっていませんか。
中学1年生の文章題では、問い、数字、単位、主語、数量どうしの関係を一つずつ見つけてきました。
中学2年生になると、その基礎の上に、次のようなものが増えていきます。
- 二つの未知数
- 二つ以上の条件
- 複数の人物や物
- 行きと帰りなどの複数の区間
- 文章・表・式・グラフの対応
数学が突然、まったく別のものになるわけではありません。
見るものが増えたので、一度に考えず、一つずつ分ける必要があるのです。
この記事では、文章題を読んだあと、すぐ連立方程式や一次関数の形へ当てはめるのではなく、次の順番で整理します。
- 問いで求められた内容をすべて答えた
xとyへ数量名と単位を付ける- 条件1と条件2を言葉で分ける
- 二つが別の条件か確認する
- 表・図・式・グラフへ整理する
- 式と答えを文章へ戻す
式を二本作ることが、文章題の目的ではありません。
文章の中にある別々の二つの関係を整理すると、結果として二本の式になります。
型や公式を使わないようにする必要はありません。
文章から見つけた関係を、崩さず、分かりやすく保存する道具として使っていきましょう。
- どこで止まる?中2文章題の簡易診断
- 文章題を見る力の3年間ロードマップ
- 中1の基礎から中2へ、文章題の何が増えるのか
- 文章を読まずに型へ急ぐと起きる、中2特有の8つのずれ
- 二つの未知数を区別する|xとyの意味を最後まで変えない
- 二つの条件を「条件1」「条件2」に分けて書く
- 式が二本あるだけでは足りない|二つの条件が別の内容か確かめる
- 小さな文字設定のずれが、自信のある誤答になるまで
- 文章を確認するだけで進めた、中2文章題の5つの例
- 二つの条件を組み立てる基本手順|5つの窓を10の行動へ広げる
- 一問を最初から最後まで完全分解する|大人券と中学生券
- 速さの文章題は、公式の前に人物と区間を分ける
- 中2文章題のもったいない失敗例
- どこでずれた?文章題の誤答カルテ・中2版
- 一次関数では、何に伴って何が変わるかを見る
- 一次関数の文章題を完全分解する|利用時間と料金
- 文章・表・式・グラフを往復して、同じ関係を確かめる
- 今日できる最小行動|二つの条件を二行で書く
- その場で一問やってみる|文章題を三回見る・中2版
- AIを使うなら、答えではなく二つの条件を確認する
- 7日間で、二つの条件を組み立てる順番を一度練習する
- 周りの大人が声をかけるなら、答えより二つの関係を質問する
- 複数の条件を見る力は、数学以外の教科にもつながる
- 中2で身に付けた「条件を組み立てる力」は高校以降にも残る
- 保存用|中2の文章題を見る最終チェック
- 次に読む記事|今の止まり方から選ぶ
- まとめ|式を二本作る前に、二つの関係を見つけよう
- 参考文献・出典
- 訂正・追記履歴
どこで止まる?中2文章題の簡易診断
この章で分かること:自分が文字設定、条件探し、表・式・グラフのどこで止まっているかを確認し、先に読む章を選べます。
最初から記事をすべて読む必要はありません。
今の自分にいちばん近い状態を、次の表から探してみてください。
| 今の止まり方 | 起きているかもしれないこと | 先に読む章 |
|---|---|---|
xとyに何を置けばよいか分からない |
二つの数量へ名前と単位が付いていない | 二つの未知数を区別する |
| 式を一本しか作れない | 条件を一つしか拾っていない | 条件1と条件2に分ける |
| 式を二本作ったが、同じような式になる | 同じ条件を言い換えたり、倍にしたりしている | 二つの条件が別の内容か確かめる |
| 人数の式は作れるが、代金の式が作れない | 個数・1個の値段・代金の役割が混ざっている | 入場券問題を完全分解する |
一次関数のaとbの意味が分からない |
式を文章の場面へ戻していない | 何に伴って何が変わるかを見る |
| 表は埋められるが、式にできない | 横方向の変化を言葉にしていない | 文章・表・式・グラフを往復する |
| 速さの問題で人物や区間が混ざる | 時間の流れや速さが変わる場所で分けていない | 速さの問題は区間を分ける |
| 解説を見ると分かるが、自力では関係を見つけられない | 条件を切り分ける自分の手順がまだ定まっていない | 二つの条件を組み立てる10の行動 |
| どこで間違えたのか分からない | 文字・条件・計算・答えを一つにまとめている | 文章題の誤答カルテ・中2版 |
二つ以上当てはまっても大丈夫です。
この診断は、「あなたはこのタイプ」と決めるためのものではありません。
分からなくなったときに、どこへ戻るかを決める案内図です。
文章題を見る力の3年間ロードマップ
この章で分かること:中1・中2・中3で育てる力の違いと、現在取り組んでいる場所が分かります。
| 記事 | 中心となる力 | 主に扱う内容 |
|---|---|---|
| 第1記事|中1 | 問い・数字・関係を見つける | 主語、単位、基準、変化、図表化、数量関係、式と日本語の往復 |
| 第2記事|中2・現在地 | 二つ以上の条件を組み立てる | 二つの未知数、独立した条件、連立方程式、一次関数、複数区間 |
| 第3記事|中3・公開済み | 条件から解法を選ぶ | 長い問題文、複合問題、入試問題、複数の解法候補 |
中1では、文章題に書かれた材料を一つずつ見つけました。
中2では、見つけた材料を、二つ以上の関係として組み立てます。
中3では、さらに増えた条件の中から必要なものを選び、使う解法を判断します。
条件が増えた問題で、どれから使うか、どの解法を選ぶか迷う場合は、中3記事へ進んでください。
中3の文章題で解き方が分からない人へ|条件から解法を選ぶ順番
問い、数字、主語、単位、数量関係を見る基礎から確認したい場合は、次の記事へ戻れます。
中1記事「文章題を見る基本手順|5つの窓から確認する」へ戻る
第1部|二つに増えたものを、一つずつ分ける
中1の基礎から中2へ、文章題の何が増えるのか
この章で分かること:中2で増えた作業を分けて考えればよいことが分かります。
| 中1で中心だったこと | 中2で増えること |
|---|---|
| 一つの未知数 | 二つの未知数 |
| 一つの等しい関係 | 二つの独立した条件 |
| 主に一つの式 | 主に二本の式 |
| 一人・一種類・一つの変化 | 複数の人物・物・区間・変化 |
| 文章から式へ進む | 文章・表・式・グラフを行き来する |
| 一つの答えを確認する | 二つの答えや、二つの量の関係を確認する |
中2では、文章を読む力が急に別の力へ変わるわけではありません。
中1で使った次の「5つの窓」は、そのまま使えます。
- 問い
- 材料
- 関係
- 表現
- 確認
ただし、中2では、それぞれの窓から見るものが二つ以上になります。
- 問い:何を二つ求めるのか
- 材料:どの数字が、どちらの数量に関係するのか
- 関係:条件1と条件2は何か
- 表現:二本の式、表、グラフへどう表すか
- 確認:二つの答えと二つの条件が合うか
中1記事で詳しく扱った「何を求めるか」「数字へ意味を付ける」「式を日本語へ戻す」といった基礎は、この記事では必要な場面で短く確認します。
文章を読まずに型へ急ぐと起きる、中2特有の8つのずれ
この章で分かること:連立方程式や一次関数で止まる原因が、計算力だけではないことが分かります。
| 型へ急いだときのずれ | 起きやすいこと |
|---|---|
1.連立方程式だから、先にxとyを置く |
何の数量を文字にしたのか曖昧になる |
| 2.文章を読む前に式を二本作ろうとする | 数字を組み合わせただけの式になる |
| 3.同じ条件を言い換えて二本にする | 二本の式があっても、一組の答えに決まらない |
4.xとyの意味を途中で入れ替える |
式ごとに文字の意味が変わる |
5.一次関数だからy=ax+bを先に書く |
aとbへ数字を当てはめるだけになる |
| 6.表の空欄を埋めることが目的になる | 数字の増え方を式へつなげられない |
| 7.グラフの交点を数字としてしか見ない | 何と何が同じになる点なのか説明できない |
| 8.速さの表を形式だけ真似する | 人物・区間・休憩・時間が同じ欄へ混ざる |
悪もこあい先生:
「連立方程式の単元なのだから、とにかく式を二本作ればいい!」
「一次関数なら、最初に
y=ax+bと書いて、数字を入れればいい!」
もこあい先生:
式の形は、文章を読む代わりではありません。
文章から見つけた関係を、崩さず整理するための形です。
型には、答案を整えたり、計算を進めやすくしたりする大切な役割があります。
問題なのは型そのものではなく、型を選ぶ前に必要だった「誰の数量か」「どのような関係か」という確認まで省いてしまうことです。
二つの未知数を区別する|xとyの意味を最後まで変えない
この章で分かること:xとyへ何を置き、途中で意味を失わない方法が分かります。
「xとyを使う」より先に、求める二つの数量を書く
次のような問題を考えます。
大人と中学生が合わせて18人、科学館へ入場しました。大人と中学生は、それぞれ何人でしたか。
まだ人数を求めるための条件は足りませんが、問いから次の二つを確認できます。
- 求めるもの1:大人の人数
- 求めるもの2:中学生の人数
ここまで確認してから文字を置きます。
x人=大人の人数
y人=中学生の人数
「x=大人」「y=中学生」とだけ書くと、文字が人物そのものを表しているように見えます。
今回、文字が表しているのは、人物ではなく人数です。
xとyへ「数量名」と「単位」の名札を付ける
| 文字 | 数量名 | 単位 |
|---|---|---|
x |
大人の人数 | 人 |
y |
中学生の人数 | 人 |
計算を始めたあとも、紙の端へこの名札を残しておきます。
式が長くなったり、途中で移項したりしても、xとyが何を表しているかへ戻れます。
中1記事で、文字へ数量名と単位を付ける基本を確認したい場合は、次の記事の「xにも名前と単位を付ける」を参照してください。
xとyの意味を途中で入れ替える失敗
最初に次のように決めたとします。
x人=大人の人数
y人=中学生の人数
人数の合計について、次の式を作りました。
x+y=18
ここまでは問題ありません。
ところが、代金の式を作るときに、次のように考えました。
中学生は1人500円だから、
500x
最初に決めたxは、大人の人数です。
代金の式だけ、xを中学生の人数として使うと、二本の式の中で文字の意味が変わってしまいます。
このずれは、加減法や代入法の計算練習では直りません。
戻る場所は、最初に書いた文字の名札です。
求めたいものと、式を作りやすいものは同じとは限らない
基本的には、問題で求められている二つの数量を、そのままxとyにすると整理しやすくなります。
ただし、文字の置き方は一つとは限りません。
例えば、大人と中学生が合わせて18人なら、大人をx人としたとき、中学生を18-x人と表すこともできます。
| 文字の置き方 | 作られる式 | 特徴 |
|---|---|---|
大人をx人、中学生をy人 |
連立方程式 | 二つの数量を、そのまま別々に保てる |
大人をx人、中学生を18-x人 |
一元一次方程式 | 一方を全体から表し、文字を一つにできる |
連立方程式を使わなければ間違いなのではありません。
大切なのは、一度決めた文字の意味を最後まで変えず、文章の条件を正しく表せているかです。
二つの条件を「条件1」「条件2」に分けて書く
この章で分かること:長い問題文を、式を書く前に二行へ分ける方法が分かります。
中2の文章題では、文章を一度に式へ変えようとすると、条件が混ざりやすくなります。
最初に、文章の関係を次の二行へ分けます。
条件1:
条件2:
まだ式は書かなくても構いません。
条件になりやすい関係
- 人数の合計
- 個数の合計
- 代金の合計
- 距離の合計
- 全体にかかった時間
- 増える前と増えたあとの関係
- 減る前と減ったあとの関係
- 二人が進んだ距離が同じになる関係
- 二つの料金が同じになる関係
- 同じ数量を、別の方法で表した関係
二枚の条件カードへ分ける
次の問題を見てみましょう。
ノートとペンを合わせて10個買いました。ノートは1冊120円、ペンは1本70円で、代金は合わせて950円でした。
式の前に、条件を二枚のカードへ分けます。
条件カード1|個数について
ノートとペンは、合わせて10個。
条件カード2|代金について
ノートの代金とペンの代金は、合わせて950円。
二つの条件には、同じノートとペンが登場します。
しかし、一つ目は個数について、二つ目は代金についての条件です。
条件には主語と数量名を残す
次のように数字だけを抜き出すと、関係が見えにくくなります。
条件1:10
条件2:950
次のように書けば、何を合わせた数なのかが残ります。
条件1:ノートの冊数+ペンの本数=合計10個
条件2:ノート全部の代金+ペン全部の代金=合計950円
「合わせて」という言葉だけを見るのではなく、何と何を合わせたのかまで残します。
式が二本あるだけでは足りない|二つの条件が別の内容か確かめる
この章で分かること:同じ条件を言い換えた二本の式と、別々の情報を表した二本の式の違いが分かります。
連立方程式では、式を二本作ります。
ただし、二本あれば何でもよいわけではありません。
同じ条件を二本にした例
大人と中学生が合わせて18人という条件から、次の二本を作ったとします。
x+y=18
2x+2y=36
見た目は二本ですが、下の式は上の式を2倍しただけです。
どちらも、次の同じ内容を表しています。
大人と中学生を合わせると18人。
新しい手掛かりは増えていません。
一つの条件だけでは、答えが一組に決まらない
x+y=18だけなら、次の組はすべて条件を満たします。
大人x人 |
中学生y人 |
合計 |
|---|---|---|
| 1 | 17 | 18 |
| 5 | 13 | 18 |
| 8 | 10 | 18 |
| 12 | 6 | 18 |
| 17 | 1 | 18 |
人数の条件だけでは、どの組なのか決まりません。
そこで、代金についての別の条件が必要になります。
800x+500y=11400
この式は、人数ではなく入場料についての情報です。
二つの条件を同時に満たす組を探すことで、大人8人、中学生10人へ絞れます。
二本の式を確認する「別内容テスト」
二本の式ができたら、いったん式を日本語へ戻します。
| 式 | 日本語へ戻した内容 |
|---|---|
x+y=18 |
大人と中学生を合わせると18人 |
2x+2y=36 |
大人と中学生を合わせた数の2倍は36人 |
二つとも元は「合わせて18人」という同じ情報です。
一方、次の二本なら別の内容です。
| 式 | 日本語へ戻した内容 |
|---|---|
x+y=18 |
大人と中学生を合わせると18人 |
800x+500y=11400 |
大人と中学生の入場料を合わせると11400円 |
確認するときは、次の一言を使います。
一方の条件を隠しても、もう一方から別の新しい情報が残りますか。
ここでいう「独立した条件」とは、同じことを言い換えただけではない、別の手掛かりです。
中1記事で、式を日本語へ戻す基本から確認したい場合は、次の記事を参照してください。
中1記事「式を日本語へ戻し、途中結果と答えの意味を確認する」へ戻る
小さな文字設定のずれが、自信のある誤答になるまで
この章で分かること:xとyの曖昧さが、計算後の答えまでどのように広がるか分かります。
連立方程式で起きるずれの連鎖
xとyの意味を曖昧にする↓
人数の式では、
xを大人の人数として使う↓
代金の式では、
xを中学生の人数として使う↓
二本の式で文字の意味がずれる
↓
加減法の計算は正しく進む
↓
数値は出る
↓
何を求めた数字か分からなくなる
↓
本人は「連立方程式の計算が苦手」と考える
しかし、できていた部分もあります。
- 未知数が二つあることには気付いた
- 人数と代金の二条件にも気付いた
- 加減法の手順は実行できた
本当に戻る場所は、加減法の最初ではありません。
xとyへ付けた数量名と単位です。
一次関数で起きるずれの連鎖
一次関数だから、先に
y=ax+bを書く↓
何に伴って何が変わるかを見ない
↓
aとbへ数字を当てはめる↓
式が偶然合うことがある
↓
基本料金や変化量が少し変わると止まる
y=ax+bを使うことが問題なのではありません。
式を書く前に、次の二つが見えているかを確認します。
xが1増えると、yはいくつ変わるかxが0のとき、最初からあるyはいくつか
最初のずれが見つかれば、連立方程式や一次関数を全部最初から学び直す必要はありません。
ここまでの到達点
次の三つを書ければ、第2部へ進めます。
xとyが何を表すか- 条件1
- 条件2
まだ式を作れなくても大丈夫です。
第2部|二つの条件を、二本の式へ組み立てる
文章を確認するだけで進めた、中2文章題の5つの例
この章で分かること:新しい公式を覚えなくても、文字や条件へ戻るだけで進める場合があると分かります。
例1|xとyの意味を書き直したら式が作れた
問題:
ノートとペンを合わせて10個買いました。ノートは1冊120円、ペンは1本70円で、代金は950円でした。ノートとペンをそれぞれ何個買いましたか。
生徒の考え:
x+y=10は作れたけれど、代金の式で120と70のどちらへxを付けるか分からなくなった。
できていたこと:
- 未知数が二つあると分かった
- 個数の合計が10個だと分かった
- ノートとペンの値段を読み取れた
見落としていた条件:
条件を見落としたのではなく、xとyの意味を書いていませんでした。
ずれが広がった場所:
代金の式で、120xがノートの代金なのか、ペンの代金なのか分からなくなりました。
文章へ戻って直す方法:
x冊=ノートの冊数
y本=ペンの本数
と書けば、代金の式は次のようになります。
120x+70y=950
次回の一言チェック:
xとyは、何の数量で、単位は何ですか。
例2|人数の合計条件を使っていなかった
問題:
大人1人800円、中学生1人500円の科学館へ、合わせて18人で入場しました。入場料の合計は11400円でした。
生徒の考え:
800x+500y=11400は作れましたが、もう一本が作れませんでした。
できていたこと:
- 大人と中学生を文字で表そうとした
- 1人分の料金と人数を掛けられた
- 代金の合計条件を式にできた
見落とした条件:
「合わせて18人」という人数の合計です。
ずれが広がった場所:
代金の一条件だけで、大人と中学生の人数を決めようとしました。
文章へ戻って直す方法:
条件1:大人と中学生は、合わせて18人。
条件2:入場料は、合わせて11400円。
次回の一言チェック:
「合わせて」は、何と何の合計ですか。
例3|代金の合計を一文読み飛ばしていた
問題:
前の科学館の問題で、健太はx+y=18だけを作りました。
生徒の考え:
大人と中学生が合わせて18人だから、式はできた。
できていたこと:
- 人数の合計を正しく式にできた
- 二つの未知数を区別できた
見落とした条件:
「入場料の合計は11400円」という一文です。
ずれが広がった場所:
x+y=18を満たす組が複数あることに気付かず、適当な二数を選びそうになりました。
文章へ戻って直す方法:
人数とは別に、代金について書かれた文へ印を付けます。
次回の一言チェック:
人数以外に、もう一つの合計が書かれていませんか。
例4|グラフの切片が、最初からある料金だと分かった
問題:
利用時間を
x時間、料金をy円とすると、ある施設の料金はy=200x+300で表されます。
生徒の考え:
300が何の数字か分からない。グラフを描くために使う数字だと思った。
できていたこと:
xが時間、yが料金だと分かった- 利用時間が増えると料金も増えることを理解した
見落とした条件:
利用時間が0時間でも、基本料金300円がかかることです。
ずれが広がった場所:
グラフが原点を通ると思い、(0,0)から線を引きました。
文章へ戻って直す方法:
x=0を式へ入れます。
y=200×0+300=300
(0,300)は、利用していなくても基本料金が300円かかることを表します。
次回の一言チェック:
xが0のときにも残っている量は何ですか。
例5|行きと帰りを分けたら整理できた
問題:
家から公園まで、行きは時速3km、帰りは時速5kmで歩きました。公園で20分休み、家を出てから戻るまで3時間かかりました。
生徒の考え:
速さが二つ、時間も3時間と20分があり、全部を一つの式へ入れようとして止まった。
できていたこと:
- 行きと帰りで速さが違うと分かった
- 全体の時間が3時間だと読み取れた
- 休憩が20分あると分かった
見落とした条件:
休憩中は時間が進みますが、移動距離は増えません。
ずれが広がった場所:
3時間すべてを歩いた時間として使おうとしました。
文章へ戻って直す方法:
行きの移動
↓
20分休憩
↓
帰りの移動
と分けます。
次回の一言チェック:
速さが変わった場所と、動いていない時間を分けましたか。
二つの条件を組み立てる基本手順|5つの窓を10の行動へ広げる
この章で分かること:「文章をよく読む」を、二条件の問題で実行できる10の行動へ分けられます。
| 中1の5つの窓 | 中2の10の行動 |
|---|---|
| 1.問い | 1.何を二つ求めるか確認する |
| 2.材料 | 2.何をx、何をyにするか決める |
| 2.材料 | 3.文字の横へ数量名と単位を書く |
| 3.関係 | 4.条件1を言葉で書く |
| 3.関係 | 5.条件2を言葉で書く |
| 3.関係 | 6.二つが別の内容か確認する |
| 4.表現 | 7.人・物・区間を表や図へ整理する |
| 4.表現 | 8.二本の式を作る |
| 5.確認 | 9.二本の式を日本語へ戻す |
| 5.確認 | 10.答えを二条件と問いへ戻す |
手元の問題へ書く短縮版
求めるもの1:
求めるもの2:
x:
y:条件1:
条件2:
最初は、ここまでで構いません。
式を作れなくても、文章の中心部分はすでに整理できています。
中1記事の「5つの窓」を詳しく確認したい場合は、次の記事へ戻れます。
中1記事「文章題を見る基本手順|5つの窓から確認する」へ戻る
一問を最初から最後まで完全分解する|大人券と中学生券
この章で分かること:二つの未知数と二つの条件が、連立方程式になるまでの流れを一問で確認できます。
次の問題を、問いの確認から答えの確認まで分解します。
ある科学館の入場料は、大人1人800円、中学生1人500円です。
大人と中学生が合わせて18人入場し、入場料の合計は11400円でした。
大人と中学生は、それぞれ何人でしたか。
1.問いを確認する
- 求めるもの1:大人の人数
- 求めるもの2:中学生の人数
- 答えの単位:人
大人と中学生の両方を答える問題です。
2.登場するものを分ける
- 大人
- 中学生
- 入場した全員
- 大人の入場料
- 中学生の入場料
- 全員の入場料
3.二つの未知数を決める
x人=大人の人数
y人=中学生の人数
この名札は、計算が終わるまで紙の端へ残します。
4.数字へ意味と単位を付ける
| 数字 | 意味 | 単位 |
|---|---|---|
| 800 | 大人1人の入場料 | 円/人 |
| 500 | 中学生1人の入場料 | 円/人 |
| 18 | 大人と中学生を合わせた人数 | 人 |
| 11400 | 全員の入場料 | 円 |
5.条件1を文章で書く
条件1|人数について
大人の人数と中学生の人数を合わせると18人になる。
6.条件2を文章で書く
条件2|代金について
大人全員の入場料と中学生全員の入場料を合わせると11400円になる。
7.二つの条件が別の内容か確認する
- 条件1は人数について
- 条件2は代金について
同じ条件を言い換えたものではありません。
8.表へ整理する
| 種類 | 1人の料金 | 人数 | 料金の合計 |
|---|---|---|---|
| 大人 | 800円 | x人 |
800x円 |
| 中学生 | 500円 | y人 |
500y円 |
| 合計 | ― | 18人 | 11400円 |
表は、数字を入れるためだけの枠ではありません。
縦に見ると、大人・中学生・合計を比べられます。
横に見ると、1人の料金×人数=その種類の代金、という関係が見えます。
9.二本の式を作る
人数の条件から、
x+y=18
代金の条件から、
800x+500y=11400
となります。
10.二本の式を日本語へ戻す
x+y=18
大人
x人と中学生y人を合わせると18人になる。
800x+500y=11400
大人
x人分の入場料と、中学生y人分の入場料を合わせると11400円になる。
二本を日本語へ戻しても、別々の内容が残っています。
11.連立方程式を解く
二本の式を並べます。
x+y=18
800x+500y=11400
一つ目の式を500倍します。
500x+500y=9000
代金の式との差を取ります。
300x=2400
x=8
x+y=18へ戻すと、
8+y=18
y=10
となります。
12.出た数値へ名前を戻す
| 結果 | 表しているもの |
|---|---|
x=8 |
大人の人数は8人 |
y=10 |
中学生の人数は10人 |
「8と10」だけで終わらず、最初に決めた文字の名札へ戻します。
13.元の二つの条件へ戻して確認する
人数の条件:
8+10=18
大人と中学生を合わせると18人になります。
代金の条件:
800×8+500×10
=6400+5000
=11400
入場料の合計も11400円になります。
14.問いへ戻して答える
問いは、大人と中学生がそれぞれ何人かでした。
答え:大人は8人、中学生は10人
15.別の文字の置き方や別解を確認する
大人の人数だけをx人とすれば、中学生は18-x人と表せます。
代金の条件は、次の一元一次方程式になります。
800x+500(18-x)=11400
この式を解いても、大人8人、中学生10人になります。
連立方程式と一元一次方程式では、式の形が違います。
しかし、使っている二つの条件は同じです。
連立方程式を作ること自体が目的ではありません。
二つの数量と二つの関係を、そのまま保って整理した結果として連立方程式になります。
速さの文章題は、公式の前に人物と区間を分ける
この章で分かること:行き・帰り・休憩・二人の移動を、一つの表へ混ぜない方法が分かります。
速さの問題では、速さ×時間=距離という関係を使います。
ただし、公式を知っていても、人物や区間が混ざると、どの速さと時間を組み合わせるのか分からなくなります。
速さの問題で最初に分けるもの
- 誰が動くか
- どこからどこまで動くか
- 速さが変わる場所はどこか
- それぞれ何分・何時間動いたか
- 休憩していた時間はあるか
- どの距離や時刻が同じになるか
行き・休憩・帰りを分ける
家から公園まで、行きは時速3km、帰りは時速5kmで歩きました。
公園で20分休み、家を出てから戻るまで3時間かかりました。
家から公園までの距離を求めなさい。
時間の流れを分けます。
| 時間の流れ | 種類 | 速さ・時間 |
|---|---|---|
| 家から公園 | 移動区間 | 時速3km |
| 公園 | 出来事 | 20分休憩 |
| 公園から家 | 移動区間 | 時速5km |
休憩中も時間は進みますが、移動距離は増えません。
全体3時間から休憩20分を除くと、実際に歩いた時間は2時間40分です。
家から公園までの距離をxkmとします。
- 行きの時間:
x÷3時間 - 帰りの時間:
x÷5時間
歩いた時間の合計は2時間40分、つまり8/3時間です。
x/3+x/5=8/3
両辺を15倍すると、
5x+3x=40
8x=40
x=5
したがって、家から公園までの距離は5kmです。
どこが同じになるかを見る
行きと帰りでは、速さと時間が違います。
しかし、家から公園までの距離と、公園から家までの距離は同じです。
行きの距離=帰りの距離=5km
速さの問題では、「どこが違うか」だけでなく、どの数量が同じになるかを見ると整理しやすくなります。
複数区間の代表的な場面
| 場面 | 最初に分けるもの |
|---|---|
| 行きと帰り | 往路と復路 |
| 途中で速さが変わる | 速さが変わる前と後 |
| 一人が先に出発する | それぞれの出発時刻と移動時間 |
| 休憩をはさむ | 移動時間と休憩時間 |
| 二人が別々に動く | 人物ごとの速さ・時間・距離 |
表の形を毎回同じにする必要はありません。
- 人や物を比べるなら表
- 時間の順番を見るなら時間軸
- 距離の区切りを見るなら線分図
自分が文章へ戻れる形を選びます。
時間の流れを矢印へ変える基本は、中1記事でも確認できます。
中2文章題のもったいない失敗例
この章で分かること:途中までできている答案の、直す場所だけを確認できます。
失敗1|xとyを途中で入れ替えた
できていたこと:二つの未知数を使い、二本の式を作ろうとしている。
ずれた場所:人数の式と代金の式で、xの意味が変わった。
本当に直す場所:計算ではなく、最初の文字設定。
次回の確認:最初に書いたxとyの名札は変わっていませんか。
失敗2|条件を一つしか使わなかった
できていたこと:人数や個数の合計を正しく式にできた。
ずれた場所:代金・時間・距離など、もう一つの条件を式にしていない。
本当に直す場所:問題文の数字ではなく、条件2。
次回の確認:まだ式にしていない条件が残っていませんか。
失敗3|同じ条件の式を二本作った
できていたこと:式を二本用意する必要があると分かっていた。
ずれた場所:一つ目の式を倍にしただけで、新しい情報を使っていない。
本当に直す場所:式の本数ではなく、条件の内容。
次回の確認:二本の式を日本語へ戻すと、別の内容になりますか。
失敗4|単位の違う数量を同じ式へ入れた
できていたこと:時間に関係する数字を拾えた。
ずれた場所:30分と2時間を、そのまま30+2として扱った。
本当に直す場所:足し算ではなく、単位の統一。
次回の確認:分と時間を、どちらか一方へそろえましたか。
失敗5|人数と代金を同じ列へ入れた
できていたこと:問題文を表へ整理しようとした。
ずれた場所:人数と円を同じ列に並べた。
本当に直す場所:表の縦と横に、数量名と単位を書く。
次回の確認:この列には何の数量が入り、単位は何ですか。
失敗6|一次関数の切片を無視した
できていたこと:1増えるごとの変化量を見つけた。
ずれた場所:最初からある基本料金や初期値を式へ入れていない。
本当に直す場所:x=0のときのy。
次回の確認:xが0のとき、yはいくつですか。
失敗7|グラフの交点の意味を書かなかった
できていたこと:二直線の交点の座標を求められた。
ずれた場所:座標を問題の場面へ戻していない。
本当に直す場所:横軸と縦軸の数量名。
次回の確認:その点では、何と何が同じになりますか。
失敗8|解は出たが、xとyを逆に答えた
できていたこと:立式と計算は最後まで正しくできた。
ずれた場所:数値を文字の名札へ戻さず、順番だけで答えた。
本当に直す場所:最初の文字設定と最後の答えの対応。
次回の確認:xとyは、最初に何と決めましたか。
失敗9|負の人数や小数の個数をそのまま答えた
できていたこと:式を最後まで解き、数値を出せた。
ずれた場所:結果が問題の場面で成り立つか確認していない。
本当に直す場所:立式・計算の再確認と、現実の条件。
次回の確認:人数や個数として、その値はあり得ますか。
人数や個数を求める問題では、通常、0以上の整数になる必要があります。
負の数や小数になった場合は、符号、単位、文字設定、条件の読み取りを順に確認します。
どこでずれた?文章題の誤答カルテ・中2版
この章で分かること:誤答を「文章題が全部できなかった」と考えず、九つの地点へ分けられます。
| 確認地点 | よくあるずれ | 確認の一言 |
|---|---|---|
| 1.問い | 一方しか答えていない | 何を二つ求めますか。 |
| 2.文字設定 | xとyの意味が曖昧 |
xとyは何の数量ですか。 |
| 3.条件1 | 人数・個数などの合計を見落とした | 一つ目の関係は何ですか。 |
| 4.条件2 | 代金・時間・距離などを見落とした | もう一つの関係は何ですか。 |
| 5.条件の重複 | 同じ条件を言い換えて二本にした | 日本語へ戻すと別の内容ですか。 |
| 6.表と式 | 表の数量と式の項が対応しない | この項は表のどこを表しますか。 |
| 7.計算 | 立式後の符号・移項・計算でずれた | 式を作るところまでは合っていますか。 |
| 8.答え方 | xとyを逆に答えた |
数値へ数量名を戻しましたか。 |
| 9.現実確認 | 人数が負、小数、全体より多い | 問題の場面であり得る値ですか。 |
できた場所にも印を付ける
| 確認地点 | できた | 戻る |
|---|---|---|
| 問いを二つ確認した | □ | □ |
xとyへ名前を付けた |
□ | □ |
| 条件1を見つけた | □ | □ |
| 条件2を見つけた | □ | □ |
| 二つが別の条件だと確認した | □ | □ |
| 表へ整理した | □ | □ |
| 式を日本語へ戻した | □ | □ |
| 二つの条件へ代入した | □ | □ |
例えば、式は正しく作れたものの、最後に大人と中学生を逆に答えた場合、文章題全体が分からなかったわけではありません。
- 問い:できていた
- 文字設定:できていた
- 条件1:できていた
- 条件2:できていた
- 立式:できていた
- 計算:できていた
- 答え方:ここへ戻る
できていた場所を残すと、次に直す範囲が小さくなります。
ここまでの到達点
- 二本の式を日本語へ戻せる
- 二つが別の条件だと説明できる
- 答えを元の二つの条件へ代入できる
第3部|表・式・グラフを往復する
一次関数では、何に伴って何が変わるかを見る
この章で分かること:y=ax+bを書く前に、文章中の変化を見つけられます。
一次関数の文章題を見ると、すぐy=ax+bを書きたくなることがあります。
しかし、先に確認したいのは式の形ではなく、次の五つです。
- 何が変わるか
- 何に伴って変わるか
- 一方が1増えると、もう一方はいくつ変わるか
- 最初からある量は何か
xとyの単位は何か
aは、1増えるごとの変化
y=ax+bのaは、xが1増えたときに、yがどれだけ変わるかを表します。
料金の問題で、利用時間が1時間増えるごとに料金が200円増えるなら、
a=200
です。
数字だけでなく、文章へ戻すと次の意味があります。
利用時間が1時間増えるごとに、料金が200円増える。
単位を付ければ、200円/時間です。
bは、x=0のときのyの値
bは、x=0のときのyです。
利用していなくても基本料金300円がかかるなら、
b=300
です。
aとbも、式へ入れるだけの数字ではありません。文章中の変化と、最初の状態を表しています。
変わるもの・変わらないものを見る基本は、中1記事でも確認できます。
中1記事「変わるもの・変わらないものを見て、数量関係を一文にする」へ戻る
一次関数の文章題を完全分解する|利用時間と料金
この章で分かること:文章・表・式・グラフが、同じ料金関係をどのように表しているか分かります。
ある学習スペースのAプランは、基本料金が300円で、利用1時間につき200円かかります。
利用時間を
x時間、料金をy円として、xとyの関係を考えます。
1.xとyの意味と単位
| 文字 | 数量名 | 単位 |
|---|---|---|
x |
利用時間 | 時間 |
y |
料金 | 円 |
2.何に伴って何が変わるか
利用時間xが増えることに伴って、料金yが増えます。
時間と料金を逆にしないよう、次の一文を作ります。
利用時間が増えると、それに伴って料金が増える。
3.1増えるごとの変化
利用時間が1時間増えるごとに、料金は200円増えます。
したがって、変化の割合は、
a=200
です。
4.最初の値
利用時間が0時間でも、基本料金300円がかかります。
したがって、
b=300
です。
5.表へ整理する
利用時間x(時間) |
0 | 1 | 2 | 3 | 4 |
|---|---|---|---|---|---|
料金y(円) |
300 | 500 | 700 | 900 | 1100 |
表は二方向から見ます。
- 縦に見る:上の行は時間、下の行は料金
- 横に見る:時間が1増えると、料金が200増える
6.式へ表す
1時間につき200円の料金と、最初からある基本料金300円を合わせます。
y=200x+300
7.式を文章へ戻す
料金は、利用1時間につき200円かかる部分と、最初からかかる基本料金300円を合わせた金額です。
200xは、利用時間に応じて増える料金です。
300は、利用時間に関係なく最初からかかる料金です。
8.グラフ上の点を文章へ戻す
グラフでは、横軸を利用時間、縦軸を料金とします。
| 点 | 文章で表した意味 |
|---|---|
(0,300) |
利用時間が0時間でも、基本料金300円がかかる |
(2,700) |
2時間利用したときの料金は700円 |
(4,1100) |
4時間利用したときの料金は1100円 |
グラフ上の点は、ただの座標ではありません。
一つの点が、問題文の一つの場面を表しています。
9.別の料金プランとの交点を見る
Bプランを次の料金とします。
基本料金500円、利用1時間につき150円
Bプランの式は、
y=150x+500
です。
AプランとBプランの料金が同じになる時点を調べます。
200x+300=150x+500
50x=200
x=4
x=4をAプランへ入れると、
y=200×4+300=1100
交点は(4,1100)です。
この交点は、次の場面を表します。
4時間利用したとき、AプランとBプランの料金は、どちらも1100円になる。
交点は、計算で出た二つの数字ではありません。
二つの関係が、同じ値になる場面です。
文章・表・式・グラフを往復して、同じ関係を確かめる
この章で分かること:四つの表現を別々に覚えず、同じ数量関係として行き来できます。
文章
↓
表
↓
式
↓
グラフ
↓
文章
文章から表へ
文章中の数量名と単位を、表の縦と横へ置きます。
料金問題なら、利用時間と料金です。
表から式へ
横方向へ見て、xが1増えたときに、yがどれだけ変わるかを見ます。
さらに、x=0のときのyを確認します。
式からグラフへ
aは線の変化の仕方、bはx=0のときのyであり、グラフでは直線と縦軸が交わる位置を表します。
ただし、形だけを見るのではなく、横軸と縦軸の数量名を残します。
グラフから文章へ戻る
グラフ上の点を一つ選び、次の形で説明します。
点(横軸の値,縦軸の値)は、○○のとき、△△であることを表す。
例えば、
点
(3,900)は、3時間利用したときの料金が900円であることを表す。
となります。
往復できないときの戻り方
| 止まり方 | 戻る場所 |
|---|---|
| 表の数字だけを見ている | 1増えると何が変わるか |
| グラフの形だけを見ている | 横軸・縦軸の数量名と単位 |
aの意味を説明できない |
xが1増えたときのyの変化 |
bの意味を説明できない |
x=0のときのy |
| 点を座標としてしか見られない | その点が表す問題文の場面 |
| 交点を数字としてしか見られない | 何と何が同じになるか |
今日できる最小行動|二つの条件を二行で書く
この章で分かること:式を作れない日でも実行できる、最初の一歩が分かります。
問題集や学校のプリントから、文章題を一問だけ選んでください。
今日は、まだ式を作らなくても構いません。
次の二行だけを書きます。
条件1:
条件2:
例えば、ノートとペンの問題なら、次のようになります。
条件1:ノートとペンは、合わせて10個。
条件2:ノートとペンの代金は、合わせて950円。
二つの条件を文章から分けられた時点で、立式の重要な部分まで進んでいます。
ほかに選べる小さな行動
xとyの横へ、数量名と単位を書く- 二本の式を日本語へ戻す
- 表の縦と横へ数量名を書く
- グラフ上の一点を文章で説明する
- 答えを元の二つの条件へ代入する
ここで記事を閉じても大丈夫です。
今日の一問で、「条件1」「条件2」の二行を書けば、一つ行動を持ち帰れます。
その場で一問やってみる|文章題を三回見る・中2版
この章で分かること:解く前・式の前・答えの後に確認する場所が分かります。
中1記事では、文章題を「解く前」「式を作る前」「答えが出たあと」に三回見ました。
中2版では、二つの未知数と二つの条件の確認を加えます。
1回目|解く前に見る
- 問いで求められた内容をすべて答えた
- 登場する人物・物・数量は何か
- 条件はいくつありそうか
2回目|式を作る前に見る
xとyは何を表すか- 文字へ数量名と単位を書いたか
- 条件1と条件2は何か
- 二つは別の内容か
- 単位はそろっているか
- 二本の式を言葉で説明できるか
3回目|答えが出たあとに見る
xとyを逆にしていないか- 二つの条件へ戻すと、どちらも合うか
- 人数・個数・料金として現実的か
- 問いで求められた内容をすべて答えた
- 答えの単位と形式は合っているか
すべてを毎回行う必要はありません。
今日は文字の名札だけ、次の一問では条件1・条件2だけ、という進め方でも構いません。
中1版の三回見る方法から確認したい場合は、次の記事へ戻れます。
AIを使うなら、答えではなく二つの条件を確認する
この章で分かること:自分で考える部分を残しながら、AIを質問役として使う方法が分かります。
AIへ文章題を入力すると、式や答えをすぐに表示することがあります。
しかし、この記事で育てたいのは、本人が二つの条件を見つけ、組み立てる力です。
AIを使う場合は、答えを出す係ではなく、見る場所へ戻す質問役として使います。
二つの条件を確認したいとき
答えと式はまだ出さないでください。
この問題にある二つの条件を、私が自分で言葉にできるよう、一つずつ質問してください。
xとyの意味を確認したいとき
私が決めた
xとyについて、「何の数量か」「単位は何か」を質問してください。途中で文字の意味が変わっていないかも確認してください。
二本の式が別の条件か確認したいとき
私の二本の式をすぐに直さず、それぞれを日本語へ戻すよう質問してください。
同じ条件を言い換えただけか、別の条件かを、理由とともに確認してください。
グラフの点を確認したいとき
座標の答えを先に言わず、その点の横軸と縦軸が何を表すか、私に質問してください。
問題文の場面として説明できるようにしてください。
AIは、数式、符号、単位、計算を誤ることがあります。
問題文の条件、教科書の解説、先生の説明などでも確認してください。
名前、学校名、成績表、友達の情報などの個人情報は入力しないようにします。
7日間で、二つの条件を組み立てる順番を一度練習する
この章で分かること:二条件の文章題を見る動作を、一日一つずつ試せます。
この7日間は、「7日間で文章題を克服する計画」ではありません。
二つの未知数と二つの条件を組み立てる順番を、一度ずつ練習する期間です。
| 日 | 練習すること | できた印 |
|---|---|---|
| 1日目 | 式を書かず、問いと二つの未知数を見る | □ |
| 2日目 | xとyへ数量名と単位を書く |
□ |
| 3日目 | 条件1と条件2を言葉で分ける | □ |
| 4日目 | 人物・物・区間を表や図へ整理する | □ |
| 5日目 | 二本の式を日本語へ戻す | □ |
| 6日目 | 一次関数の文章・表・式・グラフを往復する | □ |
| 7日目 | 一問を最初から最後まで解き、二条件へ戻す | □ |
毎日、新しい問題を解く必要はありません。
同じ一問を使い、見る場所だけを変えても構いません。
できなかった日があっても、翌日に全部をまとめて行う必要はありません。
止まったところから、一つだけ再開します。
周りの大人が声をかけるなら、答えより二つの関係を質問する
この章で分かること:保護者や先生が、「よく読みなさい」以外の短い質問を選べます。
子どもが文章題で止まると、式の形や答えを先に教えたくなることがあります。
すぐに教えることが必要な場面もあります。
自分で見る練習を残したい場合は、今止まっている場所に合う質問を一つ選びます。
xとyは、それぞれ何の数量かな。- 条件は二つの文に分けられそうかな。
- 一つ目は人数、もう一つは何についてかな。
- 二本の式を言葉に戻すと、別の内容になるかな。
- この表の列には、何の数量が入るかな。
- そのグラフの点では、何と何が同じかな。
一度に何問も尋ねると、新しい負担になることがあります。
答えを聞き出すためではなく、本人が戻る場所を見つけるために、一つだけ質問します。
複数の条件を見る力は、数学以外の教科にもつながる
この章で分かること:条件を分ける練習が、ほかの教科でどのように使われるか分かります。
| 教科 | つながる見方 | 確認例 |
|---|---|---|
| 理科 | 変える条件と、そろえる条件を分ける | 何を変え、何を同じにした実験ですか。 |
| 社会 | 複数の資料を同じ基準で比べる | どの時代・地域・項目を比べていますか。 |
| 国語 | 二つの根拠や人物の考えを対比する | 二人の考えは、どこが同じでどこが違いますか。 |
| 英語 | 二人の会話、時系列、条件を分ける | 誰が、いつ、どの条件で行動しましたか。 |
| 技術・家庭 | 数量、予算、材料などの複数条件を満たす | 必要な量と使える予算を両方満たしていますか。 |
教科ごとに使う知識は違います。
しかし、「条件を分ける」「同じ基準で比べる」「使った根拠を説明する」という見方には共通する部分があります。
中2で身に付けた「条件を組み立てる力」は高校以降にも残る
この章で分かること:連立方程式や一次関数の先で、今回の見方がどのように使われるか分かります。
中2で身に付けたいのは、連立方程式の加減法や一次関数の式だけではありません。
- 複数の条件を別々に保つ
- 文字の意味を最後まで変えない
- 単位をそろえる
- 同じ関係を表・式・グラフで見る
- 使った条件を言葉で説明する
- 答えを元の条件へ戻す
これらの力は、中3の複合問題で、条件から使う解法を選ぶときや、高校数学・高校理科の問題文でも使われます。
ただし、今の一問ですべて完成させる必要はありません。
式の前に条件を二行へ分けた経験が、次の学年で分からなくなったときの戻り道になります。
保存用|中2の文章題を見る最終チェック
この章で分かること:解く前から答えの確認までを、一枚で見直せます。
解く前
- □ 問いで求められた内容をすべて答えた
- □
xとyが何を表すか書いた - □ 文字へ数量名と単位を付けた
条件を組み立てる前
- □ 条件1を言葉で書いた
- □ 条件2を言葉で書いた
- □ 二つが別の条件か確認した
- □ 必要なら表・図・時間軸へ整理した
式・表・グラフを作ったあと
- □ 二本の式の意味を説明できる
- □ 表の縦と横へ数量名を書いた
- □
aとbを文章へ戻せる - □ グラフ上の点や交点を文章で説明できる
答えが出たあと
- □ 答えを二つの条件へ戻した
- □
xとyを逆に答えていない - □ 人数・個数・料金として現実的か確認した
- □ 問いで求められた内容をすべて答えた
全部できなくても大丈夫です。
分からなくなった場所へ、一つ戻りましょう。
次に読む記事|今の止まり方から選ぶ
この章で分かること:中1の基礎へ戻るか、中3の複合問題へ進むかを選べます。
問い・数字・一つの関係から確認したい場合
次のようなところで止まる場合は、中1記事の必要な章へ戻ってください。
- 何を求める問題か分からない
- 数字が誰・何の数量か分からない
- 多い・少ないの基準を逆にする
- 一つの数量関係を言葉にできない
- 式を日本語へ戻せない
中2では、二つ以上の条件を分け、表や式へ組み立てました。
中3へ進む|条件から解法を選ぶ
中2では、二つ以上の条件を分け、表や式へ組み立てました。
中3では、さらに長い問題文の中から必要な条件を選び、どの解法を、どの順番で使うかを判断します。
中3記事では、次の内容を扱っています。
- 長い問題文から必要な条件を選ぶ
- 今使う条件と、あとで使う条件を分ける
- 条件・目的・使えそうな道具を整理する
- 二次方程式で出た二つの解を、問題の場面へ戻す
- 相似・三平方の定理・関数などから使う方法を選ぶ
- 入試形式の小問どうしのつながりを読む
- 選んだ解法を使える根拠を確認する
条件を見つけても、どれから使えばよいか分からない場合は、次の記事が続きになります。
中3の文章題で解き方が分からない人へ|条件から解法を選ぶ順番
まとめ|式を二本作る前に、二つの関係を見つけよう
中2の文章題では、見るものが二つ以上に増えます。
- 二つの未知数
- 二つの条件
- 複数の人物・物・区間
- 表・式・グラフの対応
一度にすべてを考えるのではなく、次の順番で整理します。
何を二つ求めるか確認する
↓
xとyへ数量名と単位を付ける↓
条件1と条件2へ分ける
↓
二つが別の関係か確認する
↓
表・図・二本の式へ整理する
↓
式を日本語へ戻す
↓
答えを二つの条件と問いへ戻す
連立方程式の単元だから、式を二本作るのではありません。
文章の中に二つの未知数と二つの関係があり、それらを整理した結果として二本の式になります。
一次関数でも、先にy=ax+bを書くことが本質ではありません。
何に伴って何が変わるのか、1増えるとどれだけ変わるのか、最初からある量は何かを見つけたあとで、式へ整理します。
間違えたときも、「連立方程式が全部苦手」「一次関数が全部分からない」と考えなくて大丈夫です。
文字設定、条件1、条件2、表、式、計算、答えのどこでずれたかを確認します。
最初のずれが見つかれば、全部を最初から学び直す必要はありません。
次の一問では、式を作る前に、まず次の二行だけを書いてみてください。
条件1:
条件2:
その小さな確認が、型へ急ぐ前に、自分で関係を考える余地を守ります。
もこあい先生より:
「今日の“なんで?”を大切にしよう。正解より、考えた道のりが宝もの。」
参考文献・出典
- 文部科学省「中学校学習指導要領(平成29年告示)解説 数学編」(2026年8月6日参照)
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/new-cs/1387016.htm - もこあいブログ「中1の文章題で式が作れない人へ|問い・数字・関係を見る順番」(2026年8月6日参照)
https://mokoai-diary.site/junior-high-word-problems-grade1/
- もこあいブログ「中3の文章題で解き方が分からない人へ|条件から解法を選ぶ順番」(2026年8月6日参照)
https://mokoai-diary.site/junior-high-word-problems-grade3/
※この記事の例題・答案例・会話は、文章題を見る順番を説明するために作成したものです。
※学校や教科書によって、問題の表し方、文字の置き方、計算過程の書き方が異なる場合があります。授業や教科書で指定された書き方も確認してください。
訂正・追記履歴
- 2026年8月6日:初稿作成。中学生の文章題を見る力3記事シリーズの第2記事として、二つの未知数、二つの独立した条件、連立方程式、一次関数、複数区間、表・式・グラフの往復、誤答カルテ、7日間練習を整理しました。























